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辛い罰

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*軽い性描写あります。精神攻撃的な言葉の暴力表現がありますので、不快に思われる際は飛ばして下さい。
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フラン視点


私は後悔なんかしていない。
これで死んでも構わないと覚悟を決めて事を成した。
シャルルを産んだ時は可愛いと思ったが、段々シリル様に似てきたシャルルを憎むようになった。

シリル様のお相手をする日、前日に娼婦仲間の一人が、
「シリル様は事情があって私達を抱くしかないお方なの。
娼館に来る客と同じようには抱いてはくれないから、事前準備をしておくように。
この中には、勘違いしてシリル様の寵を得ようなんて考える奴もいるだろうけど、そんな事はあり得ない話しだから期待なんかしないように。
必ず配布された避妊薬を目の前で飲むように。
後、決してシリル様には触らないように。」
と注意事項を教えられた。

その後に別の娼婦が小声で話しかけてきた。
「シリル様は婚約者を溺愛してるらしいからね。本当は連れてきたいけど危ないから連れて来れないんだとさ。
お嬢様にはこんな所でなんて出来やしないわよね。」

その言葉にあの時の光景を思い出した。
図書館でのやりとり…
ケネス様は嬉しそうに涙を溢しながら笑っていた。ケネス様に愛され、シリル様にまで愛されているあの女が許せなかった。
ただの妬みなのは分かってる。
とにかく、みんなから愛され綺麗で頭も良くて何でも持ってるあの女に一泡吹かせたいと思った。
そして私は成功した。
シリル様の子供を産み、少なからず傷をつける事が出来た。
あの女が死ぬまで私の子の顔を見るのだ。
ざまあみろ!

牢に入れられているが、笑い出しそうだ。
どうせ死罪だ。毒殺でも絞殺でも刺殺でもいい。なんの不安もない。
罵声を浴びせられようが私は気になんかしない。
処刑されるまで、寝るのも食べるのも悩む必要はないし、嫌な男に抱かれる事もない。
こんなに満たされた気持ちは初めてだ。
固いベッドに横になりながら、そんな事を考えていた時、コツンコツンと二人分の足音が響いてきた。
誰かが来たようだ。


「尋問を始めます。」

そう言ったのはケネス様だった。
何故か見覚えのある娼婦も一緒だ。
あのシリル様の相手に選ばれた中にもいた、私と同じ元貴族の娼婦。
何故彼女がケネス様と?

「彼女が気になりますか?
貴方への罰の一つに私をお使いするよう進言させてもらったのです。
陛下はお優しい方なので迷っていましたが、どうしてもとお願いして漸く許可が降りました。
この罰が一番貴方は辛いだろうという事なので。違ったらまたやり方を変えますが。
そうそうこの女性は私の協力者です。
この方も貴方を許せないそうなので喜んで協力すると言ってくれました。」
とても楽しそうに話すケネス様は相変わらず美しかった。でも目は笑ってなくて、とても恐ろしかった。

「罰・・・死罪ではないのですか?」

「それは最後です。貴方に尋問しなければなりませんからね、何日も何時間もかかるでしょうから、覚悟して下さいね。」

ケネス様はそう言った後、徐に隣りにいる女の服を脱がせ始めた。ギョッとして見ていると、
「こちらは気にしないで下さい、今日からこの方は私の愛しい人になりました。
一時も離れたくはないので、尋問もこの方を愛でながらする事になりました。」
そういうとケネス様は女にキスをした。
クチュ、クチュと激しいキスをしながら、
「私の愛しい人…もっと貴方を愛したい…」
と言いながら今度は胸を弄り始めた。

「じ、尋問は?尋問を始めて下さい、ケネス様!」ケネス様が他の女を抱く姿など見たくもないから私は叫んだ。

「私は愛する人と王族の方々、私の許可を得た方以外に名前を呼ばれるのが死ぬほど嫌いなのです。」

勝手に名前を呼ぶなと言った後、

「愛しい人…私の名前を呼んで。」

身体を弄られ続けている女は、喘ぎながらケネス様の名前を呼ぶ。

「もうこんなになっているんだね、可愛い人…」と椅子に座ったケネス様に跨った女の下半身から聞こえる湿った音に、耳を塞ぐ。

「耳を塞がないで下さい、さて尋問を始めましょうか。」
そう言ったのに何も聞かれず、ひたすらケネス様と女の淫らな音と、ケネス様が女に囁く愛した相手に語るような言葉を聞かされた。

軋む椅子の音、女の嬌声、ケネス様の甘い声、名前は出していないが誰を想って言っているのかが分かって怒りが込み上がる。

「もうやめて!あの女を殺してやる!止めろ!」と怒鳴ると、

「あの女とは?」と急に静かになった。

女の乱れた呼吸しか聞こえなくなった。

「あの女とは誰だ?」
初めて聞くケネス様の殺気を乗せた声。

「誰を殺すと言った?」
射殺すほどの眼で私を見るケネス様は、私の次の言葉を言ったら私を殺してくれるかもしれない。
ケネス様の手にかかるなら幸せだ。
だから、
「あの女よ!ブリジットよ!あの女さえいなかったら私はこんな所になんかいなかった!
あんな女死んでしまえばいいよ!」

