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大陸へ -第四夜~
☆調味料
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道中は、ちょこちょことトハイザーウルフやら、トハイザーフォックスなんかの、獣形の敵がちょこちょこ現れるので思いの外はかどらない。
しかも、4~5匹がデフォルトで襲ってくるから、うざったい。
アルが早めに発見してくれてる時なんかは、遠くに居る時点で魔法で少し倒しておいてくれるから割と楽なんだけど、視界の悪いところだとそうもいかないからね。
そうはいっても、イカ下足君がいてくれるから随分と楽ちんだ。
「しかし、視界が悪くなってきたなぁ。」
鬱蒼と茂った森の中の道をたどりながら、イカ下足君がぼやく。
道自体は、多少うねうねしてはいるけれどもきちんと石畳で舗装された立派なモノだ。
問題は、さっきから敵MOBが出てくる両脇の森。
木の下生えが邪魔になってしまっていて、さっきから不意打ちに近い襲撃ばっかり受けてるんだよね。
王都近辺は割と賑やかだったのに、その南にある港町のノイブルクにはまだあまり向かう人が居ないのか、他の人が近くに居ると言う事も無い。
「そういえば、リリンちゃんは課金アイテム使う予定あるん?」
「課金アイテムって、他ゲーでも買った事無いなぁ……。」
イカ下足君が不意にしてきた質問に、首を傾げる。
自分で買うつもりが無いから、一度も公式ページで課金アイテムを見た事無いんだよね。
「あれな、リアルの大企業系の機材とかなら結構揃ってんだわ。」
「ほむほむ?」
「リリンちゃんならだけど、調味料とかの類もメーカー別。」
「……と言うと、HIGATAの醤油とか?」
「そうそう。HIGATAの商品一纏めで月に100円とかなんだわ。」
「マジで?」
ソレは一考の余地があるかもしれない。
私達の会話に交じれずに、少し寂しそうにしているアルを見ながら思う。
調味料の類も、普段使ってるのと違うとやっぱり味に違和感があるんだよね。
「そうか……。生産施設に醤油・味噌・ソース・ケチャップなんかがないのはそのせいか……!」
「あ、ないんだ?」
「そうなんだよ~! 不便だと思ってた……!」
「課金アイテム、まだ解禁になって無いんだけど解禁されたら教えよか?」
「助かる♪」
私は嬉しくなって、アルにギュ―っと抱きついた。
「これで、もーっと美味しい物食べさせてあげられるね~♪」
「ソレは楽しみだが……。今でも、君の作る物は十分美味しいのではないかね?」
「アスタール君のは、色々フィルターが掛かりまくってそうだわなぁ?」
イカ下足君が、からかい交じりにそう言うと、アルはシレっとこう言った。
「イカ下足君殿は、お弁当は要らないそうだ。」
「今日のお弁当は、お好み焼き! イカ下足君は要らないのか~。」
「そんな殺生な~!」
私が取り出した、ホカホカのお好み焼きをみてイカ下足君は悲鳴じみた声を上げる。
ちょっぴり意地悪して、ふざけ半分の追いかけっこをした後3人で道を外れた場所に座り込んで一緒に食べた。
「やっぱりソース欲しいねぇ。」
「ソースと言うのがあると、もっと美味しいのかね?」
「そうそう。もう一味もふた味も上がるんだわ。課金するなら、是非ブルダックでお願いしたいわ~。」
「お、うちもブルダック!」
「おお~♪ な・か・ま~♪」
イカ下足君とハイタッチしていたら、不意にアルが膝を抱え込んで丸くなった。
「…………。イカ下足君なんか嫌いだ……。」
「え!? 突然何で~?!」
「あ……。そか、アルには分からない会話だった……。」
「え、今のそんな難しい会話だった?」
イカ下足君とアルが違和感なく話していたのもあってか、アルがこっちの世界の食べ物とかに疎いのをうっかり忘れかけてた。アルに謝りながら、課金アイテムの話に限らず、他の人との会話の内容はアルにも理解できるものにしなくてはと思う。
