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拡張工事と出口改良
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「部屋の増築に関しては、基本的にレイちゃんに任せるわ」
食後に、居間的なものを作りたいと話すと、アイラはそう断言した。
曰く、暖房を掛けられる範囲で増やす分には、何の問題もないらしい。
確かに、寒い部屋が増えても仕方がないね……
「増築のついでに、畑を増やして欲しいわ」
「構わないけど、もう足りないの?」
「食料だけじゃなくて、布を作るための植物やハーブなんかも育てたいの」
ずーっと着っぱなしの服は、この五日間で大分くたびれてきた気がするし、タオルなんかも予備が欲しい。布を作る材料がほしいというのは理解できるけど……
「アイラ、布なんか作れるの?」
服を作れるかは別として、裁縫がスキルにあったのは知ってるから、縫い物が出来るのは分かる。でも、布が作れるかどうかってのはまた別だよね?
そもそも、布の前に糸が必要だと思う。
ソレを伝えると、彼女は胸を張って鼻の穴を広げた。
「どっちも、ワークショップで体験済みよ。織り機の構造も原始的なのなら分かるし、いざとなったら編めばいいわ」
「材料から育てるんじゃ、時間がかかりそうだね……」
「一応、裁縫スキルで出来ることのリストに、『紡績』と『機織り』と『編み物』が入ってたから大丈夫……だと思う」
私が指摘した途端に、アイラの表情に迷いが浮かぶ。
えう!?
アイラに出来るかどうかとか、そうじゃなくって、すぐには手に入らないんだという事実の再確認と言うかそんなかんじだっただけ。
「いやいや、でもさ、スキルに入ってるんだったら、本来よりも早く終わるかも。 私が料理するときだって、本来なら掛かるはずの時間よりずっと早く工程が終わるし!」
「まあ、やってみないと分からないわね」
慌ててフォローを入れた甲斐があってか、アイラはやる気に満ちた表情で顔をきっと上げると、気合を入れて天井に拳を振り上げた。
最終的に、取り急ぎ畑の数を増やすことになった。
アイラが外に狩りに行くと言って包丁を持って出掛けている間に、スペースだけは早速確保。”ディグ”と”ハードニング”は、頼りになる魔法だとつくづく思う。
”データストレージ”に入りきらない青土は、一旦外にポイ。
居間も、スペースだけは先に作らせてもらった。でも、こちらの中身を充実させるのは後回し。テーブルと椅子、それから料理道具を移動させたら外に行くための通路整備に取り掛かる。
ちなみに、外へ行く通路は初日に広げたっきり。二人共外に出るためには四つん這いにならないと出ることが出来ない状態だ。
外につながる道が広くなると、拠点の気温が下がりそうだというのが一番の理由。
……だった。金属を手に入れられるようになったから、冷気に関しては扉を二重に取り付けて対処してみるということになった。
そうは言っても、金属製の扉を直に触る気にはならない。出来上がったものに、後からワラでラッピンクする予定。
まずはドア枠を作成。名前は知らないけど、Lを二つ互い違いに組み合わせたような形のものを、ドアの大きさより少し大きく作ってみた。
設置する場所に固定するようの釘なりネジなりを嵌める用の穴も用意したから、多分、大丈夫なはず……
駄目だったら、作り直そう。
ドアも作って廊下においてからドア枠のサイズを確認……多分、平気。
蝶番を四つ作って、作らなくてはいけないネジの数を数えて泣いた。三十二個も作れる体力は残ってない。
ネジづくりは後回し……と考えたところで、アイラからお昼寝のお誘いがあったので一緒に眠る。うん。タイミングが良かった。
一時間後に目を覚ますと、三十個のネジを作れるだけの体力は回復している。
複数同時に作れればいいんだけど……
お皿と違ってネジのセット販売のイメージがなくて、上手く出来る気がしません。
とりあえず、今日は扉を一枚つけられればいいということにして、半分だけ作成。
アイラがお風呂から上がってくる前に、せっせと通路の改装工事をやっておく。
出口から歩いて出られるように、高さを調整しつつ”ディグ”を四回。それから、ドア枠に合わせるために、床を”ディグ”を一回追加して少し削っておく。
少しでも、隙間風を減らしたいという創意工夫……のつもり。
お風呂を上がったアイラが、なぜかまた寝室に向かうのを見て不安になりつつ、私も二度目のお風呂タイム。作業に夢中になっていたせいで、”ホット”を掛け忘れていたせいで体が冷えていたから、メチャクチャ気持ちいい。
魔力が全開になるまでお風呂を楽しみ、作業の続き。”ディグ”で出口を広げて、もう一つの扉をとりつけた。最後は手彫りで、出口が天然の洞窟っぽく見えるように加工して終了!
手彫り作業のお陰で泥だらけになってしまったので、軽くお風呂で泥を落とす。
今日も、よく働いたなぁ~!
