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王都
1日目 お屋敷
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「のひょおぉぉぉぉ…」
「でっかー!」
「ふかふかお布団…。」
「…まじで?」
町馬車に乗ってやってきたのは、アスラーダさんの『家』。
なんというか、『家』と言うよりも『お屋敷』と呼ぶのが正解だと思う。
「グラムナードとはやっぱり、同じ家でも随分違うよねー。」
大きなお屋敷を見上げて、口をぽかーんと開けている他のメンバーを横目に、ルナちゃんは違う方向に感心している。
いや、一人やたらとマイペースな事呟いてるのがいたから、みんなじゃないか。
全員が馬車から降りると、中から門扉が開けられた。
そこに居たのは、きっちりとした制服の様なものに、魔物の皮で作られたらしい防具を着けた二人の男の人。
「アスラーダ様、お帰りなさいませ。」
その彼等は、アスラーダさんにピシッと礼をすると門扉の両脇に直立した。
「御苦労。」
アスラーダさんは彼等にそれだけ言うと、みんなを中へと追い立てた。
通り過ぎる時に一旦立ち止ってから2人にペコリと頭を下げると、笑顔が返ってきた。
「母屋は親が使ってるから、こっちの離れを使う。」
そう言いながら、途中で右の小道に入るアスラーダさんにそれぞれ思い思いの返事をしながらみんなは付いてきた。
というか、敷地が随分と広い…。
すでに、孤児院の端から端までの距離は歩き終わってるのに、まだ母屋の端が見えません。
アスラーダさんの言うところの『離れ』に着いたのは10分位歩いた頃の話だった。
この『離れ』も、一般的な感覚では随分と広くて豪華。
王都にあるだけあって、ここも石造りの建物なんだけど、建物のあちこちに細やかな彫刻が施されていて石造りだってことで感じがそうな重厚な感じじゃなくてどちらかと言うと優美さを感じる。
こういうのが大好きなコンカッセは、早速手すりに彫られた彫刻の仔細を検めてる。
「そういうのは後にして、食事の用意に取りかかろう。」
「はいですー。」
アスラーダさんが呆れたようにコンカッセの頭を軽くはたいてから中に入って行った。
アッシェは素直に返事をするとすぐにその後に続いたんだけど、コンカッセは未練がましくチラチラと手すりを眺めてる。
「中にもっと素敵なのあるんじゃない?」
「ホントに?」
「外でこんなに凄いんだから、中もあるでしょ。」
「行く。」
別の餌をぶら下げてみると、あっさりとコンカッセも中に入って行った。
中にコンカッセが気に入るものがあるかは知らないけど、外より装飾が落ちるって事はないだろう…と、思いたい。
その希望をかなえた訳じゃないんだろうけど、中に入るとコンカッセの喜びそうな調度品がそこかしこに置かれていて、こっそりと安堵のため息を吐いた。
もし、お気に召すモノがなかったらコンカッセにネチネチと夕食の間中文句を言われる羽目になるところだった…。お金持ち万歳だ。
離れの中は普段は使っていなそうなのにもかかわらず、きちんと小奇麗で居心地良い様に整えられていた。敷かれている毛足の長めな絨毯にも殆どゴミらしいものはついていない。
入ってすぐの広間には右手に装飾の施された手すり付きの階段。
正面にある扉が開け放たれていて、みんなが入って行くのが見えた。
チラッとテーブルとイスが見えたから食堂かもしれない。
左手にも扉あるけど今は関係ないと言う訳で、とりあえずみんなの入って行った正面の扉に向かった。
「でっかー!」
「ふかふかお布団…。」
「…まじで?」
町馬車に乗ってやってきたのは、アスラーダさんの『家』。
なんというか、『家』と言うよりも『お屋敷』と呼ぶのが正解だと思う。
「グラムナードとはやっぱり、同じ家でも随分違うよねー。」
大きなお屋敷を見上げて、口をぽかーんと開けている他のメンバーを横目に、ルナちゃんは違う方向に感心している。
いや、一人やたらとマイペースな事呟いてるのがいたから、みんなじゃないか。
全員が馬車から降りると、中から門扉が開けられた。
そこに居たのは、きっちりとした制服の様なものに、魔物の皮で作られたらしい防具を着けた二人の男の人。
「アスラーダ様、お帰りなさいませ。」
その彼等は、アスラーダさんにピシッと礼をすると門扉の両脇に直立した。
「御苦労。」
アスラーダさんは彼等にそれだけ言うと、みんなを中へと追い立てた。
通り過ぎる時に一旦立ち止ってから2人にペコリと頭を下げると、笑顔が返ってきた。
「母屋は親が使ってるから、こっちの離れを使う。」
そう言いながら、途中で右の小道に入るアスラーダさんにそれぞれ思い思いの返事をしながらみんなは付いてきた。
というか、敷地が随分と広い…。
すでに、孤児院の端から端までの距離は歩き終わってるのに、まだ母屋の端が見えません。
アスラーダさんの言うところの『離れ』に着いたのは10分位歩いた頃の話だった。
この『離れ』も、一般的な感覚では随分と広くて豪華。
王都にあるだけあって、ここも石造りの建物なんだけど、建物のあちこちに細やかな彫刻が施されていて石造りだってことで感じがそうな重厚な感じじゃなくてどちらかと言うと優美さを感じる。
こういうのが大好きなコンカッセは、早速手すりに彫られた彫刻の仔細を検めてる。
「そういうのは後にして、食事の用意に取りかかろう。」
「はいですー。」
アスラーダさんが呆れたようにコンカッセの頭を軽くはたいてから中に入って行った。
アッシェは素直に返事をするとすぐにその後に続いたんだけど、コンカッセは未練がましくチラチラと手すりを眺めてる。
「中にもっと素敵なのあるんじゃない?」
「ホントに?」
「外でこんなに凄いんだから、中もあるでしょ。」
「行く。」
別の餌をぶら下げてみると、あっさりとコンカッセも中に入って行った。
中にコンカッセが気に入るものがあるかは知らないけど、外より装飾が落ちるって事はないだろう…と、思いたい。
その希望をかなえた訳じゃないんだろうけど、中に入るとコンカッセの喜びそうな調度品がそこかしこに置かれていて、こっそりと安堵のため息を吐いた。
もし、お気に召すモノがなかったらコンカッセにネチネチと夕食の間中文句を言われる羽目になるところだった…。お金持ち万歳だ。
離れの中は普段は使っていなそうなのにもかかわらず、きちんと小奇麗で居心地良い様に整えられていた。敷かれている毛足の長めな絨毯にも殆どゴミらしいものはついていない。
入ってすぐの広間には右手に装飾の施された手すり付きの階段。
正面にある扉が開け放たれていて、みんなが入って行くのが見えた。
チラッとテーブルとイスが見えたから食堂かもしれない。
左手にも扉あるけど今は関係ないと言う訳で、とりあえずみんなの入って行った正面の扉に向かった。
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