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第一夜
☆ちょっとした落とし穴
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「リリン。」
「ん?」
「問題案件発生なのだが……。」
「ほえ??」
「今のウサギ肉10kg分の売り上げでのクエストの進捗が1しか進まなかった。」
それは、わたしにとって衝撃的な言葉だった。
いやいや、だってね?
私は散々行商クエストやったんだよ?
その回数、何と10回!
その10回の間、そんな事は1度もなかったんだけど……。
「ええええ……??? 何でだろう???」
アルと二人で首を捻ってると、そばで行商をやってたおっちゃんが答えをくれた。
「そのクエって、行商10回のかな?」
「あ、そうですー!」
「ソレな、10個じゃなくて、10回なんだわ。」
「ほえ……??」
「スキルを使って作ったアイテムだと10個売ってもカウントされるみたいなんだけどなぁ……。素材の場合は、10回にわたって売らないと進まないんだわ。」
「ふむ。では、1kgづつ出品してみよう。」
おじさんにお礼を言いつつ、アルが1kgだけ出品したウサギ肉を購入。
コレは後で、お弁当の材料にするのだ♪
自力でゲットした材料もあるけど、そこはそれ。
売り物にする事を考えると、沢山素材は持っておきたいよね。
「……確かに、進捗度が2になった。」
「お、それじゃ、1kgづつ買うから残り8kg出してくれる?」
「うむ。」
私が残りの8kgを小分けに購入し終わると、アルのところへ小竜が舞い降りてきた。
クエスト終了だ♪
「おじさんありがと♪」
「いやいや。ついでにウチの店も見てってくれるかい?」
「喜んで♪」
それが、『イカ下足君』との出会いだった。
イカ下足君が行商に出しているのは、『棒』的なものだった。
聞いて見たら、木工で加工したものらしい。
加工は荒く見える物の、30センチ前後の長さのその棒の手に持つ部分には、きちんと布が巻かれていて滑り辛い様になってる。
お?
あらやだ。
良く見たら、棒の半ば位のところにはウサギの彫り物まであるよ!
なにこれめっちゃかわいい!!!
兎殺棒
武器ランク:H 耐久度:20
値段: 100G
しかも、他の行商で見た物よりも耐久度が高い!
確か、他で見た類似品は耐久10だったはず。
ちょっと値段が高いけど、2回武芸者のクエストやれる事を考えれば問題ない。
武芸者クエの為に枝を拾うのも結構めんどいんだよね。
わたしは迷わずそれを手に取った。
「まいどー!」
「私も貰えるかね?」
「はいよー!」
「ねーねー、これってレシピに載ってるヤツ??」
このゲーム、生産スキルを持っていて、更に相応のレベルがないとレシピを見る事ができない。
だから私の場合、料理・裁縫・紡績の3種類のLV1の物は見れるんだけど、木工とかの物は見れないので聞いて見た。
いや、だってさ、こんなウサギ狩りにしか使わないの前提みたいな名前の武器がレシピにあるのかと思うじゃない?名前がピンポイント過ぎ!他より高い耐久度もキニナルよね?
「ふっふっふ~! よくぞ聞いてくれました。これはねぇ、ウチのオリジナルレシピ!」
「オリジナル?」
「おじさん、リアルの方でも木を加工する仕事をしてるんだわ。で、枝を拾って閃いた!木殺しで耐久が上がるんじゃないかな~と。」
「キゴロシ??」
「ほんとは、穴に嵌め込む時に微妙に入らない木をコンコン叩いて、入る様にする技術なんだけどね。これを応用して、全体を叩いて圧縮を掛けたようにならないか試してみたんだわ。」
「で、成功したと。」
「そそ。」
おじさんは、ムフン!と得意げに胸を張った。
確かに誇っていい場所だ。
「でも、そういう事はさ、もしかしてリアルの知識の応用での生産も出来るって事だよね。」
「夢が広がるね~!」
「うわ、色々試したい! おじさんありがと♪」
「イカ下足君。」
「へ?」
「イカ下足君って言うんだわ。あんちゃんとおねーちゃんは?」
人懐こい笑顔で訊ねてくるイカ下足君に、思わず笑ってしまう。
「わたしはリリン。」
「アスタールだ。」
「フレ交換どう?」
そうして、私達はイカ下足君とフレンドになった。
「ん?」
「問題案件発生なのだが……。」
「ほえ??」
「今のウサギ肉10kg分の売り上げでのクエストの進捗が1しか進まなかった。」
それは、わたしにとって衝撃的な言葉だった。
いやいや、だってね?
