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お客様にも色々あります
108日目 スフィーダからのお客様
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そのお客様は、お昼休憩の直前に滑り込んできた。
鼻眼鏡を掛けた神経質そうな銀髪のおじさんで、コンカッセはその姿を見るなり鼻の上にしわを寄せて奥へ引っ込んだ。
アッシェはそれには素知らぬ顔で「いらっしゃいませー」といつも通りのご挨拶。
「失礼。お嬢さん、こちらの店主と話したいのだが…。」
店の中をふんぞり返りながら舐めまわすように眺めた後、その人は私にそう言った。
「店長は私ですが、どんなご用件でしょうか?」
そう返すと、いかにも驚きましたと言う様な小馬鹿にした態度を返してくる。
…こうやって、相手を苛立たせるのがこの人の手なのかな?
そう思いつつ、笑顔を保っていると大げさな身振りでお辞儀をしつつ名乗りを上げ出した。
「私は学術都市スフィーダの魔術学院で教鞭をとらせて頂いているユバと申す者。
こちらに無許可で魔法薬を扱っているとの噂を聞きつけて伺わせて頂いた次第。」
「そうですか。」
「魔法薬を扱うのには、当学院の許可が必要なのはご存じでしょう?」
「いいえ。存じ上げません。」
「なんと!」
嘆かわしい!と言わんばかりに、目を覆って天井を見上げるとよろめいてみせる。
傍から見てるだけなら、きっと面白いんだろうけど…。
自分相手にやられるとやっぱり苛立たしいなぁ…。いや、苛立たしいんじゃなくてうざったいのか。
私はため息をつきたいのを我慢した。
来るだろうとは思っていたけれど、スフィーダの方が先だったか。
王都からの直通の道はまだできていないから妥当な順番なのかな…?
「魔法薬は、当学院の卒業証と共に発行される、魔法薬取り扱い許可証が無くては販売してはいけないのです…!それを、そ・れ・を!!!ご存じない…!?!?!?」
「そちらの学院を卒業された方はそうなんですね。」
「なんと!?貴方は、当学院をご卒業されていない?そうおっしゃっていらっしゃる?」
ワザとやってるのは分かるんだけど、やかましい、うざったい、めんどくさいと3拍子も揃っていて相手にするのが嫌になる。あっちは喧嘩を売ろうとしてるんだから、買ってはいけない。
我慢我慢。
「先程、店の許可証も魔法薬調合師の資格証も舐めるようにご覧になってらっしゃいましたよね?」
「拝見しましたとも!本当はどこで学ばれたのかは存じ上げませんが、『グラムナード錬金術工房』の発行した事になっている資格証を…!」
額に手を当て、俯くと握った拳を震わせる。
視界の端で、アッシェの肩も震えるのが見えた。
アッシェ笑っちゃダメ!
私も笑いたいんだから!!
「あの工房は、弟子…学生を迎え入れる事はありません!あなたが学んだと言うその工房は、紛いモノです!!!」
ビシィ!
と、私達の資格証を指差した。
残念。クルクル回転してくれた方が面白かったのに。
「情報が古いみたいですね。」
そう言って微笑むと、おじさんの髪の毛がタテガミの様にぶわっと広がった。
彼が何かを言おうとした瞬間、後ろのドアが勢いよく開いてゴン!と痛そうな音が店内に響いた。
あーあー…。
そんな、出入り口の側に陣取るから…。
「なぁなぁ、リエラー!アスラーダいないかぁ?」
ドアを思いきり叩きつけられたおじさんがのたうちまわるのにも気付かずに暢気な事を口にするのは、鍛冶屋さんの旦那さんの麗臥さんだ。
何故かやたらとアスラーダさんに抱きつきたがって、いつもなんだかモヤモヤするので私は彼が苦手…。
「アスラーダさんなら奥に居るけど…。麗臥さんは立ち入り禁止です。」
「え、いいじゃん。」
「何?!アスラーダ?!」
強引に押し通ろうとする麗臥さんと小競り合いをしていると、のたうちまわってたおじさんが素っ頓狂な声を上げた。
「わ・私はちょっと用を思い出したので、これで失礼する!」
そうして、スフィーダから来たと言う謎のおじさんはピョコンと跳ね様に立ち上がるとお店の外に逃げ出して行った。
アスラーダさんは魔術学園の出身だから…何か知ってるのかもしれない。
後で聞いておいた方がいいな。
そう思いつつ、逃げ出す背中を見送った。
その隙に奥へ侵入しようとしていた麗臥さんは、アッシェが股間を蹴りあげて撃退した。
アッシェ、女の子なんだからもっと他の手を使おうよ…。
とは思ったモノの、いつも図々しい麗臥さんが飛び上がったのを見た時にはちょっとだけスッとしてしまった。彼もたまには痛い目にあっておいた方がいいだろうし、自業自得と言う事にしておこう。
現在の資産
19.213.100ミル → 20.048.100ミル
収入
魔法薬売り上げ 962.200ミル
雑貨売り上げ 13.000ミル
魔法具売り上げ 27.000ミル
支出
今月の食費 167.200ミル
鼻眼鏡を掛けた神経質そうな銀髪のおじさんで、コンカッセはその姿を見るなり鼻の上にしわを寄せて奥へ引っ込んだ。
アッシェはそれには素知らぬ顔で「いらっしゃいませー」といつも通りのご挨拶。
「失礼。お嬢さん、こちらの店主と話したいのだが…。」
店の中をふんぞり返りながら舐めまわすように眺めた後、その人は私にそう言った。
「店長は私ですが、どんなご用件でしょうか?」
そう返すと、いかにも驚きましたと言う様な小馬鹿にした態度を返してくる。
…こうやって、相手を苛立たせるのがこの人の手なのかな?