食後に、居間的なものを作りたいと話すと、アイラはそう断言した。
曰く、暖房を掛けられる範囲で増やす分には、何の問題もないらしい。
確かに、寒い部屋が増えても仕方がないね……
「増築のついでに、畑を増やして欲しいわ」
「構わないけど、もう足りないの?」
「食料だけじゃなくて、布を作るための植物やハーブなんかも育てたいの」
ずーっと着っぱなしの服は、この五日間で大分くたびれてきた気がするし、タオルなんかも予備が欲しい。布を作る材料がほしいというのは理解できるけど……
「アイラ、布なんか作れるの?」
服を作れるかは別として、裁縫がスキルにあったのは知ってるから、縫い物が出来るのは分かる。でも、布が作れるかどうかってのはまた別だよね?
そもそも、布の前に糸が必要だと思う。
ソレを伝えると、彼女は胸を張って鼻の穴を広げた。
「どっちも、ワークショップで体験済みよ。織り機の構造も原始的なのなら分かるし、いざとなったら編めばいいわ」
「材料から育てるんじゃ、時間がかかりそうだね……」
「一応、裁縫スキルで出来ることのリストに、『紡績』と『機織り』と『編み物』が入ってたから大丈夫……だと思う」
私が指摘した途端に、アイラの表情に迷いが浮かぶ。
えう!?
アイラに出来るかどうかとか、そうじゃなくって、すぐには手に入らないんだという事実の再確認と言うかそんなかんじだっただけ。
「いやいや、でもさ、スキルに入ってるんだったら、本来よりも早く終わるかも。 私が料理するときだって、本来なら掛かるはずの時間よりずっと早く工程が終わるし!」
「まあ、やってみないと分からないわね」
慌ててフォローを入れた甲斐があってか、アイラはやる気に満ちた表情で顔をきっと上げると、気合を入れて天井に拳を振り上げた。
最終的に、取り急ぎ畑の数を増やすことになった。
アイラが外に狩りに行くと言って包丁を持って出掛けている間に、スペースだけは早速確保。”ディグ”と”ハードニング”は、頼りになる魔法だとつくづく思う。
”データストレージ”に入りきらない青土は、一旦外にポイ。
居間も、スペースだけは先に作らせてもらった。でも、こちらの中身を充実させるのは後回し。テーブルと椅子、それから料理道具を移動させたら外に行くための通路整備に取り掛かる。
ちなみに、外へ行く通路は初日に広げたっきり。二人共外に出るためには四つん這いにならないと出ることが出来ない状態だ。
外につながる道が広くなると、拠点の気温が下がりそうだというのが一番の理由。
……だった。金属を手に入れられるようになったから、冷気に関しては扉を二重に取り付けて対処してみるということになった。
そうは言っても、金属製の扉を直に触る気にはならない。出来上がったものに、後からワラでラッピンクする予定。
まずはドア枠を作成。名前は知らないけど、Lを二つ互い違いに組み合わせたような形のものを、ドアの大きさより少し大きく作ってみた。
設置する場所に固定するようの釘なりネジなりを嵌める用の穴も用意したから、多分、大丈夫なはず……
駄目だったら、作り直そう。
ドアも作って廊下においてからドア枠のサイズを確認……多分、平気。
蝶番を四つ作って、作らなくてはいけないネジの数を数えて泣いた。三十二個も作れる体力は残ってない。
ネジづくりは後回し……と考えたところで、アイラからお昼寝のお誘いがあったので一緒に眠る。うん。タイミングが良かった。
一時間後に目を覚ますと、三十個のネジを作れるだけの体力は回復している。
複数同時に作れればいいんだけど……
お皿と違ってネジのセット販売のイメージがなくて、上手く出来る気がしません。
とりあえず、今日は扉を一枚つけられればいいということにして、半分だけ作成。
アイラがお風呂から上がってくる前に、せっせと通路の改装工事をやっておく。
出口から歩いて出られるように、高さを調整しつつ”ディグ”を四回。それから、ドア枠に合わせるために、床を”ディグ”を一回追加して少し削っておく。
少しでも、隙間風を減らしたいという創意工夫……のつもり。
お風呂を上がったアイラが、なぜかまた寝室に向かうのを見て不安になりつつ、私も二度目のお風呂タイム。作業に夢中になっていたせいで、”ホット”を掛け忘れていたせいで体が冷えていたから、メチャクチャ気持ちいい。
魔力が全開になるまでお風呂を楽しみ、作業の続き。”ディグ”で出口を広げて、もう一つの扉をとりつけた。最後は手彫りで、出口が天然の洞窟っぽく見えるように加工して終了!
手彫り作業のお陰で泥だらけになってしまったので、軽くお風呂で泥を落とす。
今日も、よく働いたなぁ~!
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