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宅地造成
★初めまして
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リリンが灰色に点滅しながら走っていくのを追いかけていると、程なく本人がUターンしてこちらに戻ってくるのが見えてきた。
その後ろには、斧を振りかぶって彼女を追いかける小柄な人影。
犬耳族のような姿をした少女が何かを叫ぶのに、とっさに叫び返した彼女が盛大に転げて、頭を庇うように手を上げて目を瞑るのとほぼ同時に私は二人の間に割り込んだ。
「PKの仲間? 庇い立てするなら、容赦しないよー?」
「こちらこそ。私の妻に手出しをするというのなら、死を覚悟したまえ。」
威嚇するように言い放つ少女に即座に切り返すと、スッと相手のどんぐりのように大きなな目が細められる。
今にもこちらに切りかかろうと、身を低くした瞬間、後ろから制止の声がかかった。
「まりあ! ストーップ!!」
犬耳少女の後ろから走りよってきた彼は、少女の持つ斧を下ろさせるとその背を優しく叩きながらあやし始める。
「まりあ、落ち着いて? ちゃんと、相手を見てみようか。」
「でも、サイちゃん。灰色点滅は犯罪者だよー?」
「うん。でも、なんかしらの事故って事もあるからね?」
彼らの話を聞いていて、即座に襲い掛かってくることはなさそうだと判断すると、私はリリンの前に膝をついて座り込んだままの彼女の無事を確認した。
「怪我は?」
「膝をすりむいただけ……。」
言われて膝を見ると、確かにひどくすりむけていて痛々しい。
バックパックから作り置きの軟膏を取り出すと、そっと傷に塗りこんでやる。
傷消し軟膏の効果はすぐに現れて、リリンの膝は元通りの綺麗な状態に戻ってくれてほっと一息といったところか。
「あの……アルの肩は?」
「……ああ。」
そういえば、それが発端だったなと思いながら襟元を引っ張ってそこを露出させる。
そこに現れた歯形を見て、リリンがヒュっと息を呑む。
「うわぁ……。これは痛い……。」
口元に手を当てて、上目遣いで私を見ると彼女は謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね、アル。……薬、塗らせてくれる?」
「うむ。」
彼女の謝罪を受け入れて軟膏を塗ってもらっている間に、あちらの話し合いも済んだらしい。
犬耳の斧少女の手を引いて、仲裁に入ってくれた蒼い狼耳族に似た姿の少年がタイミングを見計らってこちらに話しかけてくる。
「連れが失礼しました。」
そう口にすると、スッと頭を下げる。
「ちょ、サイちゃん。なんで……。」
「まりあ。」
異論ありげに声を上げる少女の名を呼んで黙らせると、彼は言葉を継いだ。
「アスタールさんと、リリンさん。ですよね?」
「……うむ。」
「ああ、良かった。」
突然、名前を問われ戸惑いつつ頷くと、彼はほっとしたように破顔した。
「まりあ、やっぱりこの人達はうちの両親の友人だよ。」
「えー? でも、PKは悪い人でだよー?」
「PKじゃないもん……。」
「じゃ、なんで犯罪者フラグたってるのー?」
ぷーっと頬を膨れ上がらせた犬耳少女……まりあは疑わしげな眼差しをリリンに向ける。
リリンは彼女の視線に視線を逸らすと、小声で理由を呟く。
『だって、アルが構ってくれなかったから……。』
リリンの声が聞こえない彼女は、苛立たしげにこちらを睨み付け…それから不意に、その目から力が抜ける。
「ねーねー。サイちゃん?」
「うん。」
「もしかしてこの人達ってさ、『行商広場のバカップル』?」
「!?」
「そうだね。」
「うわ、まりあ、初めて見たよー!」
「うん。僕も話に聞いただけだったから初対面だよ。」
何故か、一転してキラキラした目で少年…サイを見上げるまりあの言葉に、リリンの顔が赤く染まる。
『バカップル』という言葉に反応したようだが、『バカップル』とは何の事なのかが謎だ。
リリンの反応からすると、恥ずかしいもののようなのだが……。