そう思いつつ、笑顔を保っていると大げさな身振りでお辞儀をしつつ名乗りを上げ出した。
「私は学術都市スフィーダの魔術学院で教鞭をとらせて頂いているユバと申す者。
こちらに無許可で魔法薬を扱っているとの噂を聞きつけて伺わせて頂いた次第。」
「そうですか。」
「魔法薬を扱うのには、当学院の許可が必要なのはご存じでしょう?」
「いいえ。存じ上げません。」
「なんと!」
嘆かわしい!と言わんばかりに、目を覆って天井を見上げるとよろめいてみせる。
傍から見てるだけなら、きっと面白いんだろうけど…。
自分相手にやられるとやっぱり苛立たしいなぁ…。いや、苛立たしいんじゃなくてうざったいのか。
私はため息をつきたいのを我慢した。
来るだろうとは思っていたけれど、スフィーダの方が先だったか。
王都からの直通の道はまだできていないから妥当な順番なのかな…?
「魔法薬は、当学院の卒業証と共に発行される、魔法薬取り扱い許可証が無くては販売してはいけないのです…!それを、そ・れ・を!!!ご存じない…!?!?!?」
「そちらの学院を卒業された方はそうなんですね。」
「なんと!?貴方は、当学院をご卒業されていない?そうおっしゃっていらっしゃる?」
ワザとやってるのは分かるんだけど、やかましい、うざったい、めんどくさいと3拍子も揃っていて相手にするのが嫌になる。あっちは喧嘩を売ろうとしてるんだから、買ってはいけない。
我慢我慢。
「先程、店の許可証も魔法薬調合師の資格証も舐めるようにご覧になってらっしゃいましたよね?」
「拝見しましたとも!本当はどこで学ばれたのかは存じ上げませんが、『グラムナード錬金術工房』の発行した事になっている資格証を…!」
額に手を当て、俯くと握った拳を震わせる。
視界の端で、アッシェの肩も震えるのが見えた。
アッシェ笑っちゃダメ!
私も笑いたいんだから!!
「あの工房は、弟子…学生を迎え入れる事はありません!あなたが学んだと言うその工房は、紛いモノです!!!」
ビシィ!
と、私達の資格証を指差した。
残念。クルクル回転してくれた方が面白かったのに。
「情報が古いみたいですね。」
そう言って微笑むと、おじさんの髪の毛がタテガミの様にぶわっと広がった。
彼が何かを言おうとした瞬間、後ろのドアが勢いよく開いてゴン!と痛そうな音が店内に響いた。
あーあー…。
そんな、出入り口の側に陣取るから…。
「なぁなぁ、リエラー!アスラーダいないかぁ?」
ドアを思いきり叩きつけられたおじさんがのたうちまわるのにも気付かずに暢気な事を口にするのは、鍛冶屋さんの旦那さんの麗臥さんだ。
何故かやたらとアスラーダさんに抱きつきたがって、いつもなんだかモヤモヤするので私は彼が苦手…。
「アスラーダさんなら奥に居るけど…。麗臥さんは立ち入り禁止です。」
「え、いいじゃん。」
「何?!アスラーダ?!」
強引に押し通ろうとする麗臥さんと小競り合いをしていると、のたうちまわってたおじさんが素っ頓狂な声を上げた。
「わ・私はちょっと用を思い出したので、これで失礼する!」
そうして、スフィーダから来たと言う謎のおじさんはピョコンと跳ね様に立ち上がるとお店の外に逃げ出して行った。
アスラーダさんは魔術学園の出身だから…何か知ってるのかもしれない。
後で聞いておいた方がいいな。
そう思いつつ、逃げ出す背中を見送った。
その隙に奥へ侵入しようとしていた麗臥さんは、アッシェが股間を蹴りあげて撃退した。
アッシェ、女の子なんだからもっと他の手を使おうよ…。
とは思ったモノの、いつも図々しい麗臥さんが飛び上がったのを見た時にはちょっとだけスッとしてしまった。彼もたまには痛い目にあっておいた方がいいだろうし、自業自得と言う事にしておこう。
現在の資産
19.213.100ミル → 20.048.100ミル
収入
魔法薬売り上げ 962.200ミル
雑貨売り上げ 13.000ミル
魔法具売り上げ 27.000ミル
支出
今月の食費 167.200ミル
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