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第一夜
★初フィールド ~採集~
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リリンと共に、各ギルドのクエストを1つづつ請け負うと早速フィールドへと繰り出した。
外へ向かう道中で彼女とはパーティーを組んだ上で、フレンド登録も済ませてある。
これで、万が一はぐれてもすぐにフレンド通信とやらで再会する事が出来るらしい。
私の世界にもフレンド通信とやらが欲しいものだ……。
地球世界には、携帯できる通信装置が庶民でも入手できる価格で販売されているらしい。
私の世界だと未だ通信装置と言うのを聞いた事が無いのだが、誰か開発してくれないものだろうか?
魔法ででもいいのだが、そういったモノがあると素晴らしく便利なのではないかと思える。
さて、話は戻るが、先程彼女を見付けたのは『南門・行商広場』と言う場所で、私達が今出てきたのはその側にある南門になる。この始まりの町『イスブルク』はぐるりと高い石塀に囲まれており、その壁の北と南の2か所に門があるそうだ。どちらも同じサイズの門なのだそうだが、北は山に面している為に殆ど出入りがないのだとかで大門を開ける事は殆ど無く、その横にある通用門が使われているのだとリリンが道すがら教えてくれた。
それと比べて、南門の方は他の町や村との行き気に使われている為、大門が開けっぱなしになっており常に人が出入りしている状態だ。門兵が数人、大門の左右に立ってはいるものの、入街税の類は無いらしく人々は皆その脇を素通りして行っている。
門を出ると、目の前には広大な草原が広がっておりそのあちこちでプレイヤーらしき人達が何かと戦っているのが見えた。
「ここからは、流石に手を離そうか。」
「うむ……。」
「取り敢えず、コレ渡しておくね?」
「? 枝……かね?」
名残惜しく感じながらも渋々手を離すと、彼女から木の枝を手渡される。
太さは丁度手で握れる位で長さは30センチ程の、どこかの木から折れてきたままの様に見えるソレの詳細を改めようとすると、アイテムとしてのデータが脳裏に閃く。
枝
その辺から拾ってきた枝。
武器や素材として使用できる。
武器としての性能は最低限。
武器ランク:H 耐久度:3
「一応、使い捨ての武器として使えるの。」
「耐久度3と言うのは……。」
「3回殴ると折れちゃう。」
「成程。武器ランクは最低が『H』なのかね?」
「多分そうじゃないかなー?上手く合わせれば、そこら辺に居るウサギなら1発で何とか倒せるよ。」
流石に、今までのゲームでもこんな枝の切れ端でウサギを倒せた事が無かったのもあって、その話にはやはり首を傾げてしまう。
いや、地球世界のウサギはもしかしたらこんな物でも命を簡単に落とすのかもしれない。
何せ、木の根っこに躓いて命を落とすウサギの歌もあるそうだから。
「まずは採集からにしよっか。」
「うむ。問題ない。」
彼女の提案に一も二もなく賛同しながら周囲を見回すと、あちらこちらに薄黄色に光るポイントがあるのが目につく。その光るポイントは低木や草むらなどの様々なオブジェクト近くにあるようだ。
「あの辺りにある薄黄色に光っているのが採集ポイントかね?」
「そそ。ただ、初期スキルの採集だと拾えるものが決まってるんだよね。」
「ふむ? 参考までに聞いてみても?」
「石・薬草・卵・枝・雑草・ハーブ」
私が手近な低木を指さしつつ訊ねると、彼女は即座にそれを肯定しながら補足情報も教えてくれる。
何と言えば言いものか判断しかねるのだが、雑草の使い道に見当が付かない。
石と枝は武器の代わり、卵とハーブは調理素材、薬草はほぼ名前の通りだろうと思うのだが……。
「雑草と言うのは何かに使えるのかね?」
想像もつかないので聞いてみると、彼女からは「糸の素材みたい」と言う返事が返ってきた。
なんとまぁ。
地球世界では、雑草から糸を紡ぐのか……!
