リエラの素材回収所

霧ちゃん→霧聖羅

文字の大きさ
80 / 263
二年目 いざ、グラムナードへ!

年越し祭り

しおりを挟む
 冬の満月の最終日。
この日は年越しの祭りがある。
市場もお店も学校も、ぜーんぶがお休みになる日。
その代わり、早咲きの花で飾り付けがされた大通りには出店が沢山立ち並び、広場では芸人さんや吟遊詩人さんなんかが大道芸が音楽を披露してくれる。
建国祭や収穫祭と並んで大きなお祭りだから、そりゃあもう、賑やか。
朝からすでに楽し気な音楽が風に乗って流れてきてるから、みんなソワソワうずうずと落ち着かない雰囲気。
お祭りの日だから早く、お外に出掛けたいよね。

 ウチの孤児院では毎年、その日だけはお料理もお洗濯もしなくていい。
お料理は、領主様のところで日持ちするモノを作って持ってきてくれるから。
この辺りは多分、先代領主様方が代々孤児院の代表を務めてくれてるからなんだと思う。
なにせ、うちの孤児院は下手な貧困家庭より食事も衣類もいいように見えるし。
孤児院の代表を務める事になったからって、貴族として暮らしてた高貴な方々は最低限の食事とか耐えられないからじゃないか、って言うのが私の推測。
ただし、お洗濯の方はそういう抜け道はない。
それだと不公平になっちゃうから、翌日に纏めて洗っていいことになってる。
大物の洗濯が突如は行っちゃった場合は別だけど。
……オネショはどうしようもないよね?

 ちなみに、上から二番目の年齢のお料理は十歳組のお仕事で、お洗濯はその次に年長になる九歳組のお仕事。
この辺りのお当番は全体の人数次第でもあるんだけど、ここ十年位はその分担で回ってるみたい。
十一歳になると自立資金を貯める為にアルバイトを始めるから、院内の雑用はやらなくて良くなるんだよね。
今年の初めに十一歳になった時は、『もう雑用卒業!』と思って浮かれたんだけど、アルバイトが思ったよりも大変だったのに驚いたっけ。
ついでに納得もした。
アルバイトをした上で、雑事までするのは大変すぎだもの。
独り立ちしたらそうも言ってられないんだろうけど。
でも、初めてそんな経験をしたのがもう随分前の事みたいに感じるのに、たったの一年前の事だとは……。
年月が経つのって、早すぎる。

 それに、明日がもう基礎学校の卒業式だなんてちょっと信じられない気分。
卒業式が終わると、お仕事の当てがない子は先生から適性に合ったお仕事への紹介状を貰って仕事探しに出る事になる。
そこから半月の内に、なんとか仕事を探して孤児院を出ないといけないんだよね。
私とアッシェとポッシェは、翌日にグラムナードへ向かう為に出発する予定。
他にも三人ほど既に仕事が決まっている子がいるから、今日の夜はそのメンバーも含めた最年長組のお別れ会と独り立ち祝いも兼ねている。
どうせお祝いをするのなら、ご馳走がある日の方が良いってのが理由。
……みんなで食べる最後のご馳走、楽しみだな。



 なにはともあれ、雑用を全部免除してもらえるこの日にやる事と言ったら一つだけ。
ズバリ!
お小遣いを握り締めて、町を練り歩く!

「はい、大事に使うんですよ。」
「シスターフェリシア、ありがとう!」
「美味しいものを食べていらっしゃい。」
「シスターアンナにもお土産買ってくるね。」

 朝食が終わると子供達は、食堂の出口で待機しているシスター達から今日のお小遣いをもらって、三々五々に部屋から飛び出していく。
お小遣いは五百ミル。
これはきちんと遣り繰りすれば、お腹いっぱいにお昼ご飯を食べることも出来る金額で、このお金を握って今日一日、外で遊ぶ。
実際には、大概すぐに甘いお菓子を買ってしまって散在しちゃうから、お祭りで引率する最年長(今回は私達)が、アルバイトで貯めたお金を少し持ち出して補填するんだけど。
現金を持たせることによって、お金に対する意識をきちんと持たせるって言うのが目的らしい。
だから、お兄さんやお姉さんが補填する場合には、思いっきりお小言を言って更に恩に着せながら……って言うのが慣習みたいになってる。
そのお小言に懲りた子は、次の年からきちんと考えて買い物するようになるんだよ。
ちなみに、その時に好物は買ってあげちゃいけない。
そこで好きなモノを買ってあげちゃうと、味を占めてまた同じことを繰り返す事になるからね。

「さて、みんな。
 お小遣いはもったです~?」
「はーい!!!」

 アッシェの問いかけに、おチビさん達が元気にお返事を返す。
その手には、ギュウッと握られた五枚の銅貨。
みんな、準備は万端だ。
さぁ、お出かけしよう!
しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。