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お父様?
しおりを挟むシャルル視点
僕はこの国の東にある修道院に母様と住んでいた。
修道院に併設している孤児院の子供達と一緒に遊んだり、勉強したりしていた。
勉強は母様が教えてくれたりもした。
母様は、
「貴方のお父様はとても強くて美しい方なのよ。訳あって私達とは離れてしまったけれど、いつか迎えに来て下さるわ。
だからシャルルは母様と一緒にお父様を待ちましょうね。」
と言われて育った。
だからいつかお父様が迎えに来るものだと思っていた。
たくさんの子供と共に育ったせいか話しだすのも早かったし、身体も他の子供よりは大きかった。
なのに僕が2歳になってから母様は話す事がおかしくなっていった。
「どうしてシリル様は迎えに来てくださらないのかしら。私の事を聞いたら必ず迎えに来てくれると思ったのに。
あんなにシリル様が気を遣って相手をしてあげていたのに、学院にも来ず、飛び級までしてシリル様を無視し続けるなんて!
あんな女よりも私の方がずっとシリル様を大切にするのに。
なのにどうしてシリル様は来ないの!」
と毎日寝る前にだけ同じ事を言っている。
僕はまだ言ってる事がよく分からないけど、僕のお父様には母様じゃない女の人と一緒にいるのかなって事は分かった。
母様が段々怖くなってきた頃、修道院の院長が変わった。
そして母様も変わった。
お父様の事を何も言わなくなって、院長先生の事しか言わなくなった。
孤児院の子供達もだんだん痩せていった。
俺も含めて。
食事の量も味も酷くなった。
着替えの服も新しい物を貰えなくなった。
3歳になってすぐ、眠っている間に馬車に乗せられていた。
何日も乗せられて、水しか飲ませてもらえなくて、ようやく馬車から降りると、少し離れた所に大きな建物があった。
馬車の御者のおじさんに、
「あの屋敷の人にその手紙を渡してこい。
お前のかーちゃんは別のとこにいるから大丈夫だ。そのうちかーちゃんが迎えに行くからそれまで待ってな。」
と言って手紙を渡されて背中を押された。
何も食べてなくて、フラフラしながら屋敷に着いて、ドアをノックしようとしたら、ドアが開いた。
すると大きな僕と同じ黒い髪の毛のカッコいい男の人がいた。
後ろには綺麗な女の人と僕よりちょっと小さい男の子がいた。
あんまり綺麗な人ばかりでドキドキしたけど、手紙を思い出して渡した。
そしたら、近くまで綺麗な女の人と小さな男の子が来て、話しかけてきた。
驚いたけど、女の人も男の子も笑っていたので、名前と歳とお父様の名前を言ったら、男の子以外の人が動かなくなった。
でもすぐ綺麗な女の人が僕をご飯を食べようと連れて行ってくれた。
男の子も僕の手を繋いでニコニコしている。
綺麗な女の人と同じ髪の毛で、顔はあの大きな男の人に似ていた。
なんとなく僕に似ている気もする。
お腹がグーグーなって恥ずかしかったけど、何日も食べてなかったから止まらない。
女の人、リジーさんが、
「たくさんいろんな物を食べて欲しいけど、何日も食べてないから今はスープとパンで我慢してね。」と優しく言ってくれた。
小さな男の子、マクスは、
「にいに、おいちね」とニコニコして、僕にパンを何個も皿に乗せてくれた。
“にいに”
お兄ちゃんって意味よってリジーさんが教えてくれた。
マクスはお兄ちゃんが欲しかったんだそうだ。
マクスは何回も「おいちぃ?」って聞いてきて、「おいしい」って言うと、とっても嬉しそうに笑うから、僕もニコニコした。
ご飯を食べた後、僕をお風呂に入れてくれたけど、途中でマクスも入ってきたので一緒に入った。
とってもいい匂いのする石鹸で洗ってもらった。
フカフカのタオルで拭いてもらって、綺麗な服に着替えさせられてマクスと遊んでいると、
「マクス、シャルル、私とおじいちゃんの所にいきましょう。」って馬車に乗せられた。
僕が乗ってきた荷馬車なんかとは比べ物にならないほど豪華な馬車で、フカフカし過ぎて落ち着かない。
リジーさんがマクスを抱っこして、僕の隣りに座ってギュッて揺れないように寄りかからせてくれた。
しばらく走ると何処かに着いて馬車から降りると、また大きな屋敷に着いた。
「じいじー」とマクスが走って屋敷の玄関の前に立っている人に抱きついた。
「マクスーー今日も可愛いね~」とマクスの頭に頬ずりしていた。
「シャルルもおいで。あの人は私のお父様、マクスのお爺様ね、シャルルもお爺様って呼んであげてね。」
と言ったけど、僕が呼んでもいいのかな。
リジーさんが僕の手をひいてその人の所に行くと、その人がしゃがんで僕と同じ目線で喋ってくれた。
「よく来たね、さあ中に入ろう」
ってマクスと僕を抱っこして屋敷の中に入った。
玄関はやっぱり広くて大きな階段もあって、カッコいいお屋敷だった。
僕は抱っこされたまま、何処かの部屋に入った。
「ここでマクスとシャルルは遊んでいなさい。私はリジーとお話ししてるからね。
飲み物と食べ物も用意するし、お手洗いに行きたい時は、そこにいる誰かに声かけてね。
マクスもシャルルも分かったかな。」
「じいじ、わかた!」
「・・はい」
僕達の頭を撫でてから出て行った。
朝から何が起きたのか分からなくて、どうして良いのか分からない。
「にいに?ちかれた?ねんね?」
と聞いてきた。
「うん、少しつかれちゃった」って言ったら、
「カーラ、にいに、ちかれたの!ぼくもにいにとねんね。」
「はい。分かりましたよ、さあ坊ちゃま方、今朝は忙しかったですからお休みしましょうね」とお手伝いさんみたいな女の人が僕達をベッドに寝かせてくれた。
お腹をポンポンされているうちに眠ってしまった。
これから僕はどうなるんだろう…。
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