驚いていると、ソレに気が付いたリリンの尻尾に尻を叩かれた。
「地球でも、雑草から糸は普通とらないから!」
「……騙されるところだった。」
「まぁ、まずは採集しよ?」
「うむ。」
「採集回数はランダムみたいなんだけど、光が消えるまでは採集できるからね。」
手近な採集ポイントに向かうと彼女と並んでしゃがみこむ。
そうしてからリリンの説明に頷きつつ、彼女を真似て光るポイントに手を伸ばしてみる。
光の中に入れた手に、何かの感触を感じてソレを握りながら手を戻すと、そこには1束の草が握られていた。詳細を確認してみると、脳裏にその情報が現れた。
ハーブ
調薬素材として使用可能。
ハーブティーの材料として使える。
調理素材としても使用可能で、その際は風味付けとしての利用となる。
成程と頷きつつ、まだ光っているポイントに手を伸ばす。
4回採集するとただのオブジェクトに戻ってしまった。
10回採集をするというクエストだったから、後6回他のポイントを回って採集する必要があるらしい。
その後、2か所目でも同じ様に採集をするとそのポイントでは6回採る事が出来て、無事クエストの条件をクリアする事が出来た。
「今まで、6回取れたポイントってなかったんだよ~♪」
「随分と運が良かったようだ。」
ホクホク顔のリリンに私も嬉しくなりながらそう答える。
ああ、やはり彼女のこんな顔が見られただけでもこのゲームを始めた甲斐があった……。
私はうっとりと彼女に見惚れながら頭の隅でそう思っていた。
☆クエストクリア☆
採集をつかってみよう! 報酬 200ゴールド / 経験値20
--------------------------------------------------------------------------
アスタール 所持金1200(200増加)
職LV: 商売人・武芸者・魔法師LV0 / 探索者LV1
スキル: 行商LV1 / 採集LV1 / 攻撃LV1 / 魔法弾LV1
リリン 所持金4600(200増加)
職LV: 商売人LV3 / 探索者・武芸者・魔法師LV1
スキル: 行商LV1 / 調理LV1 / 紡績LV1 / 裁縫LV1
採集LV1
攻撃LV1
魔法弾LV1
探索者・武芸者・魔法師スキルLV1分を保留中
外へ向かう道中で彼女とはパーティーを組んだ上で、フレンド登録も済ませてある。
これで、万が一はぐれてもすぐにフレンド通信とやらで再会する事が出来るらしい。
私の世界にもフレンド通信とやらが欲しいものだ……。
地球世界には、携帯できる通信装置が庶民でも入手できる価格で販売されているらしい。
私の世界だと未だ通信装置と言うのを聞いた事が無いのだが、誰か開発してくれないものだろうか?
魔法ででもいいのだが、そういったモノがあると素晴らしく便利なのではないかと思える。
さて、話は戻るが、先程彼女を見付けたのは『南門・行商広場』と言う場所で、私達が今出てきたのはその側にある南門になる。この始まりの町『イスブルク』はぐるりと高い石塀に囲まれており、その壁の北と南の2か所に門があるそうだ。どちらも同じサイズの門なのだそうだが、北は山に面している為に殆ど出入りがないのだとかで大門を開ける事は殆ど無く、その横にある通用門が使われているのだとリリンが道すがら教えてくれた。
それと比べて、南門の方は他の町や村との行き気に使われている為、大門が開けっぱなしになっており常に人が出入りしている状態だ。門兵が数人、大門の左右に立ってはいるものの、入街税の類は無いらしく人々は皆その脇を素通りして行っている。
門を出ると、目の前には広大な草原が広がっておりそのあちこちでプレイヤーらしき人達が何かと戦っているのが見えた。
「ここからは、流石に手を離そうか。」
「うむ……。」
「取り敢えず、コレ渡しておくね?」
「? 枝……かね?」
名残惜しく感じながらも渋々手を離すと、彼女から木の枝を手渡される。
太さは丁度手で握れる位で長さは30センチ程の、どこかの木から折れてきたままの様に見えるソレの詳細を改めようとすると、アイテムとしてのデータが脳裏に閃く。
枝
その辺から拾ってきた枝。
