リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

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二年目 不本意な継承

つい、やっちゃったらしい

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「さて……。アスタールさん、『輝影の支配者』って、なんですか?」

 アスラーダさんに泣きついてしまった翌日の夕方。
リエラは、アスタールさんの出した宿題で調べた事を纏めたノートを提出しながらそう問う。
アスタールさんはノートをパラパラとめくって中身を確認すると、左耳をピコンとさせた。

「君自身が調べた情報では不足かね?」
「不確定情報も多いので、しっかりとご本人から聞きたいです」

 この返事からすると、調べてきたことに間違えはなかったらしい。
その事には少しホッとしたけれど、肝心の知りたい事は答えてくれる気がなさそうだ。
それが不満で、じっと見つめていると、アスタールさんはため息を吐く。

「まず、君が不安に思っている事は杞憂だと伝えておこう」
「不安に思ってる、事、ですか?」
「君は『輝影の支配者』の見習いではなく、人間で・・・、代行者だ」

 その言葉を聞いて、リエラの体からホッと力が抜けた。
良かったぁ。
危うく『神様〇習い☆秘密のリエラ』に改題しなきゃいけないところだったよ。
――って、そうじゃない!

「なんか、今、妙な言い方をしてませんでしたか?!」

 リエラの指摘に、アスタールさんはサッと目を逸らす。
今の言葉選びはワザとか……!

「一瞬、誤魔化されそうになりましたけど、『代行者』ってなんですか?」
「代行者と言うのは、『輝影の支配者』が役目を果たせなくなった場合に、その役割を担う人間の事だ」
「なんか、言葉のまんまですね」
「うむ」
「同意よりも、その『役目を果たせなくなった場合』って言うのはどういう状況ですか」
「例えば、『心神喪失状態』になったり『この世界に存在しなくなった』場合ではないかと思う」
「なんか不明確??」
「私が死亡でもすればはっきりするとは思うが……」
「それはちょっと勘弁してください」

 死んで試すとか、冗談にならないでしょうに。
アスラーダさんが卒倒しちゃいますよ。
……とは言え、なんかが引っかかる。
けど、引っ掛かるポイントがピンとこないな。
ピンときたらツッコミを入れる事にして、今はこっちの件から聞いておこう。

「それで、リエラはその代行者に、一体いつなったんでしょうか?」

 雇用契約した時には、輝影の支配者なんて名前も、ましてやその代行者なんて仕事をする事になるなんて事も書いてなかったのはきちんと確認済みだ。
アスタールさんはその問いに、視線を落として小さな声で呟く。
耳をタランと垂らしてるところを見ると、後ろめたい事をしたのかもしれない。

「あまりにも惜しかったので、つい」
「つい?」
「君の属性を判定した時に、『後、光の属性があれば完璧なのに』と思ったのだ」
「思ったのだ、って……」

 その返答に、背筋が冷たくなる。
ちょっと思っただけでそんな事が出来るとか、普通の人が出来る事じゃない。
『生き神様』だと言うのは、心の拠り所にしている的なモノだと思いたかったんだけど……。
リエラが黙り込むと、ポツリポツリと説明を始める。

「君は八属性のうちの『光』属性だけが欠けていたのだ。それがあれば……私の代役が出来るのではないかと、そう期待してしまったのだ」

 『代役』、かぁ……。
要は、自分の代理を出来る人が欲しかった、って事だよね?
属性が八つもあるなんて知らなかったんだけど、確かに一つだけ足りなかったら『惜しい!』って思うかも。
その属性が八つある事が代理になる人の条件で、かつ、足りない属性を自分が補う――足してやることができるんだったら……?
……リエラも、『つい』、足しちゃうかもしれない。
ただ、代役が欲しかったって事は、それが必要な理由もあったって事だよね?

「やった後で、後悔なかった訳ではないが、今更、それを取り消すことも出来ない」
「――その、属性を付け足す行為によって、リエラは『代行者』と言うモノになってしまったって事ですよね?」
「うむ……」
「アスタールさんは、なんで、自分の代わりを出来る人が欲しかったんですか? それは、アスラーダさんじゃ駄目だったんですか??」

 リエラに追加された属性を消すことが出来ないと言うのは、耳の動き方を見る限り、どうも本当らしい。
うーん……まぁ、それはいいや。
今更、出来なくなったら不便な事この上ないし、この件に関しては一旦脇に置いて置こう。
追加されたっげ属性を消してしまった場合、せっかく作った箱庭を手放すことになっちゃいそうだもの。
でも、そのせいでアスタールさんの『代行者』とか言う、訳の分からない立場にされてしまったらしいと言うのは、やっぱり納得しがたいよね。
リエラである必要性もなさそうだもの。
むしろ、アスタールさんの代行をするんだったら、双子のお兄さんであるアスラーダさんの方が適任だと思う。

「残念な事に兄上は、『輝影の支配者』の代行者にはなることが出来ないのだ」
「? なんでですか?? アスタールさんの双子のお兄さんなのに」

 リエラはアスタールさんの、心底残念そうな声色に、訳が分からず首を傾げた。
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