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妊娠させたようです
しおりを挟む「ほら行くよ姉さん!今日こそアイツの尻尾を掴んでやる!」
「やめよう、マット。嫌よ、見たくないわ…」
「ダメ!アイツの本性を知らないと姉さんいつまでも諦めないでしょ⁉︎」
「そうだけど・・・」
「ほらやっぱり旧校舎に行くよ!みんな逢引きはあそこでやるんだ。
もうあの女も待ってるんじゃない、ほら浮かれた顔してる、気持ち悪!」
「マット…あなた口が悪いわよ。お母様が知ったら廊下にまた正座させられるわよ。」
「言わなきゃ分かんないよ。
あ、入った!僕達も行くよ!」
私と弟のマットは婚約者のパブロを追った。
私達姉弟が何故こんな事をしているかというと、半年前からパブロの様子が変わった事から始まる。
私とパブロは六歳の時に婚約した。
両親同士が学生の時からの付き合いで、幼い時から両家を行き来していた私達は同い年なのもあり、いつも一緒に遊んでいた。
優しいパブロは私が転んで足を擦りむいた時、大して身長も変わらないのに私をおんぶしてくれた。
誕生日には毎年私の好きな物をさり気なく聞き出し贈ってくれた。
十六歳の時、初めての社交界デビューの時にはパブロの髪と瞳の色のグリーンの生地に黒の刺繍が入った素敵なドレスを贈ってくれた。
でも二年生に進級してからしばらくすると、別人のように変わってしまった。
先ず毎週末我が家に会いに来ていたのに用事が出来たと来なくなった。
学園でも昼食を一緒に食べなくなった。
そして、週末にマットが街でパブロと隣りのクラスのミリエラと腕を組んで歩いているのを目撃した事で、マットがブチ切れた。
私とパブロのお茶会に勝手に割り込むほどパブロが大好きだったのに、今では親の仇のように嫌っている。
「言っとくけど、僕はあの人の事好きだったことなんてないからね!」
と言っていたが、いつもお茶会では楽しそうにしていた。
私の為にこうして一緒に尾行してくれる弟が私は大好きだ。
「姉さん、いたよ、あの教室だよ、声が聞こえる。」
小声で私に教えてくれた教室の後ろの入り口の隙間から覗くとパブロとミリエラは抱き合っていた。
「ああパブロ、貴方に会いたかったわ。」
「俺もだよミリエラ。」
そうなんだろうなとは思ってた…。
私は見たくもないのに二人から目を離すことが出来なかった。
そして二人は激しいキスをし始めた。
気絶してしまいそうなほどだったが、ミリエラの次の言葉で完全に気を失うことになった。
「パブロ、私貴方の子供を妊娠したの。」
所変わって・・・同じ学園の図書室。
図書室の奥の窓辺に立って、自分の婚約者アナ・ルビオナと隣りのクラスのコルト・バキールがキスをしているのを見ていた俺は、とっくに諦めていた彼女への想いを捨てた。
俺はベルナー公爵家の嫡男というか一人息子のミゲル。
六歳でルビオナ侯爵家の次女のアナと婚約した。アナが俺を気に入ったとかで侯爵家からの申し込みで整った婚約者だ。
別に嫌いでもないし、幼い時から一緒にいたから段々好きになっていくのは当然だっただろう。
アナは実際とても可愛らしいから。
学園に入学してからもクラスも同じで仲良く通っていた。
三年に進級した際、クラスが離れた。
寂しがったアナは最初泣いていたが、新しい友人が出来ると、クラスが離れた俺よりも同じクラスの友人と一緒にいることが増えた。
そしてアナの隣りにはいつも同じ男がいた。
それが下で俺の婚約者と乳繰りあっている男、コルト、伯爵家の嫡男だ。
俺はたまたま昼休みに図書室に来て、日当たりの良い一番奥の窓で日向ぼっことばかりに窓辺にいたわけだが、ふと下を見ると我が婚約者が男とイチャコラしているのを目撃したわけである。
ハア~、俺だって傷付く。
あんなの見せられたらさすがの俺でも泣きそうだわ…。
そして俺は本を棚に戻してから教室に戻った。
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