秘密の異世界交流

霧ちゃん→霧聖羅

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第三夜

☆呆れと感心

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 ログアウトすると、体に感覚が戻っていくのを感じる。
機器を外してしまいながら、わたしは1人で今日の事を思い出して笑いだしてしまった。
夜中だから、流石に声は抑えたけど。

 アスタールが、私の買い物に付き合いながら何を見ているかなんて、考えた事も無かったなぁと、反省するべき点もあったけど、まさか彼が見てたのが女性向けの露出の高い服だったとは。
その上で、ソレを私に着て欲しいけど他の人に見せたくないから、服の保管場所も兼ねて家が欲しくなったとか、何と言えばいいんだろう?
可愛すぎ?
涼しい顔して、女の子の体にしっかり興味があったのかぁとも一瞬だけ思ったけど、他の人に見せたくないって項目が追加された事で誰が着てても良いものじゃないらしいと理解した。
ゲーム内での彼の行動を見てて分かってはいた事だけど、素直に嬉しい。
アスタールの事は、私も好きだし。
そういう服を着ても良いよと遠まわしに伝えたのは通じなかったみたいだけど、イカ下足君が通訳してくれたらピコピョコと耳を揺らして喜んでいるのが可愛くもあり、単純だなーと微笑ましくもあり。
 私も、彼に他の人の前で着て欲しくないモノを着て貰おうかな、と思う。
あんまりかっこいい服を着せてまた変なのが出てくるのも嫌だけど、ダサいのよりもカッコイイ服を着てるところを見たいし。

 なにはともあれ、今日は彼が今までやってきたゲームの中でも『初めて』欲しい物を口にしてくれた。
今まではずーっと、私のやりたい事ばっかりで彼のやりたい事を伝えられる事が無かったから、ソレもちょっぴり嬉しい。
『わがままを言ってると思われないか?』『不純な動機でどう思われるだろう?』と、不安げに揺れていた彼の感情表現豊かな耳を思い出しすと、またクスクスと笑いがこみあげて来てしまう。
そんな事で、嫌いになんてなったりしないのに。
むしろ、もっと我がまま言ってくれればいい。

「それにしても、ログアウト前にアルの欲しいモノのとっかかりっぽいクエを請けられたのは収穫かな。」

 そう、ひとりごちて改めて目を閉じる。
明日はお仕事があるからね。
どうせ暇な会社だし、人が居ない間に夜の為の情報を見る時間位とれるだろう。




★★★イカ下足君★★★

「うっわ。リリンちゃん随分頑張ってるんだなぁ……。」

 公式サイトのチェックをしていた僕は、思わず声を出していた。
僕が今見てるのは、『ランキング』。
今日でサービス開始から3日目……4日目に差しかかる『セカンドワールド』の公式サイトには、良くある『ランキング』のページもある。
まさか、その中に彼の友人の名前を見付けるとは思わなかった。

「めんどくさがり屋なんかな?」

 彼女が堂々の1位になっているのは、『商売人クエスト達成回数』だ。
僕は正直、人を相手に行商するのが楽しくてクエは殆どやってない。
彼女も、人を相手に商売するのを楽しそうにしてた気がするから、こんなにクエをやってるなんて思いもしなかった。
彼女のクエスト達成回数は、この3日で1000を超えていて、2位以降の倍はやってる計算になる。

「よーやるわぁ……。」

 感心半分、呆れ半分に呟きながら他のページも流し読みしてみる。
ああ。
最初の町のある島ではPKできないんか。
道理で襲われないと思ったわ。
って事は、やっぱり家システムもあそこでは機能してないのかもだわなぁ。
明日、あの二人に会えたらソレを教えてやる事にしながら、課金アイテムのページを開く。
まだ機能していないそのページをついつい開いてしまうのは、リアルで欲しいと思ってる機材がリストに上がっているから。サービス開始直後からリストが表示されていて、導入される事が決まっているモノの未だ課金する事が出来ない。
このゲームは、スポンサーもアレコレ付いているらしく、有名メーカーの機器は大体課金アイテムや、生産施設で使用できるようになるらしい。
リリンちゃんが言ってた、家で使ってるミシンが細かく指定できるって言うのもそういう事だ。
僕はゲーム内で、その使い心地を確認した上でなら購入の検討をしてもいいと思っていて、課金が開始される日を心待ちにしている。

「早よ、買えるようにならんかなぁ?」

 僕はその日も、夜更かしさんだった。
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