私は貴方から逃げたかっただけ

jun

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これからの為に

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昨日、泣いて、泣いて、そのまま眠ってしまったようで、早い時間に目が覚めた。


たくさん泣いた。

もう二人の事は考えない。

これからの生活の事を考えようと泣きながら心に誓った私は、パソコンを出し、産婦人科を探した。
口コミなどを参考に、通院のしやすい病院を探した。
ここからでも、ここを出た後でも通えそうな場所の産婦人科に決めた。

次に仕事を探した。
悪阻の事を考えると、飲食店は避けたい。
受付事務で検索し、めぼしい所をチェックする。

ネットで、手頃な賃貸マンションを見ていたが、一戸建ての賃貸も意外とあり、家賃もマンションと変わらない。

一戸建てもいいかも。

気になったマンションや一戸建ての不動産屋をチェックした。

気付けば8時になっていたので、実家に電話をした。

母はすぐに電話に出た。

「麻美?大丈夫?変わりない?体調はどう?」

「心配かけてごめんね。瑞希が色々気遣ってくれるから大丈夫だよ。」

「そう、良かった…。」

「ねえ、お母さん、雅彦が家に来たの?」

「…うん、麻美が東京行った日の朝にね…。お父さんがまだ家にいた時だったから、お父さんが会ったんだけど、麻美が東京に行ったって言ったら、また来るって言ってすぐ帰ったよ。でも、あのストーカー女が家に来た日から、たまにウチに電話は来るようになったかな…麻美を出して欲しいって…。」

「ごめんね、私のせいで…。」

「麻美はなんも悪くないんだから、謝る必要なんかない。でもね…麻美に帰ってきて欲しいけど、ここは危ないかもしれない…」

「うん、しばらくこっちにいるから大丈夫。心配かけてごめんね。」

「お父さんが色々動いてくれてるから、こっちも大丈夫だからね。ちゃんと食べてね。
具合悪くなったら病院行くんだよ!」

「うん、ありがとう。お母さんも気をつけてね。」


そう言って、電話を切った。


はぁ…疲れた…


心配かけて申し訳ないし、実家に帰れるなら帰りたい、
けど、やっぱり今は一人でいたい。
親不孝だな…

心配してくれる母に対して、疲れたとため息を吐く自分に嫌気がさした。

気を紛らわせようと、近くのコンビニに行き、履歴書とゼリーやプリン、冷凍のうどんを買った。

家に帰り、うどんを茹で、卵だけを入れたかけうどんを食べた。

温かいうどんは、身体を温め、眠気を誘う。
妊娠すると眠くなるというのは本当なんだなぁと実感した。

ソファでウトウトしてると、新しい携帯の電話がなった。

瑞希だった。

「瑞希、おはよう」

「おはよう。それより麻美、携帯、持っていったの?」

「あー、ごめん、一度雅彦に電話しようと思って持ってきた。置いとくと瑞希、何かしそうだし。」

「そんな変な事しないけど、電話したの?」

「もう実家に迷惑かけないでって言いたかったの。それで…昨日かけたけど…」

「あの女が出た?」

「ううん、雅彦が出たけど、一緒にいたみたい…すぐ切ったけど…。」

「必死に麻美を探してるのに、まだあの女といるんや、彼氏!わけわからん!」

「うん、訳わかんない…でも、もう二度と会わないから関係ない…」

「麻美、大丈夫?」

「大丈夫。いっぱい泣いたらスッキリしたから。」

「麻美・・・」

「ごめんね、色々心配かけて。でも、もう大丈夫だから。しばらく一人でのんびりするよ。」

「うん、でも、無理はせんといてや。」

「うん、ありがとう。」



電話を切った後、履歴書を書いた。


ふと、思った。
結婚もしていない妊婦を雇ってくれるのだろうか?
いずれ、出産のために休む事が確実の人を雇うだろうか?
ずっと勤めていたから、出産直前まで働く事が可能だったんだろうが、新しい職場でそれが通じるとは思えない。

だったらバイトを探すしかない。
子供を生んで、保育所を見つけてからじゃないとダメだろう。

バイトなんて高校生の時に、近所の喫茶店とあの歯医者しか経験がない。
でも、なんでもやるしかない。

もう一度、探すが決められない。


少し、散歩して気分を変えようと思い、外に出た。


篭っていたからか、少しふらつくが歩いているうち治るだろうとあちこち見ながら歩いていたが、やっぱりフラフラしてしまい、思わずしゃがんでしまった。

しゃがんでも目が回るような感じで、立ち上がれない。
それでも、立ちあがろうとしたら、目の前が真っ白になり、私は気を失った。













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