25 / 84
信じられる本当の親友
6
しおりを挟む
──次の日
今日もいつもと変わらず駅まで裕翔が迎えに来てくれていた。
俺は特等席に腰を据え、裕翔の可愛らしい運転と共に夏が目の前の街並みを駆けていく。
ずっとこの日々か続いて欲しい。
でも、今度は俺がこの背中と気持ちを振り向かせてやりたい。
昨日決めた事を心に言い聞かせながら俺は早速、俺はアクションを起こしてみたんだ。
横向きで座る俺はバランスを取る為と、バカみたいな言い訳を心に言い聞かせながら、裕翔の大きくて力強い背中に頭を添えたんだ。
裕翔がどんな風に思ってもいい…俺は決めたんだ。お前の前では素直な俺でいるよ…?
その気持ちが裕翔にどう届くのかは分からないけれど、素直な気持ちで…偽りのない気持ちでお前に寄り添った時、お前が俺の気持ちに少しでも振り返ってくれたら、俺はそれだけで嬉しいんだ。
はっきり好きっていえねぇけど…
俺、お前の事が大好きなんだよ…
そんな事を思いながらも、俺が頭を添えても何ひとつ変わらない裕翔。
それでもいいんだ、嫌がられていないならさ?
そんな俺だけの甘い時間は、あっという間に過ぎていき、気付けば学校に到着し、俺たちはいつも通り教室へ向かったんだ。
ちぇっ…ほんと、あっという間すぎるぜ…
──教室に着くと、朝練を終えた駿が先に席に座っていて、俺たちは「おはよう」と駿に一言掛けて自分たちの席へと座った。
今日の駿は、いつも以上に笑顔が清々しい…
ふふっ!昨日電話で話した通りでなによりだ。
そして、昨日は本当にありがとな…?
その後も変わらず仲良く三人で話していたその時、俺は裕翔の右腕に何かが付いていることを今になって気付いたんだ。
「…ん?裕翔、その右腕に付けてる白いやつ…もしかして…」
「おお、あれだろ!募金が出来るオシャレなホワイトバンドっ!裕翔すげぇな!どっこにも売ってねぇのによっ!」
そう、裕翔の右腕に付いていたのは、テレビでも見た事がある程、有名になっていたホワイトバンドだ。
これ、確かどこにも売ってないはずだぞ?
な、なんで裕翔が腕にしてるんだ…?
そんな事を思いながらも「えへへっ!」といつも以上に可愛い顔を見せる裕翔。
くそ、これは違反だろっ!違反っ!!
そんな可愛らしくてたまらない裕翔に素直になると決めた俺は、あのセリフを吐き散らしては裕翔のものを俺のものにしようとしたんだけれど…
「ふぅ~ん…なぁ、裕翔…?そのホワイトバンド、俺によこせ…お前のものは俺の…!?」
セリフを全て吐く前に小さくて温かく…
そして、ほんのりいい香りがする裕翔の手が俺の口元を覆いこんだんだ。
裕翔の突然の行為に「んんん!?」っともがく事しか出来ない俺。
そして、恥ずかしくて嬉しくて、どうしようも無い気持ちになったのに、その姿を見て「あははっ!」と笑う駿。
やっと裕翔が口元から手を離してくれたけれど、俺はしてやられた感がいっぱい過ぎてムスッと裕翔を睨みつけてしまった。
くそぅ…これこそ反則じゃねぇかよっ!!
ゆ、裕翔のバカヤロウっ!!!!
それでも、そんな俺のことを裕翔は気にもせず、カバンをゴソゴソと漁り、俺と駿に手に入らないはずのホワイトバンドを差し出してくれたんだ。
「え…こ、これ…」
「裕翔…お前、神かよっ!」
「…えへへっ…二人にもあげたくてさっ!それと三人でお揃いなら僕たちの【親友の証】になるかな?なんって思っちゃって…」
ちょっと照れながらも、裕翔は俺たちへ思いを伝えてくれた。
その思いに駿は、目をウルウルとさせながら裕翔に感謝を述べていたけれど…俺は嬉しさと好きな人からの大切なプレゼントに頬を赤らめながら髪を手でわしゃわしゃとしちまっていた。
でも、素直に嬉しかったし、お前のものは俺のものなんて言わなくても、裕翔はちゃんと俺たちのことを考えてくれてる。
また裕翔に一本取られちまったな…?
「ゆ、裕翔…?」
「うん?大和、なぁに?」
「…あ、ありがとな…」
照れながら感謝を述べる俺に対し、満面の笑みを見せてくれた裕翔。
くそっ…ほんとにお前の気持ちが俺には読めないよ…バカっ…!!
今日もいつもと変わらず駅まで裕翔が迎えに来てくれていた。
俺は特等席に腰を据え、裕翔の可愛らしい運転と共に夏が目の前の街並みを駆けていく。
ずっとこの日々か続いて欲しい。
でも、今度は俺がこの背中と気持ちを振り向かせてやりたい。
昨日決めた事を心に言い聞かせながら俺は早速、俺はアクションを起こしてみたんだ。
横向きで座る俺はバランスを取る為と、バカみたいな言い訳を心に言い聞かせながら、裕翔の大きくて力強い背中に頭を添えたんだ。
裕翔がどんな風に思ってもいい…俺は決めたんだ。お前の前では素直な俺でいるよ…?
その気持ちが裕翔にどう届くのかは分からないけれど、素直な気持ちで…偽りのない気持ちでお前に寄り添った時、お前が俺の気持ちに少しでも振り返ってくれたら、俺はそれだけで嬉しいんだ。
はっきり好きっていえねぇけど…
俺、お前の事が大好きなんだよ…
そんな事を思いながらも、俺が頭を添えても何ひとつ変わらない裕翔。
それでもいいんだ、嫌がられていないならさ?
