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大陸へ -第四夜~
☆ハニーちゃん
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港町に近付くと、独特の磯臭い匂いを含んだ風が吹きつけてくる。
「そういや、アルの住んでるところって海はあるの?」
「人工的なものなら。」
「ここのも、お仲間だわなぁ。」
イカ下足君は、アルの答えに笑い声を上げた。
確かに、ゲーム内の海も人工物だなとそれを聞いて納得する。
「泳げるのかなぁ~?」
「嫁さん曰く、イケるらしいわ。」
「……水着を着るのかね?」
アルが妙に弾んだ声を出した事に驚いて、彼を見上げると、何やら期待に満ちた様子でこちらを見下ろしていた。ピコピョコと動く耳に、『どうなの? どうなの??』という彼の心の声を代弁しているようだ。
「ええ?? 水着なんか作って無いよぉ?」
「作らないのかね?」
「えええ~?」
あんまりの食いつきっぷりにちょっと引きつつ、遠まわしにお断りを入れようとした途端に彼のテンションがダダ下がりになった。
そんなに?
そんなに水着姿が見たいのか??
困ってイカ下足君を見ると、彼は誰かに向かって手を振ってる。
「お、嫁さん待ってたわ。」
「イカ君こっち~!」
彼の視線を追うと、蛍光ピンクの髪をツインテールの縦ロールにした美少女が手を振っていた。
アルも私の視線の先を追って、目を瞬いた。
「……中々斬新な髪形の奥方だな。」
「アルのとこには、ああ言う髪型って無いの?」
「初めてみた。」
ぼんやりとそう答える彼に、水着の件は忘れてくれたらしいとわたしはこっそり胸を撫で下ろした。
「イカ君の妻の、『ハニーちゃん』でっす☆ 年齢は20歳♪」
「×2なんだわ~。」
「イカ君、言っちゃダメ!」
分かります。
女だもん。
こういう場合に下にサバ読みしてキャラ作るのはデフォだよね!
「それにしても、イカ下足君がウチらの絡みに免疫ある理由が分かったよ。」
「ウチも昔はバカップルって言われてたんだわ。」
「今も、仲はいいでしょ。」
「息子に良く呆れられてるわぁ。」
「それにしても……。」
ハニーちゃんは、そう言いながらアルを覗き込む。
「イカ君の言ってた通り、アスタール君美人さん! お友達になって下さい!!」
「う・うむ……。」
「やーったぁ~!」
まるで、某番組のプロポーズの様な形で差し出した手をアルが取ると、その手を両手で挟んでピョンと飛び上がって喜び始めた。
なんか、テンション高い人だなーと思いながらイカ下足君に訊ねると、苦笑が返ってきた。
「2~3日で落ち着くと思うわ。」
「了解。」
「んじゃ、クエ受けに行こうか。」
イカ下足君の言葉を聞くと、ハニーちゃんはいそいそと彼の腕をとって歩きだす。
「クエのNPCはこっちよ~!」
わたしとアルは、顔を見合わせると笑みを交わしてその後を追いかけた。
「そういや、アルの住んでるところって海はあるの?」
「人工的なものなら。」
「ここのも、お仲間だわなぁ。」
イカ下足君は、アルの答えに笑い声を上げた。
確かに、ゲーム内の海も人工物だなとそれを聞いて納得する。
「泳げるのかなぁ~?」
「嫁さん曰く、イケるらしいわ。」
「……水着を着るのかね?」
アルが妙に弾んだ声を出した事に驚いて、彼を見上げると、何やら期待に満ちた様子でこちらを見下ろしていた。ピコピョコと動く耳に、『どうなの? どうなの??』という彼の心の声を代弁しているようだ。
「ええ?? 水着なんか作って無いよぉ?」
「作らないのかね?」
「えええ~?」
あんまりの食いつきっぷりにちょっと引きつつ、遠まわしにお断りを入れようとした途端に彼のテンションがダダ下がりになった。
そんなに?
そんなに水着姿が見たいのか??
困ってイカ下足君を見ると、彼は誰かに向かって手を振ってる。
「お、嫁さん待ってたわ。」
「イカ君こっち~!」
彼の視線を追うと、蛍光ピンクの髪をツインテールの縦ロールにした美少女が手を振っていた。
アルも私の視線の先を追って、目を瞬いた。
「……中々斬新な髪形の奥方だな。」
「アルのとこには、ああ言う髪型って無いの?」
「初めてみた。」
ぼんやりとそう答える彼に、水着の件は忘れてくれたらしいとわたしはこっそり胸を撫で下ろした。
「イカ君の妻の、『ハニーちゃん』でっす☆ 年齢は20歳♪」
「×2なんだわ~。」
「イカ君、言っちゃダメ!」
分かります。
女だもん。
こういう場合に下にサバ読みしてキャラ作るのはデフォだよね!
「それにしても、イカ下足君がウチらの絡みに免疫ある理由が分かったよ。」
「ウチも昔はバカップルって言われてたんだわ。」
「今も、仲はいいでしょ。」
「息子に良く呆れられてるわぁ。」
「それにしても……。」
ハニーちゃんは、そう言いながらアルを覗き込む。
「イカ君の言ってた通り、アスタール君美人さん! お友達になって下さい!!」
「う・うむ……。」
「やーったぁ~!」
まるで、某番組のプロポーズの様な形で差し出した手をアルが取ると、その手を両手で挟んでピョンと飛び上がって喜び始めた。
なんか、テンション高い人だなーと思いながらイカ下足君に訊ねると、苦笑が返ってきた。
「2~3日で落ち着くと思うわ。」
「了解。」
「んじゃ、クエ受けに行こうか。」
イカ下足君の言葉を聞くと、ハニーちゃんはいそいそと彼の腕をとって歩きだす。
「クエのNPCはこっちよ~!」
わたしとアルは、顔を見合わせると笑みを交わしてその後を追いかけた。
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