私に殺気を放ちながら見ていたケネス様は、
「愛しい人、今日はここまでにしましょうね。身支度を整えましょう。」と言うと、何処から出したのか、呼び鈴を鳴らした。
跨ったままの裸の女に自分の上着をかけたケネス様は、タライとタオルを持ってきた騎士にお礼を言うと、女の身体を丁寧に濡れたタオルで拭いてやり、乾いたタオルでまた拭いていた。
服まで着せてやると、女の腰を抱き私に向かって言った。
「明日も尋問をします。」と言って戻っていった。

悔しくなんかない…。
悲しくなんかない…。
これくらい何ともない。
私だって娼婦だったんだ。
目の前の事なんて慣れてる。
娼館では複数で何人もの娼婦が相手する事もあった。
だから大丈夫。
こんな事に負けない。
ケネス様に会えるのだ、逆にご褒美だ。

そう何度も頭で唱えその日は眠った。

次の日、なんだか身体がだるいし、熱い。
風邪でもひいたのか…

お昼頃ケネス様は来た。
同じ女を連れて。

「尋問を始めます。貴方は私を好きだと言いましたが、何故ですか?」

今日は二人とも椅子に座ったままだ。
そしてその椅子、いつ間にか座り心地の良さげな長椅子、ソファに変わっていた。
女の髪を愛し気に撫でながら私の答えを待っている。

「美しいと思ったからです…。髪の色も、瞳の色も、立ち姿も、なにもかもです。」

私がそう言う間に女のドレスの胸元から手を入れ、乳首を弄っているのが分かった。
それを見ている私の身体も熱くなった。
下着が濡れているのが分かった。
私にも触って欲しいと思った。

「外見が気に入ったのは分かりました。
何もかもとは例えば?」と聞かれ、

「優しい、所とか…」

ケネス様は女のドレスをはだけさせ胸をしゃぶっている。
乳首を咥えながら、
「後は?」

下半身が疼き、太腿をもそもそと擦りあわせながら「強い所とか…」と言った。

「愛しい人…足を開いて。」
ケネス様に言われ、足を開いた女は私の正面にいる。
女の前にケネス様は跪くと、ピチャピチャと音を鳴らし始めた。
何をしているのか分かる。

私もして欲しい・・・

「ケネス様・・私にも・・・触って下さいませ・・」
思わず言ってしまった。

「死んでも嫌です。そんな汚いものに触りたくはないです。
ここに私の愛しい人がいるのに何故嫌いな貴方に触らなければいけないのですか?」

そう言った後はケネス様はひたすら私の目の前で女を揺すった。
見せつけるように繰り広げられる様に、疼いていた私はひたすら自慰で疼きを慰めた。

自分もイって落ち着いた時、ケネス様と女は私を見ていた。
「今日は終わります。」と言って呼び鈴を鳴らした。
そして今日も愛する人にするように女の身体を綺麗にし、服を着せた。
私は汚いまま。

小さなタライに水が入ったものと、女を拭いていたタオルとは比べ物にならない布を騎士に渡された。

気付けばケネス様はいなくなっていた…。

この牢はまだマシな方なんだと思う。
トイレも仕切りがあるし、囚人服と下着の替えとタオルが数枚棚にある。
けど、辛い…。
もう何日経ったのか分からない…。
それに身体が常に疼いている。
身体は媚薬を飲んだ時のような激しい疼きではないので眠れば治る。
おそらく薄めた媚薬を食事に入れているのだろう。

そして毎日の艶美な尋問。
愛するケネス様が他の女を愛し気に抱く様子。
私を憎悪する視線と言葉。

“ブリジット様はそんな汚い言葉は使わない。やっぱり爪の先程も貴方とは違いますね。”

“醜いですね。ブリジット様は結婚しても初々しく美しいのに、何故何もかも比べるものなどない貴方が勝ち誇った顔をしているのか分かりません。”

“シャルル様はシリル様、ブリジット様に愛され、弟君のマクス様にも大変懐かれ、陛下や王妃様にも愛されて日々暮らしていますよ。
ブリジット様を母様と呼び、幸せそうです”

“貴方は何一つブリジット様に傷などつけていない。シャルル様の事を自分が産んだ子として愛しています、猫っ可愛がりしています。今では自慢の長男だと堂々と話していますよ。シャルル様は大変聡明ですから。”

“シリル様もシャルル様をとても大事にしています。シャルル様も父様、父様と懐いておられます。”

“ブリジット様が妊娠されましたよ。待望の第三子です。シャルル様もマクス様も喜んで楽しみにしております。”

私が憎んだ人は、絵に描いたような幸せな日々を送っている様子を毎日聞かされ、
私が愛した人は私の目の前で女を抱いている。

食欲も睡眠欲も無くなった。
何も考える気力がない。
ひょっとしたら寝てるのかもしれないが、寝てるのか起きてるのかすら分からなくなった。

私が必死に成し遂げようとした事はなんだったんだろう…。
どうしてあんなにあの人を憎んだんだろう…。

「すみませんでした・・・もう・・やめてください・・・罰は受けます・・でも、目の前でお二人の事を見せつけるのはやめて下さい…もう何も感じなくなりましたから…。私の性欲もなくなりましたし・・」

そうなのだ…全く疼きを止めたいと思わなくなったのだ。
疼いているがどうでも良くなったら、ただボォーっと見てるだけになった。

「分かりました。愛しい人との逢瀬は今日で終わらせます。
でも尋問は終わりません、貴方は未だに心からの謝罪をしていませんから。
最後に愛しい人から話しがあるそうです。」



ケネス様がそう言うと、女は私の牢の前までヒールをコツコツ鳴らしながらやってきた。
















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