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結婚式 そして・・・
しおりを挟む卒業式から1か月。
いよいよシリルとの結婚式。
シリルの瞳の私の髪の金色と同じシャンパンゴールドのドレスを着ている。
同じ色の衣装を身につけたシリルは黒髪が映えて素敵だ。
「リジー…凄く綺麗だ…このまま連れて帰りたい!誰にも見せない!」と駄々を捏ねている。
「そっくりそのままシリルに返すよ。とても素敵で誰にも見せたくない。」
「クソッ、なんて可愛い事を言うんだリジーってば!」
入場のドアの前でさっきから同じ事ばかり言っている。
笑っていると、「そろそろ入場です」係の護衛の人が声をかけた。
シリルの腕に手をかけ、
「行くよ、リジー」「うん、行こう」
ドアを開けると眩しさで一瞬目を瞑った。
私の手をポンポンと叩いたシリルを見てから歩き出した。
沢山の人の拍手に迎えられ、あちこちから「おめでとう」「おめでとうございます」「リジーーーおめでとうーー」など誰が言ったのか分かるような祝福に思わず笑った。
すると「オオオオーーーーーー」と野太い歓声が上がってビックリしていると、
隣りから「もう!そんな可愛い顔を他所に見せちゃダメだ!」とシリルがプリプリしていた。
陛下と王妃様がいる玉座の前の階段の前にある婚姻証明書に名前を記入すると、
「今日この時から我が息子シリルはシリル・シュラスト公爵となり、シリルの妻となったブリジットはブリジット・シュラスト公爵夫人となる。
色々あった2人だが、困難を乗り越えた2人なら幸せな夫婦となろう。
ここに集まった皆、まだ若く足りぬ所もあろうが、この2人をどうか祝福して欲しい。
今日はめでたい日だ、さあ、皆も楽しんでくれ!」
陛下の声で「オオオオオーーーー」とまた歓声が上がり、宴が始まった。
私とシリルは果てしなく続く挨拶に笑顔で答え続けた。
途中、お父様、お母様、お兄様が来て、お父様の号泣に苦笑してしまったり、エリザが、
「夫婦喧嘩した時はいつでも私の所に逃げてきてね、そしてまた手紙の配達するから!」とニヤニヤしながら言ってたりしながら、なんとか挨拶が終わると、やっと一息だ。
2人で一旦後ろに下がり、水分と軽食をとる。
ほんの少しの休憩をはさみ、また会場に戻り、挨拶では話し足りなかった人達が殺到する。
そんな人達の中に滅多に見ない命知らずがいた。
「シリル様ぁーーーー」と全身ピンクの可愛いけど品のない令嬢が走ってきた。
ザッと護衛が私とシリルの前に立ち、ピンクと距離を取った。
護衛の方々は大きいので、私にはピンクさんの顔が見えない。
「リジー、今のうちにあっち行こう!」とシリルに引かれて、行くとエリザがいた。
「あら、どうしたの?」
事情を話すと、
「あ~ピンクね~今あの子有名なの。最近まで平民だったからマナーが分からないを免罪符に、やりたい放題なの。
それもどこが良いのか、私達と同級の騎士科のライアンが引っ掛かったらしいわ。
あのライアンよ!何か怪しい薬でも使ったんじゃないかって言われてるわ。」
「ライアン⁉︎嘘だろ⁉︎ライアンはリジー狙いだったのにあのピンクはないだろーー⁉︎」
とこれまた大きな声で言うもんだから、ピンクに見つかった。
「シリル様ーーーーそんな所にいたんですかぁーーー」と取り巻きを引き連れやってきた。
その中に私にサロンのの事を教えてくれた、後にシリルとケネスの友達になったライアンもいた。
「おい、ライアン!何がどうなってそうなった⁉︎お前の好みはフワフワの金髪で瞳はエメラルドのように綺麗で、可愛くて、綺麗なリジーが好みだっただろ⁉︎
これの何処にリジーの要素があるって言うんだ!ほら、この美しいリジーを見ろ!目を覚ませ、ライアン!」
会場中に響くシリルの叫び。
居た堪れない…。
ライアンって私の事好きだったんだ…。
ライアンを見ると私を真っ赤な顔で見つめた後、
「シーリールーーー!お前は!お前は!なんて事言うんだ!俺の片想いを返せーーー!」
とシリルの胸ぐらを掴もうとして、ハッとした。
「あれ?なんでシリル?お前結婚式は?」
どうやら何か裏がありそうだ。
シリルはいつも真っ直ぐだ。
考えなしだけど、必ずシリルの想いは届く。
ライアンもどうやらもう大丈夫そうだ。
「ライアン!お前こんなピンクが好きなのか⁉︎がっかりだぞ!」
「は⁉︎ピンク?誰?」
「そこのピンクだよ!」
「あー見た事ある。いつも甘ったるい言い方の気持ち悪いピンク色の子の事か?
差し入れの焼き菓子を無理矢理食べさせようとするから困っていたんだ。」
あ~もう悪事がバレちゃった。
ピンクさんはブルブルしてる。
「ライアン、俺の結婚式なんだぞ、しっかりしろ!」
とか言ってるシリルはただ友達を心配していただけだ。
なのに難事件を解決した、偶然。
「プッ…」
誰かが吹き出した。
そこからはあちこちから笑いを堪える様子がする。
我慢出来ない人が1人出たらもうダメだ、私も我慢出来ない。
エリザと爆笑してると、
「リジー、なぜ皆んな笑ってるの?何?教えて?」
と言うと、陛下まで吹き出した。
そこからは、ピンクさんがどうなったのか分からないほど全員が大爆笑となり、王子の結婚式とは思えないほど、明るい結婚式になった。
新居に帰って、初夜になっても、
「なんで笑ってたの?」とずっと言っていたシリルは、しつこいと私に怒られて日が変わる頃、ようやく私達は本当の初夜を迎えた。
2度目の初夜は幸せな夜だった。
それからの新婚生活はバタバタ忙しくしながらも楽しい毎日だった。
ただ討伐後、一度でもシリルに抱かれた熱を散らした女性達からの手紙が止まらないのが悩みだった。
泣いて討伐に連れて行ってほしいと泣いて頼んだが、危ないからと断られていた。
他の女性を連れて行けるなら私でも良いじゃないかと喧嘩にもなった。
段々暗くなっていく私を心配した陛下達が少しゆっくり休んだ方がいいと旅行を進めてくれた。
王家所有の別荘は馬車で1日の距離にある静かな場所で、温泉もある良い所だという事でそこに10日ほど滞在することにした。
そして行きの馬車で事故にあった・・・・。
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──番じゃないと叫んでも聞いてもらえなかった花嫁の話です。
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