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君に出会えて本当に良かった…
エピローグ 僕たちの歩む道
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涙も止まり、僕たちは家族四人で朝ご飯を笑顔で嗜んだんだ。
や、やっぱり、朝からメニューの数がエグい…
でも、全部ペロリと食べきれちゃうのがまた不思議だ…
そして食事も終わり、お父さんが大和に「持っていきたい荷物をまとめておきなさい。追って裕翔くんの家に届くようにしておくから」と言ってくれ、僕たちは大和の部屋で荷造りをする事にしたんだ。
最低限の荷物を二人でまとめ、荷造りが終わるその時、大和が徐にタコちゃん人形を手に取ったんだ。
「これさ、持っていってもいいかな…?」
「うん?リュックに入るから入れていく?」
「…ああ、お願いしたい…」
ん?あれれっ?なんだか大和の様子が変だぞ?
お願いしたいと言うくせに僕と目を合わせてくれない…
これは、絶対に何かある…!
「…ねぇ、大和?このタコちゃん、そんなに好きなの??」
僕が、どストレートにタコちゃんの事を聞くと、ハリネズミをわしゃわしゃとさせながら大和は答えてくれたんだ。
「…さ、触り心地が良くて…あ~っ!もうっ!これ以上言わせんなよ、バカっ!!」
な、なんだよ!
大和!今、最高に可愛いよっ!
抱いて寝てたって素直に言えばいいのにっ!
クールでカッコイイ大和でも、こんな可愛い一面があるんだなぁと僕はつい、にやけてしまったけれど、その反面、顔を赤く染めて照れる大和は、そそくさとしながら、僕のリュックにタコちゃん人形をギュッ!と突っ込んだんだ。
もう…ほんとに可愛いんだから…
◇ ◇
──そして、いよいゆ旅立ちの時
荷物を準備し、僕たちは帰る身支度を終わらせ玄関へと向かい、お父さんとお母さんも最後まで僕たちを見送ってくれたんだ。
「父さん、母さん…行ってきます」
「ああ、二人で頑張れよ?まぁ、お前とは職場で会うんだがな?」
「裕翔くん、大和のことよろしく頼むわね?言う事聞かなかったら、いつでも連絡ちょうだいね?色々教えてあげるからっ!」
「お母さん、ありがとうございますっ!」
「ちょ、か、母さんっ!」
必死な大和に僕はつい笑ってしまい、僕たちは最後まで笑顔に包まれながら、大和の家を後にしたんだ。
ボディーガードさんが最寄り駅まで送ってくれて、その後、僕たちは電車に揺られ、いつもの駅に戻ってきた。
駐輪場には、僕たちをずっと運んでくれていた自転車が変わらず僕たちの帰りを待っていてくれて…僕はサドルに跨り、大和は荷台に乗っかる。
そして、懸命に自転車を漕ぐ僕の後ろには、ハリネズミを僕の背中に添えて気持ち良さそうにしている大和がいる。
出会ってから、ここまで来るまで…
何一つ変わらない僕たちの大切な形の一つだ。
春の温もりに包まれ、桜の花が綺麗に散りゆく並木道を自転車で駆け抜けていく僕たち。
「ねぇ、大和?」
「ん?なんだ?」
「やっぱり、その黒縁眼鏡は僕に返してくれないの?」
「ああ、返さないよ?だって…」
『お前のものは俺のものだから』
分かりきった答えが返ってくるのに、つい聞いてしまう僕…でも、それでいいんだ。
だって僕たちは今、こんなに楽しく笑い合えている。
それだけでこんなに幸せなのだから…
そしてこれからの僕たちの歩む道は、どんなものになるのかな?