そんな俺だけの甘い時間は、あっという間に過ぎていき、気付けば学校に到着し、俺たちはいつも通り教室へ向かったんだ。
ちぇっ…ほんと、あっという間すぎるぜ…
──教室に着くと、朝練を終えた駿が先に席に座っていて、俺たちは「おはよう」と駿に一言掛けて自分たちの席へと座った。
今日の駿は、いつも以上に笑顔が清々しい…
ふふっ!昨日電話で話した通りでなによりだ。
そして、昨日は本当にありがとな…?
その後も変わらず仲良く三人で話していたその時、俺は裕翔の右腕に何かが付いていることを今になって気付いたんだ。
「…ん?裕翔、その右腕に付けてる白いやつ…もしかして…」
「おお、あれだろ!募金が出来るオシャレなホワイトバンドっ!裕翔すげぇな!どっこにも売ってねぇのによっ!」
そう、裕翔の右腕に付いていたのは、テレビでも見た事がある程、有名になっていたホワイトバンドだ。
これ、確かどこにも売ってないはずだぞ?
な、なんで裕翔が腕にしてるんだ…?
そんな事を思いながらも「えへへっ!」といつも以上に可愛い顔を見せる裕翔。
くそ、これは違反だろっ!違反っ!!
そんな可愛らしくてたまらない裕翔に素直になると決めた俺は、あのセリフを吐き散らしては裕翔のものを俺のものにしようとしたんだけれど…
「ふぅ~ん…なぁ、裕翔…?そのホワイトバンド、俺によこせ…お前のものは俺の…!?」
セリフを全て吐く前に小さくて温かく…
そして、ほんのりいい香りがする裕翔の手が俺の口元を覆いこんだんだ。
裕翔の突然の行為に「んんん!?」っともがく事しか出来ない俺。
そして、恥ずかしくて嬉しくて、どうしようも無い気持ちになったのに、その姿を見て「あははっ!」と笑う駿。
やっと裕翔が口元から手を離してくれたけれど、俺はしてやられた感がいっぱい過ぎてムスッと裕翔を睨みつけてしまった。
くそぅ…これこそ反則じゃねぇかよっ!!
ゆ、裕翔のバカヤロウっ!!!!
それでも、そんな俺のことを裕翔は気にもせず、カバンをゴソゴソと漁り、俺と駿に手に入らないはずのホワイトバンドを差し出してくれたんだ。
「え…こ、これ…」
「裕翔…お前、神かよっ!」
「…えへへっ…二人にもあげたくてさっ!それと三人でお揃いなら僕たちの【親友の証】になるかな?なんって思っちゃって…」
ちょっと照れながらも、裕翔は俺たちへ思いを伝えてくれた。
その思いに駿は、目をウルウルとさせながら裕翔に感謝を述べていたけれど…俺は嬉しさと好きな人からの大切なプレゼントに頬を赤らめながら髪を手でわしゃわしゃとしちまっていた。
でも、素直に嬉しかったし、お前のものは俺のものなんて言わなくても、裕翔はちゃんと俺たちのことを考えてくれてる。
また裕翔に一本取られちまったな…?
「ゆ、裕翔…?」
「うん?大和、なぁに?」
「…あ、ありがとな…」
照れながら感謝を述べる俺に対し、満面の笑みを見せてくれた裕翔。
くそっ…ほんとにお前の気持ちが俺には読めないよ…バカっ…!!
0
お気に入りに追加
42
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
Endless Summer Night ~終わらない夏~
樹木緑
BL
ボーイズラブ・オメガバース "愛し合ったあの日々は、終わりのない夏の夜の様だった”
長谷川陽向は “お見合い大学” と呼ばれる大学費用を稼ぐために、
ひと夏の契約でリゾートにやってきた。
最初は反りが合わず、すれ違いが多かったはずなのに、
気が付けば同じように東京から来ていた同じ年の矢野光に恋をしていた。
そして彼は自分の事を “ポンコツのα” と呼んだ。
***前作品とは完全に切り離したお話ですが、
世界が被っていますので、所々に前作品の登場人物の名前が出てきます。***
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
オメガ修道院〜破戒の繁殖城〜
トマトふぁ之助
BL
某国の最北端に位置する陸の孤島、エゼキエラ修道院。
そこは迫害を受けやすいオメガ性を持つ修道士を保護するための施設であった。修道士たちは互いに助け合いながら厳しい冬越えを行っていたが、ある夜の訪問者によってその平穏な生活は終焉を迎える。
聖なる家で嬲られる哀れな修道士たち。アルファ性の兵士のみで構成された王家の私設部隊が逃げ場のない極寒の城を蹂躙し尽くしていく。その裏に棲まうものの正体とは。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています
恋した貴方はαなロミオ
須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。
Ω性に引け目を感じている凛太。
凛太を運命の番だと信じているα性の結城。
すれ違う二人を引き寄せたヒート。
ほんわか現代BLオメガバース♡
※二人それぞれの視点が交互に展開します
※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m
※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です
泣き虫な俺と泣かせたいお前
ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。
アパートも隣同士で同じ大学に通っている。
直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。
そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。
次男は愛される
那野ユーリ
BL
ゴージャス美形の長男×自称平凡な次男
佐奈が小学三年の時に父親の再婚で出来た二人の兄弟。美しすぎる兄弟に挟まれながらも、佐奈は家族に愛され育つ。そんな佐奈が禁断の恋に悩む。
素敵すぎる表紙は〝fum☆様〟から頂きました♡
無断転載は厳禁です。
【タイトル横の※印は性描写が入ります。18歳未満の方の閲覧はご遠慮下さい。】
12月末にこちらの作品は非公開といたします。ご了承くださいませ。
近況ボードをご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる