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お茶会の噂
しおりを挟むラルス視点
仕事が終わり、屋敷へ帰ってクララと夕食を食べていた時、
「ラルス様、ブライアン様は…その、シシリー様とは仲良くなさっておられますか?」
「ん?ブライアン?うん、相変わらずあの二人は仲良しだよ。どうして?」
「今日、アメリア様のお茶会に行ったのですが、そこでブライアン様とシシリー様のお話しが出たのです…。
その話しは、私が知っているお二人と違って、ブライアン様は浮気をしてるとか、シシリーさんがその…自害されたとか…とてもお二人には聞かせられないお話しで…。
それをとても楽しそうにお話ししている方々がいて…私、体調が悪いと帰らせていただいたんです…。」
「何それ?クララは体調大丈夫なの?」
「あまりにも酷い内容のお話しなので聞きたくありませんでした。それで体調が悪いと嘘をついてしまったのです…ご心配をおかけしてすみません、ラルス様。」
「クララが大丈夫ならいいよ。
でも、ちょっと気になるな…。誰が言っていたのか分かるかい?」
「初めてお会いするご令嬢だったので、お名前は分かりません…。でも、アメリア様に聞けば分かるかと。」
「クララ、じゃあそのご令嬢の名前聞いておいてもらえるかな?」
「はい。アメリア様はお優しい方なので、そのお話しをされているご令嬢達を嗜めておりましたから。」
「そうか、クララはそういった令嬢に近付いてはダメだよ。」
「はい、ラルス様。ブライアン様とシシリー様は大丈夫でしょうか?」
「大丈夫だよ、エドにも言っておくから。」
「よろしくお願いいたします。シシリー様は私とお友達になって下さったのです。
ですから、シシリー様とブライアン様のお二人を守って下さいませ。」
「うん、分かったよ。」
その日は、可愛いクララにそう言ったが、やはり少し気になった。
こういった噂は二人の周りにはいつでもあった。結婚式が延期になった事も噂になった原因だろう。
でも、あんな事があったばかりなので、エドには話しておこうと思い、次の日エドに話した。
エドはやはり気になったのか、真剣な顔で俺に礼を言った後も何か考えていた。
俺も気になって、シックスにその話しをした。
「なんか嫌ですね、その話。」
「俺も気になる。多分、エドは動くと思う。俺も今度こそアイツらに結婚式を挙げさせたい。シックス、お前の奥さんにそれとなくお茶会の噂聞いておいてくれるか?
近々、ガース辺りが聞きに来ると思うから。」
「はい。情報を集めておきます。俺もあの二人を応援しているので。」
その日、家に帰るとクララが出迎えてくれた。
「ラルス様、私、アメリア様に聞きに行ったのです。あの時のご令嬢は誰だったのか。
詳しい事は言いませんでしたよ。
私の大事なお友達の事なので気になったと言ったら、教えて下さいました。」
「クララ、昨日の今日で聞きに行ってくれたの?」
「はい。私、とても怒っていたのです。
ブライアン様とシシリー様をあんな風に言う方に。」
「そうか、ありがとう。じゃあ、夕食の時に聞こうかな。」
そして、クララがアメリア夫人から聞いてきた話しをしてくれた。
「アメリア様は同じ年代の方しかお呼びしていなかったそうです。
ですが、イシュリン伯爵の奥様が急な用事で行けないので、娘さんが出席しますと連絡が来たそうです。
なので、あの日はいないはずの方でした。
奥様の代わりで来るのは構わなかったそうですが、何故かお友達もご一緒にお連れになったそうです。
ご令嬢方のお名前は、ライラ・イシュリン伯爵令嬢、バーバラ・グリア伯爵令嬢という方々です。
このお二人は席に着いた途端、シシリー様方のお話しを始めました。
最初から招待されていた方達も、とても不快そうにされておりました。私はここで退席してしまったので、この後の事は聞いた話です。
ご令嬢方は、アメリア様に嗜められて大人しくなるどころか、本当の話しをして何がいけないのかとアメリア様に仰ったそうです。
アメリア様はそこでお茶会をお開きにしたと言っておりました。
気分を害してしまってごめんなさいと謝って下さいました。」
「そう、今度アメリア夫人に、何かお礼をしないとね。ありがとう、クララ。
とても助かったよ。」
「シシリー様とブライアン様のお力になれたでしょうか?」
「なったなった。大助かりだよ。それより、子供達は寝ちゃったかな。」
そう言って、クララがこれ以上関わらないように話しを切った。
後、シックスの奥さんにも聞いた話しを教えておかないと。
あの人絶対クララに話し、聞きにくるから。
そう、イシュリン家とグリア家ね。
あまり良い話は聞かない家だ。
親も親なら娘も娘なのか…。
寝ている娘の頭をそっと撫でながら、どうか俺には似ずにクララに似ますようにと願った。
応援ありがとうございます!
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