33 / 84
甘酸っぱい思い出と隠してた真実
5
しおりを挟む
──次の日
俺は甚平に肌を通し、裕翔との待ち合わせの場所へ向かう準備を始めていた。
甚平の通気性の良さに、自然と涼しさが俺の肌へと染み渡ってくる。
そして、トレンドマークの髪の毛のセットも完璧、裕翔の黒縁眼鏡だって忘れずに着用して、準備万端だ。
「あらっ!大和っ!甚平似合ってるじゃない!」
出かけようと思ってたその時、俺は母さんに呼び止められ、甚平姿をまじまじと見つめられたんだ…そ、そんな見つめんなよ、恥ずかしい…
「へ、変じゃないか?」
「うんうん!すっごくいい!そういえば裕翔くんも甚平を着てくるのかしら??」
母さんには裕翔と駿の事を話していた…いや、半分強制的に聞かれた感もあるんだけど…
でも、そりゃそうだ…
こんなに毎日楽しく過ごしている姿を母さんに見せられているのは、何年ぶりだろうか…
「ああ、一緒に買いに行ったから来てくると思うけど?」
「ふふっ!そうなんだっ!大和が楽しそうで何よりだわっ!二人でいい思い出を作るのよ?」
楽しそうに過ごす俺に対して、母さんもいつも以上に明るくて嬉しそうな顔をしてくれる。
母さん…俺、今凄い幸せだよ?
そして、いつもほんとにありがとな…?
俺は母さんに笑顔で「行ってきます」と告げ、母さんも満面の笑みで俺を送り出してくれたんだ。
◇ ◇
──待ち合わせ場所に先に着いた俺は、裕翔の到着を待っていたんだけれど…
はぁ、変に緊張する…だって考えてみろ?
あんな可愛いやつが甚平姿で登場するだなんて…!!
俺っ!落ち着け!!
へ、変な事すんなよ!俺っ!!
平然を装いながらも、早く裕翔に会いたい…
そんな事を考えていた俺の前に、履きなれない下駄をカランコロンとさせながら、可愛くて太陽のように明るい裕翔が姿を現したんだ。
「大和っ!お待たせっ!」
「おう、今着いたばかりだ…ふふっ!裕翔、甚平似合ってるじゃん」
「あ、ありがとう…!大和も似合ってるし…」
「…ん?似合ってるし…?」
「か、カッコイイよ…」
俺たちはお互い『似合ってる』だの『カッコイイ』だの言い合っては、頬を赤らめる。
バカヤロウ…お前にカッコイイなんて言われたら、たまったもんじゃねぇんだよ…
照れて暖かい頬と外の暑さが混じり合いながらも、俺たちはカランコロンと下駄の音を立て、お祭り会場へと向かっていったんだ。
◇ ◇
──さすがは、お祭りムードなだけはある。
お祭り会場にはこれでもかっ!って程の人でごった返していた。
「裕翔、迷子になるなよ?」
「ばっ!子供扱いするなよっ!」
裕翔は頬をプクッと膨らませて反論してきたけれど、その姿を見て愛しくて、可愛くて堪らなくて…何より楽しすぎて、俺はつい笑っちゃったんだ。
そしてお祭り会場は、色んな出店のイルミネーションや可愛いポップ体で描かれた屋台の名前でキラキラと彩られ、あれもこれも全てが俺たちの目に止まり、二人で楽しく屋台を見て回ったんだ。
俺は甚平に肌を通し、裕翔との待ち合わせの場所へ向かう準備を始めていた。
甚平の通気性の良さに、自然と涼しさが俺の肌へと染み渡ってくる。
そして、トレンドマークの髪の毛のセットも完璧、裕翔の黒縁眼鏡だって忘れずに着用して、準備万端だ。
「あらっ!大和っ!甚平似合ってるじゃない!」
出かけようと思ってたその時、俺は母さんに呼び止められ、甚平姿をまじまじと見つめられたんだ…そ、そんな見つめんなよ、恥ずかしい…
「へ、変じゃないか?」
「うんうん!すっごくいい!そういえば裕翔くんも甚平を着てくるのかしら??」
母さんには裕翔と駿の事を話していた…いや、半分強制的に聞かれた感もあるんだけど…
でも、そりゃそうだ…
こんなに毎日楽しく過ごしている姿を母さんに見せられているのは、何年ぶりだろうか…
「ああ、一緒に買いに行ったから来てくると思うけど?」
「ふふっ!そうなんだっ!大和が楽しそうで何よりだわっ!二人でいい思い出を作るのよ?」
楽しそうに過ごす俺に対して、母さんもいつも以上に明るくて嬉しそうな顔をしてくれる。
母さん…俺、今凄い幸せだよ?
そして、いつもほんとにありがとな…?
俺は母さんに笑顔で「行ってきます」と告げ、母さんも満面の笑みで俺を送り出してくれたんだ。
◇ ◇
──待ち合わせ場所に先に着いた俺は、裕翔の到着を待っていたんだけれど…
はぁ、変に緊張する…だって考えてみろ?
あんな可愛いやつが甚平姿で登場するだなんて…!!
俺っ!落ち着け!!
へ、変な事すんなよ!俺っ!!
平然を装いながらも、早く裕翔に会いたい…
そんな事を考えていた俺の前に、履きなれない下駄をカランコロンとさせながら、可愛くて太陽のように明るい裕翔が姿を現したんだ。
「大和っ!お待たせっ!」
「おう、今着いたばかりだ…ふふっ!裕翔、甚平似合ってるじゃん」
「あ、ありがとう…!大和も似合ってるし…」
「…ん?似合ってるし…?」
「か、カッコイイよ…」
俺たちはお互い『似合ってる』だの『カッコイイ』だの言い合っては、頬を赤らめる。
バカヤロウ…お前にカッコイイなんて言われたら、たまったもんじゃねぇんだよ…
照れて暖かい頬と外の暑さが混じり合いながらも、俺たちはカランコロンと下駄の音を立て、お祭り会場へと向かっていったんだ。
◇ ◇
──さすがは、お祭りムードなだけはある。
お祭り会場にはこれでもかっ!って程の人でごった返していた。
「裕翔、迷子になるなよ?」
「ばっ!子供扱いするなよっ!」
裕翔は頬をプクッと膨らませて反論してきたけれど、その姿を見て愛しくて、可愛くて堪らなくて…何より楽しすぎて、俺はつい笑っちゃったんだ。
そしてお祭り会場は、色んな出店のイルミネーションや可愛いポップ体で描かれた屋台の名前でキラキラと彩られ、あれもこれも全てが俺たちの目に止まり、二人で楽しく屋台を見て回ったんだ。
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる