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昏倒
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アイラは私の作ったタガネで壁の一部をくり抜いて、そこに畑を作るらしい。
なんか、最初に頭を向けていた方向に作ってるけど、水やりたら床が水浸しなんてことは……ないよね?
ちょっと不安だ。
「結局、何から試してみることにしたの?」
「葉物野菜からがいいかと思ってるんだけど……」
言い淀むってことは、決めきれてないんだろう。
葉物で上げたのは、ルッコラに小松菜。それからほうれん草の三つだっけ。
この中で断然食べやすいのは小松菜で、次点がルッコラ。
自分で候補に上げておいてなんだけど、ほうれん草ははじめに育てるのには不向きかも。
「……生でも食べられるから、ルッコラか小松菜がいいかも」
「ほうれん草じゃなく?」
「ほうれん草も生で食べれる種類はあるけど、そうじゃないやつはエグみがきついから茹でこぼさないと食べ辛いんだよね」
「そっか。んじゃ、小松菜にしてみるわ」
アイラは一つ頷くと、ひざ掛けから抜け出して壁に穴を掘り始める。
「さすがに、タガネじゃ掘るのは厳しい……」
そう言って眉尻を下げる彼女には、新しく小さなシャベルを作って進呈。
園芸には、シャベルは必要だよね。
「ちなみに、種を一つ作ると体力っていうのが10づつ減るみたい。あたし、もう残りが5しかないよ」
作業をしながらアイラがぼやく。
スキルポイントの最大値は確か百だったはずだから、一つに付き10減るというのは随分と大きい。
……私も確認してみよう。
”プロフィール”をイメージすると同時に、確認したい項目が頭に浮かぶ。
魔力 100/100
体力 5/100
「うわ、私もあと5しかない! 魔力は減ってないのに!?」
なんで!?
と、目を剥く私に、アイラが苦笑しながら説明を始める。
「魔力の消費は基本的に1で、魔法のレベルが上がると効果範囲や威力を上乗せすると消費量が増えるみたい。減ってないのは、多分、使った量よりも自然回復する量の方が多いから?」
なるほど。
魔法に関しては、ライトを一回とエリアライトを二回使ってる。
どっちもレベル1だからマジックポイントは三しか使ってないってことか。
スキルの方はどうなのかと思ったら、こっちは使ったスキルによっても変わってくるらしい。
基本的にはスキルレベルと消費スキルポイントは一緒。
ただし、スキル内で出来ること――錬金術だったら融合かな?――はレベルが上っても一のままだったりすることもあるんだとか。
覚えきれる自身がありません……!
むしろ、場合によっては素材のランクも消費スキルポイントに関わってくることがあるそうだ。
えーっと、”検索”先生!
さっきまでの合成に使ったスキルポイントはおいくつ!?
”今までの合成に使ってスキルポイントは、全部で六十です”
即、脳内に流れるのは”検索”先生のアナウンス。
思考放棄にもきちんと答えてくれて、ありがとうございます。
”いいえ、どういたしまして”
……なんか、”検索”先生って、音声応答システムさんに似てますね。
”良く、分かりません”
”検索”さんは、もういいや。
とりあえず、今までに使ったスキルポイントは60。
融合で作った数が六個だから、一回あたりの消費は10みたい。
って、あれ……?
消費した魔力や体力って、何をすれば回復するんだろ?
”魔力や体力は、消耗する行為を行わなければ一時間に5%。眠ると最大魔力の一割が回復します”
自然回復量が勝ってるから、魔力が減っていないというアイラの推測はあたっていたみたい。
「そう言えばアイラ。体力とかって、0になったら――!?」
どうなるのか調べた?
と、訊ねようと振り返って、ヒュウっと息を呑む。
アイラは、自らが掘った穴により掛かるようにして、いつの間にか意識を失っていた。
なんか、最初に頭を向けていた方向に作ってるけど、水やりたら床が水浸しなんてことは……ないよね?
ちょっと不安だ。
「結局、何から試してみることにしたの?」
「葉物野菜からがいいかと思ってるんだけど……」
言い淀むってことは、決めきれてないんだろう。
葉物で上げたのは、ルッコラに小松菜。それからほうれん草の三つだっけ。
この中で断然食べやすいのは小松菜で、次点がルッコラ。
自分で候補に上げておいてなんだけど、ほうれん草ははじめに育てるのには不向きかも。
「……生でも食べられるから、ルッコラか小松菜がいいかも」
「ほうれん草じゃなく?」
「ほうれん草も生で食べれる種類はあるけど、そうじゃないやつはエグみがきついから茹でこぼさないと食べ辛いんだよね」
「そっか。んじゃ、小松菜にしてみるわ」
アイラは一つ頷くと、ひざ掛けから抜け出して壁に穴を掘り始める。
「さすがに、タガネじゃ掘るのは厳しい……」
そう言って眉尻を下げる彼女には、新しく小さなシャベルを作って進呈。
園芸には、シャベルは必要だよね。
「ちなみに、種を一つ作ると体力っていうのが10づつ減るみたい。あたし、もう残りが5しかないよ」
作業をしながらアイラがぼやく。
スキルポイントの最大値は確か百だったはずだから、一つに付き10減るというのは随分と大きい。
……私も確認してみよう。
”プロフィール”をイメージすると同時に、確認したい項目が頭に浮かぶ。
魔力 100/100
体力 5/100
「うわ、私もあと5しかない! 魔力は減ってないのに!?」
なんで!?
と、目を剥く私に、アイラが苦笑しながら説明を始める。
「魔力の消費は基本的に1で、魔法のレベルが上がると効果範囲や威力を上乗せすると消費量が増えるみたい。減ってないのは、多分、使った量よりも自然回復する量の方が多いから?」
なるほど。
魔法に関しては、ライトを一回とエリアライトを二回使ってる。
どっちもレベル1だからマジックポイントは三しか使ってないってことか。
スキルの方はどうなのかと思ったら、こっちは使ったスキルによっても変わってくるらしい。
基本的にはスキルレベルと消費スキルポイントは一緒。
ただし、スキル内で出来ること――錬金術だったら融合かな?――はレベルが上っても一のままだったりすることもあるんだとか。
覚えきれる自身がありません……!
むしろ、場合によっては素材のランクも消費スキルポイントに関わってくることがあるそうだ。
えーっと、”検索”先生!
さっきまでの合成に使ったスキルポイントはおいくつ!?
”今までの合成に使ってスキルポイントは、全部で六十です”
即、脳内に流れるのは”検索”先生のアナウンス。
思考放棄にもきちんと答えてくれて、ありがとうございます。
”いいえ、どういたしまして”
……なんか、”検索”先生って、音声応答システムさんに似てますね。
”良く、分かりません”
”検索”さんは、もういいや。
とりあえず、今までに使ったスキルポイントは60。
融合で作った数が六個だから、一回あたりの消費は10みたい。
って、あれ……?
消費した魔力や体力って、何をすれば回復するんだろ?
”魔力や体力は、消耗する行為を行わなければ一時間に5%。眠ると最大魔力の一割が回復します”
自然回復量が勝ってるから、魔力が減っていないというアイラの推測はあたっていたみたい。
「そう言えばアイラ。体力とかって、0になったら――!?」
どうなるのか調べた?
と、訊ねようと振り返って、ヒュウっと息を呑む。
アイラは、自らが掘った穴により掛かるようにして、いつの間にか意識を失っていた。
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