私は散々行商クエストやったんだよ?
その回数、何と10回!
その10回の間、そんな事は1度もなかったんだけど……。
「ええええ……??? 何でだろう???」
アルと二人で首を捻ってると、そばで行商をやってたおっちゃんが答えをくれた。
「そのクエって、行商10回のかな?」
「あ、そうですー!」
「ソレな、10個じゃなくて、10回なんだわ。」
「ほえ……??」
「スキルを使って作ったアイテムだと10個売ってもカウントされるみたいなんだけどなぁ……。素材の場合は、10回にわたって売らないと進まないんだわ。」
「ふむ。では、1kgづつ出品してみよう。」
おじさんにお礼を言いつつ、アルが1kgだけ出品したウサギ肉を購入。
コレは後で、お弁当の材料にするのだ♪
自力でゲットした材料もあるけど、そこはそれ。
売り物にする事を考えると、沢山素材は持っておきたいよね。
「……確かに、進捗度が2になった。」
「お、それじゃ、1kgづつ買うから残り8kg出してくれる?」
「うむ。」
私が残りの8kgを小分けに購入し終わると、アルのところへ小竜が舞い降りてきた。
クエスト終了だ♪
「おじさんありがと♪」
「いやいや。ついでにウチの店も見てってくれるかい?」
「喜んで♪」
それが、『イカ下足君』との出会いだった。
イカ下足君が行商に出しているのは、『棒』的なものだった。
聞いて見たら、木工で加工したものらしい。
加工は荒く見える物の、30センチ前後の長さのその棒の手に持つ部分には、きちんと布が巻かれていて滑り辛い様になってる。
お?
あらやだ。
良く見たら、棒の半ば位のところにはウサギの彫り物まであるよ!
なにこれめっちゃかわいい!!!
兎殺棒
武器ランク:H 耐久度:20
値段: 100G
しかも、他の行商で見た物よりも耐久度が高い!
確か、他で見た類似品は耐久10だったはず。
ちょっと値段が高いけど、2回武芸者のクエストやれる事を考えれば問題ない。
武芸者クエの為に枝を拾うのも結構めんどいんだよね。
わたしは迷わずそれを手に取った。
「まいどー!」
「私も貰えるかね?」
「はいよー!」
「ねーねー、これってレシピに載ってるヤツ??」
このゲーム、生産スキルを持っていて、更に相応のレベルがないとレシピを見る事ができない。
だから私の場合、料理・裁縫・紡績の3種類のLV1の物は見れるんだけど、木工とかの物は見れないので聞いて見た。
いや、だってさ、こんなウサギ狩りにしか使わないの前提みたいな名前の武器がレシピにあるのかと思うじゃない?名前がピンポイント過ぎ!他より高い耐久度もキニナルよね?
「ふっふっふ~! よくぞ聞いてくれました。これはねぇ、ウチのオリジナルレシピ!」
「オリジナル?」
「おじさん、リアルの方でも木を加工する仕事をしてるんだわ。で、枝を拾って閃いた!木殺しで耐久が上がるんじゃないかな~と。」
「キゴロシ??」
「ほんとは、穴に嵌め込む時に微妙に入らない木をコンコン叩いて、入る様にする技術なんだけどね。これを応用して、全体を叩いて圧縮を掛けたようにならないか試してみたんだわ。」
「で、成功したと。」
「そそ。」
おじさんは、ムフン!と得意げに胸を張った。
確かに誇っていい場所だ。
「でも、そういう事はさ、もしかしてリアルの知識の応用での生産も出来るって事だよね。」
「夢が広がるね~!」
「うわ、色々試したい! おじさんありがと♪」
「イカ下足君。」
「へ?」
「イカ下足君って言うんだわ。あんちゃんとおねーちゃんは?」
人懐こい笑顔で訊ねてくるイカ下足君に、思わず笑ってしまう。
「わたしはリリン。」
「アスタールだ。」
「フレ交換どう?」
そうして、私達はイカ下足君とフレンドになった。
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