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緊急集会
しおりを挟む昨日、ロイを待つ間にアンネリッタさんにビカビカ虫の事を聞こうと探していたが、何か慌ただしい空気が流れていて、ウロウロするのも憚られ、教室に戻ってきてしまい、話しは聞けなかった。明日にでも聞こう。
もう少しロイを待って帰って来なかったら帰ろう…。
今日は会えなかったなぁ…
と考えていると、ロイが焦った顔で教室に戻ってきた。
私の顔を見て、ホッとしたように笑顔になった。
何かあったのだろうか。
会えないと思っていたのに会えたから嬉しいと伝えたら、ロイも同じだったようだ。
殿下の手伝いは終わったのかと聞けば、明日も朝早くから手伝わなくてはならないらしく、今日より遅くなるかもしれないので待たなくていいと言われた。
そっか…。
次の日、登校したら、なにやら皆がザワザワしている。
すぐ講堂に集合となった。
なんだろう…。
ロイも今朝は早くに登校すると言っていたので何かあったのだろう。
緊急の全校集会があり、学院長と殿下が並び、説明があった。
禁止薬物が混入している香水が市場に出回っていたらしく、その香水を購入した人は使用を中止し、学院に提出しなければならないこと。
洗髪の際に使っている石鹸の種類によってはさらに危険になり、その石鹸を使い香水も使用している生徒は集会後、別室に移動して検査を受けること。
調査書が渡され、全員が記入し、退出する際に医師に提出し、待機組と帰宅組に選別されて、解散となった。
私も調査書を提出し、香水は使用してないので、医師の許可を得て帰ろうとした時、
誰かに腕を取られた。
その場にいた全員咄嗟のことで動けず、もちろん私も動けずに固まっていたら、
知らない女子生徒に抱きつかれた。
さらに固まった私はどうしていいか分からず動けずにいると、周りの女子達が騒ぎだし、出入り口付近はパニック状態になった。
え、え、何、なんで抱きつかれてるの?
それにしても力が強い。
棒立ち状態で抱きつかれたから腕すら動かせない。
軽いパニックになりかけた時、首に痛みが走った。
「キャアーーーー」
あまりの痛みに気付けば意識をなくしていた。
〈ロイ視点〉
隠密?からの手紙を受け取ってから、教室に戻れば、リリーが待ってくれていた。
あんな手紙を読んだ後なので、少々焦って来てしまったが、リリーは何も変わった事がなかったように迎えてくれた。
今日会えなかったから会えて嬉しいと満面の笑みで言われた時の喜びで昇天しかけた。
僕も嬉しいと言えば、花開くような笑顔になった。
でも一人で待つのは危険なので僕が遅い時は先に帰るように伝える。
明日も朝早くから手伝う事を話すと、淋しそうに顔を伏せる。
ついこの間まで、虫の事で頭がいっぱいで僕の事は幼い頃のイメージしかなかったリリーが、いつの間にか、男として意識してくれているようだ。
このゴタゴタが終わったら久しぶりに街に出て、デートでもしよう。
そろそろ次の段階に進みたい!
もう十八だ。
キスくらいしてもバチはあたらないと思う!
次の日、
朝早くに登校し、打ち合わせをし、集会の準備をする。
ちょうど準備が終わった頃、生徒達が講堂に集まってきた。
学院長と殿下から例の香水と石鹸についての説明がされていく。
騒ぎになるかと思いきや、皆冷静でホッとした。
調査書が渡され、各自記入が終わると順番に出口で調査書をチェックされ、待機と帰宅にと分けられていた。
突然、出口辺りが騒がしくなり、その後悲鳴があがる。
悲鳴の声がリリーに似ていた…。
急いで出口に向かうと、一人の女子生徒が羽交締めにされ、その横で、
リリーが首から血を流して倒れていた。
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