「何はともあれ、初めまして。アスタールさん、リリンさん。イカ下足君とハニーちゃんの息子のサイと……。」
「その従妹のマリアだよー。」
「よろしくお見知りおきください。」
彼はそう言って、微笑んだ。
その後ろには、斧を振りかぶって彼女を追いかける小柄な人影。
犬耳族のような姿をした少女が何かを叫ぶのに、とっさに叫び返した彼女が盛大に転げて、頭を庇うように手を上げて目を瞑るのとほぼ同時に私は二人の間に割り込んだ。
「PKの仲間? 庇い立てするなら、容赦しないよー?」
「こちらこそ。私の妻に手出しをするというのなら、死を覚悟したまえ。」
威嚇するように言い放つ少女に即座に切り返すと、スッと相手のどんぐりのように大きなな目が細められる。
今にもこちらに切りかかろうと、身を低くした瞬間、後ろから制止の声がかかった。
「まりあ! ストーップ!!」
犬耳少女の後ろから走りよってきた彼は、少女の持つ斧を下ろさせるとその背を優しく叩きながらあやし始める。
「まりあ、落ち着いて? ちゃんと、相手を見てみようか。」
「でも、サイちゃん。灰色点滅は犯罪者だよー?」
「うん。でも、なんかしらの事故って事もあるからね?」
彼らの話を聞いていて、即座に襲い掛かってくることはなさそうだと判断すると、私はリリンの前に膝をついて座り込んだままの彼女の無事を確認した。
「怪我は?」
「膝をすりむいただけ……。」
言われて膝を見ると、確かにひどくすりむけていて痛々しい。
バックパックから作り置きの軟膏を取り出すと、そっと傷に塗りこんでやる。
傷消し軟膏の効果はすぐに現れて、リリンの膝は元通りの綺麗な状態に戻ってくれてほっと一息といったところか。
「あの……アルの肩は?」
「……ああ。」
そういえば、それが発端だったなと思いながら襟元を引っ張ってそこを露出させる。
そこに現れた歯形を見て、リリンがヒュっと息を呑む。
「うわぁ……。これは痛い……。」
口元に手を当てて、上目遣いで私を見ると彼女は謝罪の言葉を口にした。
「ごめんね、アル。……薬、塗らせてくれる?」
「うむ。」
彼女の謝罪を受け入れて軟膏を塗ってもらっている間に、あちらの話し合いも済んだらしい。
犬耳の斧少女の手を引いて、仲裁に入ってくれた蒼い狼耳族に似た姿の少年がタイミングを見計らってこちらに話しかけてくる。
「連れが失礼しました。」
そう口にすると、スッと頭を下げる。
「ちょ、サイちゃん。なんで……。」
「まりあ。」
異論ありげに声を上げる少女の名を呼んで黙らせると、彼は言葉を継いだ。
「アスタールさんと、リリンさん。ですよね?」
「……うむ。」
「ああ、良かった。」
突然、名前を問われ戸惑いつつ頷くと、彼はほっとしたように破顔した。
「まりあ、やっぱりこの人達はうちの両親の友人だよ。」
「えー? でも、PKは悪い人でだよー?」
「PKじゃないもん……。」
「じゃ、なんで犯罪者フラグたってるのー?」
ぷーっと頬を膨れ上がらせた犬耳少女……まりあは疑わしげな眼差しをリリンに向ける。
リリンは彼女の視線に視線を逸らすと、小声で理由を呟く。
『だって、アルが構ってくれなかったから……。』
リリンの声が聞こえない彼女は、苛立たしげにこちらを睨み付け…それから不意に、その目から力が抜ける。
「ねーねー。サイちゃん?」
「うん。」
「もしかしてこの人達ってさ、『行商広場のバカップル』?」
「!?」
「そうだね。」
「うわ、まりあ、初めて見たよー!」
「うん。僕も話に聞いただけだったから初対面だよ。」
何故か、一転してキラキラした目で少年…サイを見上げるまりあの言葉に、リリンの顔が赤く染まる。
『バカップル』という言葉に反応したようだが、『バカップル』とは何の事なのかが謎だ。
リリンの反応からすると、恥ずかしいもののようなのだが……。
「何はともあれ、初めまして。アスタールさん、リリンさん。イカ下足君とハニーちゃんの息子のサイと……。」
「その従妹のマリアだよー。」
「よろしくお見知りおきください。」
彼はそう言って、微笑んだ。
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