武器や素材として使用できる。
武器としての性能は最低限。
武器ランク:H 耐久度:3
「一応、使い捨ての武器として使えるの。」
「耐久度3と言うのは……。」
「3回殴ると折れちゃう。」
「成程。武器ランクは最低が『H』なのかね?」
「多分そうじゃないかなー?上手く合わせれば、そこら辺に居るウサギなら1発で何とか倒せるよ。」
流石に、今までのゲームでもこんな枝の切れ端でウサギを倒せた事が無かったのもあって、その話にはやはり首を傾げてしまう。
いや、地球世界のウサギはもしかしたらこんな物でも命を簡単に落とすのかもしれない。
何せ、木の根っこに躓いて命を落とすウサギの歌もあるそうだから。
「まずは採集からにしよっか。」
「うむ。問題ない。」
彼女の提案に一も二もなく賛同しながら周囲を見回すと、あちらこちらに薄黄色に光るポイントがあるのが目につく。その光るポイントは低木や草むらなどの様々なオブジェクト近くにあるようだ。
「あの辺りにある薄黄色に光っているのが採集ポイントかね?」
「そそ。ただ、初期スキルの採集だと拾えるものが決まってるんだよね。」
「ふむ? 参考までに聞いてみても?」
「石・薬草・卵・枝・雑草・ハーブ」
私が手近な低木を指さしつつ訊ねると、彼女は即座にそれを肯定しながら補足情報も教えてくれる。
何と言えば言いものか判断しかねるのだが、雑草の使い道に見当が付かない。
石と枝は武器の代わり、卵とハーブは調理素材、薬草はほぼ名前の通りだろうと思うのだが……。
「雑草と言うのは何かに使えるのかね?」
想像もつかないので聞いてみると、彼女からは「糸の素材みたい」と言う返事が返ってきた。
なんとまぁ。
地球世界では、雑草から糸を紡ぐのか……!
驚いていると、ソレに気が付いたリリンの尻尾に尻を叩かれた。
「地球でも、雑草から糸は普通とらないから!」
「……騙されるところだった。」
「まぁ、まずは採集しよ?」
「うむ。」
「採集回数はランダムみたいなんだけど、光が消えるまでは採集できるからね。」
手近な採集ポイントに向かうと彼女と並んでしゃがみこむ。
そうしてからリリンの説明に頷きつつ、彼女を真似て光るポイントに手を伸ばしてみる。
光の中に入れた手に、何かの感触を感じてソレを握りながら手を戻すと、そこには1束の草が握られていた。詳細を確認してみると、脳裏にその情報が現れた。
ハーブ
調薬素材として使用可能。
ハーブティーの材料として使える。
調理素材としても使用可能で、その際は風味付けとしての利用となる。
成程と頷きつつ、まだ光っているポイントに手を伸ばす。
4回採集するとただのオブジェクトに戻ってしまった。
10回採集をするというクエストだったから、後6回他のポイントを回って採集する必要があるらしい。
その後、2か所目でも同じ様に採集をするとそのポイントでは6回採る事が出来て、無事クエストの条件をクリアする事が出来た。
「今まで、6回取れたポイントってなかったんだよ~♪」
「随分と運が良かったようだ。」
ホクホク顔のリリンに私も嬉しくなりながらそう答える。
ああ、やはり彼女のこんな顔が見られただけでもこのゲームを始めた甲斐があった……。
私はうっとりと彼女に見惚れながら頭の隅でそう思っていた。
☆クエストクリア☆
採集をつかってみよう! 報酬 200ゴールド / 経験値20
--------------------------------------------------------------------------
アスタール 所持金1200(200増加)
職LV: 商売人・武芸者・魔法師LV0 / 探索者LV1
スキル: 行商LV1 / 採集LV1 / 攻撃LV1 / 魔法弾LV1
リリン 所持金4600(200増加)
職LV: 商売人LV3 / 探索者・武芸者・魔法師LV1
スキル: 行商LV1 / 調理LV1 / 紡績LV1 / 裁縫LV1
採集LV1
攻撃LV1
魔法弾LV1
探索者・武芸者・魔法師スキルLV1分を保留中
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