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ヒート

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 二人して午後の間ずーっと、かかりきりで作業をしていたものだから精神的に疲れ切ってしまった。正直、おこもり初日から張り切りすぎ。
揃って仮眠はとったものの、気持ち的な疲れが酷いので今日は早々に寝る約束をして、交代でお風呂に入る。

 私は、アイラがオフロに入っている間にご飯の用意。今回は予めメニューが決まっているから、少し気楽だ。花粉米を炊いたら、オニオンスープをグールグル。ちょっぴり足りない風味を、錬金料理でごまかす方向。
なにぶん、野菜が足りなくてコンソメスープが作れないので致し方無い。お野菜が増えたらコンソメを作って、きちんと美味しいオニオングラタンスープをアイラに作ってやるんだから……!
脱穀済みの雪原草を少し拝借して、錬金料理でフランスパンぽいものを作ってスライス。耐熱皿にオニオンスープと一緒に入れて、チーズを載せたらオーブンへ。
しばらく放置すれば、オニオングラタンスープの出来上がりだ。
最後にスーフェットの背肉を焼けば、今日の晩御飯は出来上がり♪
スーフェットは子犬くらいの大きさだったから、肉のサイズも小さめ。なので、サイコロステーキ風です。

「レイちゃんも、ご飯の前にお風呂に入ってきたら?」
「お腹は平気?」
「うん。しばらくぼーっとしてるー」

 お言葉に甘えて、私もご飯の前にお風呂に入る。なんか、一日の疲れが汗と一緒に流れていくような……(錯覚)
ご飯をあまり待たせるのも申し訳ないので、三十分ほどで上がって居間に戻り、お食事タイム。

「これ、スーフェット? アーフェット?」
「スーフェットの方の背肉。ちょっと小さいからサイコロステーキ風にしてみた」
「アーフェットのこってり感もいいけど、今日はコレくらいがありがたいわ……」
「明日はもうちょっと、休憩挟みながらやろっか」
「そうねー。あ、オニグラスープ! あたし、コレ好きなの」

 もちろん知ってましたとも。
お店のメニューにあると、必ず注文してたし。

「あ、雪原草をちょっと貰っちゃった」
「まだ、脱穀しかしてないやつよね? そっちも加工しないとかぁ……」
「脱穀してあれば使えなくもないから、急がないでも大丈夫だよ」
「ううん。明日、午前中にやっちゃう。籾摺りがスキルでやれるようになったんだもの。一度くらいはやってみたいし……」
「そういうことなら、気が向いた時にお願いします」

 私に、やってみたいと言うことを、止める権利はないのだ。まあ、倒れない範囲で習っていう限定条件は付くんだけど。
さすがのアイラも、もう変な無茶はしないと思いたい。

「明日は私、ナタの改良に勤しみます」
「今のでも研ぎ直ししてもらえれば十分に使えるから、無理しなくていいわよ?」
「んー……刃物全般がダメだと思うから、きっちり頑張ってみる」
「まあ、ナマクラよりは嬉しいから止めないけど、無理はしないでね」

 私、夢中になると遅くまで起きてるから、心配されてしまった。
アイラが寝る前に畑の様子を見に行っている間に、私は青土の処理をして体力消費。
昨日から氷結晶を取り出したあとの土で、レンガを作ってる。たくさん溜めて、壁や床をレンガで覆ったら、少しは寒さが和らぐんじゃないかと思って頑張ってる。
風呂釜やお風呂の床と違って、壁や床が青土のままだから寒いんじゃないかと思うんだよね。お風呂場で壁を触ると、明らかに冷たいんだもの。
他にも、あちこちにドアを作ろうと思っているから、すぐには無理なんだけど……
千里の道も、一歩からって言うじゃない? なので、地道に溜めていくつもりです。

 寝る前に、入浴によって満タンになった魔力を使い切るために”ホット”の無駄打ちをしていたら、”火魔法”がレベルアップしたというアナウンス。
どうやら新しく、”ヒート”という魔法を覚えたみたいだ。
どんな効果かと思って検索してみると、レベル×一時間の間、無機物の温度を十度上昇させる魔法らしい。ちなみに、重ねがけも可能。
範囲もレベル㎥で、効果時間もレベル×一時間だって言うから、”ホット”よりも使い勝手が良さそう。というか、私が熟睡できる時間が増える……!
寒くなってきたら、一回起きて掛け直すだけで朝まで寝られそうだよね。”火魔法”のレベルを上げてたのって、ほぼほぼ”ホット”の効果時間を伸ばすためだったし、狙っていたわけじゃないけど、かなり嬉しい。
”ホット”の効果時間が増えても一時間半にしかならないのに、”ヒート”の効果時間は三時間。比べ物にならない効果だ。
やだ、ほんとに嬉しい!
まだ残っている魔力は、”土魔法”のレベル上げに費やすことにして、あちこちに”ハードニング”を重ねがけして歩いた。
あと一回魔法を使ったら意識を失ってしまうというところまで使い切ってから、お布団に潜り込んで床に向かって”ヒート”。
いい感じに暖かくなっていくのを感じながら、眠りに落ちる。
きっと、今日もいい夢が見れるに違いない。
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