楽しいことも嬉しいこともあるけれど、きっと辛いことや悲しいことも僕たちの前に立ちはだかる事になるのだろう…
でも、大和が傍にいてくれれば…
僕も大和の傍にいれればきっと大丈夫…
そんな思いを胸に刻み込み、番を結んだ僕たちは一歩一歩、二人で前へと進んでいく。
僕たちがこれから歩む、二人の人生という永い道のりのお話は、またどこかの機会で…
【完】
や、やっぱり、朝からメニューの数がエグい…
でも、全部ペロリと食べきれちゃうのがまた不思議だ…
そして食事も終わり、お父さんが大和に「持っていきたい荷物をまとめておきなさい。追って裕翔くんの家に届くようにしておくから」と言ってくれ、僕たちは大和の部屋で荷造りをする事にしたんだ。
最低限の荷物を二人でまとめ、荷造りが終わるその時、大和が徐にタコちゃん人形を手に取ったんだ。
「これさ、持っていってもいいかな…?」
「うん?リュックに入るから入れていく?」
「…ああ、お願いしたい…」
ん?あれれっ?なんだか大和の様子が変だぞ?
お願いしたいと言うくせに僕と目を合わせてくれない…
これは、絶対に何かある…!
「…ねぇ、大和?このタコちゃん、そんなに好きなの??」
僕が、どストレートにタコちゃんの事を聞くと、ハリネズミをわしゃわしゃとさせながら大和は答えてくれたんだ。
「…さ、触り心地が良くて…あ~っ!もうっ!これ以上言わせんなよ、バカっ!!」
な、なんだよ!
大和!今、最高に可愛いよっ!
抱いて寝てたって素直に言えばいいのにっ!
クールでカッコイイ大和でも、こんな可愛い一面があるんだなぁと僕はつい、にやけてしまったけれど、その反面、顔を赤く染めて照れる大和は、そそくさとしながら、僕のリュックにタコちゃん人形をギュッ!と突っ込んだんだ。
もう…ほんとに可愛いんだから…
◇ ◇
──そして、いよいゆ旅立ちの時
荷物を準備し、僕たちは帰る身支度を終わらせ玄関へと向かい、お父さんとお母さんも最後まで僕たちを見送ってくれたんだ。
「父さん、母さん…行ってきます」
「ああ、二人で頑張れよ?まぁ、お前とは職場で会うんだがな?」
「裕翔くん、大和のことよろしく頼むわね?言う事聞かなかったら、いつでも連絡ちょうだいね?色々教えてあげるからっ!」
「お母さん、ありがとうございますっ!」
「ちょ、か、母さんっ!」
必死な大和に僕はつい笑ってしまい、僕たちは最後まで笑顔に包まれながら、大和の家を後にしたんだ。
ボディーガードさんが最寄り駅まで送ってくれて、その後、僕たちは電車に揺られ、いつもの駅に戻ってきた。
駐輪場には、僕たちをずっと運んでくれていた自転車が変わらず僕たちの帰りを待っていてくれて…僕はサドルに跨り、大和は荷台に乗っかる。
そして、懸命に自転車を漕ぐ僕の後ろには、ハリネズミを僕の背中に添えて気持ち良さそうにしている大和がいる。
出会ってから、ここまで来るまで…
何一つ変わらない僕たちの大切な形の一つだ。
春の温もりに包まれ、桜の花が綺麗に散りゆく並木道を自転車で駆け抜けていく僕たち。
「ねぇ、大和?」
「ん?なんだ?」
「やっぱり、その黒縁眼鏡は僕に返してくれないの?」
「ああ、返さないよ?だって…」
『お前のものは俺のものだから』
分かりきった答えが返ってくるのに、つい聞いてしまう僕…でも、それでいいんだ。
だって僕たちは今、こんなに楽しく笑い合えている。
それだけでこんなに幸せなのだから…
そしてこれからの僕たちの歩む道は、どんなものになるのかな?
楽しいことも嬉しいこともあるけれど、きっと辛いことや悲しいことも僕たちの前に立ちはだかる事になるのだろう…
でも、大和が傍にいてくれれば…
僕も大和の傍にいれればきっと大丈夫…
そんな思いを胸に刻み込み、番を結んだ僕たちは一歩一歩、二人で前へと進んでいく。
僕たちがこれから歩む、二人の人生という永い道のりのお話は、またどこかの機会で…
【完】
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