彼が、言葉に出していじけるまで気付かなくって申し訳ない気持ちになった。
しかも、4~5匹がデフォルトで襲ってくるから、うざったい。
アルが早めに発見してくれてる時なんかは、遠くに居る時点で魔法で少し倒しておいてくれるから割と楽なんだけど、視界の悪いところだとそうもいかないからね。
そうはいっても、イカ下足君がいてくれるから随分と楽ちんだ。
「しかし、視界が悪くなってきたなぁ。」
鬱蒼と茂った森の中の道をたどりながら、イカ下足君がぼやく。
道自体は、多少うねうねしてはいるけれどもきちんと石畳で舗装された立派なモノだ。
問題は、さっきから敵MOBが出てくる両脇の森。
木の下生えが邪魔になってしまっていて、さっきから不意打ちに近い襲撃ばっかり受けてるんだよね。
王都近辺は割と賑やかだったのに、その南にある港町のノイブルクにはまだあまり向かう人が居ないのか、他の人が近くに居ると言う事も無い。
「そういえば、リリンちゃんは課金アイテム使う予定あるん?」
「課金アイテムって、他ゲーでも買った事無いなぁ……。」
イカ下足君が不意にしてきた質問に、首を傾げる。
自分で買うつもりが無いから、一度も公式ページで課金アイテムを見た事無いんだよね。
「あれな、リアルの大企業系の機材とかなら結構揃ってんだわ。」
「ほむほむ?」
「リリンちゃんならだけど、調味料とかの類もメーカー別。」
「……と言うと、HIGATAの醤油とか?」
「そうそう。HIGATAの商品一纏めで月に100円とかなんだわ。」
「マジで?」
ソレは一考の余地があるかもしれない。
私達の会話に交じれずに、少し寂しそうにしているアルを見ながら思う。
調味料の類も、普段使ってるのと違うとやっぱり味に違和感があるんだよね。
「そうか……。生産施設に醤油・味噌・ソース・ケチャップなんかがないのはそのせいか……!」
「あ、ないんだ?」
「そうなんだよ~! 不便だと思ってた……!」
「課金アイテム、まだ解禁になって無いんだけど解禁されたら教えよか?」
「助かる♪」
私は嬉しくなって、アルにギュ―っと抱きついた。
「これで、もーっと美味しい物食べさせてあげられるね~♪」
「ソレは楽しみだが……。今でも、君の作る物は十分美味しいのではないかね?」
「アスタール君のは、色々フィルターが掛かりまくってそうだわなぁ?」
イカ下足君が、からかい交じりにそう言うと、アルはシレっとこう言った。
「イカ下足君殿は、お弁当は要らないそうだ。」
「今日のお弁当は、お好み焼き! イカ下足君は要らないのか~。」
「そんな殺生な~!」
私が取り出した、ホカホカのお好み焼きをみてイカ下足君は悲鳴じみた声を上げる。
ちょっぴり意地悪して、ふざけ半分の追いかけっこをした後3人で道を外れた場所に座り込んで一緒に食べた。
「やっぱりソース欲しいねぇ。」
「ソースと言うのがあると、もっと美味しいのかね?」
「そうそう。もう一味もふた味も上がるんだわ。課金するなら、是非ブルダックでお願いしたいわ~。」
「お、うちもブルダック!」
「おお~♪ な・か・ま~♪」
イカ下足君とハイタッチしていたら、不意にアルが膝を抱え込んで丸くなった。
「…………。イカ下足君なんか嫌いだ……。」
「え!? 突然何で~?!」
「あ……。そか、アルには分からない会話だった……。」
「え、今のそんな難しい会話だった?」
イカ下足君とアルが違和感なく話していたのもあってか、アルがこっちの世界の食べ物とかに疎いのをうっかり忘れかけてた。アルに謝りながら、課金アイテムの話に限らず、他の人との会話の内容はアルにも理解できるものにしなくてはと思う。
彼が、言葉に出していじけるまで気付かなくって申し訳ない気持ちになった。
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