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お前はどうしてそこまで出来る…?
しつこさに揺れる俺の思い-1
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休み時間も終わりが近付き、クラスのやつらも席に戻り始めていた。
俺は変わらず、空を見続けていたその時だった。
Ωのアイツも席に戻ってきたと思えば…
「や、山際…くん…?」と…可愛い声で俺の背中に向かって、名前を呼びやがったんだ。
くそ、何が目的だよ…
俺のことは、ほっといてくれよ…!
振り向かないと決めた俺は、アイツが俺に声をかけてきても、聞こえないフリをしていた。
でもΩだということに輪をかけ、アイツの罪レベルの可愛さに胸がドキドキしていた俺は、アイツに声をかけられたことが本当は嬉しかったのかもしれない…
俺は声をかけられても振り返りもせず、ただツンケンとその場をやり過ごそうとしていたのに、アイツはそのまま、俺の背中に声をかけ続けてくれたんだ。
「僕…山下…山下 裕翔!聞いてるか分からないけど、もし覚えててくれたら嬉しいなっ!」
山下…裕翔…か…
裕翔…ねぇ…?
俺は自己紹介をされたとしても振り向かない…
誰かに俺の気持ちをわかって欲しいとも思わない…
ほら見ろ、ちょっと目線を周りに向けてみれば、アイツなにやってんの?みたいな目でお前のことを見てきやがる。
そうだ、俺は一人でいい…
すまんな…自己紹介されたとしても、俺はお前へと振り向くことはないんだ…
お前も変なヤツみたいに見られるぞ?
そんな俺の気持ちとは裏腹に、これからうざったいほど、裕翔の攻撃を受け続けることになるなんて、思ってもいなかったんだよ…
◇ ◇
──初日だけは車で送ってもらったものの、次の日以降、俺は車では送ってもらわず、電車に揺られて学校へと向かっていた。
遠いなぁ…でもこれは、俺が自分で決めて選んだ道なんだ…
一年…一年だけ静かに過ごせればいい…それだけだ。
学校の最寄り駅に着き、他の生徒もほとんど歩いていない通学路を一人、歩き抜けていく。
そして学校に着き、教室のドアをくぐり抜けたけれど、そこには誰もいなく、まるで抜け殻のような教室に俺は足を踏み入れた。
誰かが先に来ていて、声をかけられても面倒だし…うん、これはこれでいいもんだな。
俺は自分の席に座り、誰もいない教室でまた一人…空を見上げ、雲の流れを見つめていた。
ほんとに雲が羨ましいよ…
そんな事を思っていたその時だった…
教室に誰かが入ってくる物音が俺の耳を刺激した。
そう、微量に零れるフェロモンを帯びた可愛いやつ…山下だったんだ。
俺は気付かないフリをしながら空を見続けていたけれど、そんな俺に対して山下は、昨日と全く変わらなかった。
「山際くん、おはよう!」
嬉しいはずなのに…こんな態度の俺に、声をかけてくれるだけでも嬉しくて堪らないはずなのに…俺はどこか、その行為がうざったいと思ってしまっていた。
お前の優しさが…怖かったから…
おはようと声をかけられたのに、俺はその思いに答えることも無く、そのまま空を見続けていたんだ…
俺は変わらず、空を見続けていたその時だった。
Ωのアイツも席に戻ってきたと思えば…
「や、山際…くん…?」と…可愛い声で俺の背中に向かって、名前を呼びやがったんだ。
くそ、何が目的だよ…
俺のことは、ほっといてくれよ…!
振り向かないと決めた俺は、アイツが俺に声をかけてきても、聞こえないフリをしていた。
でもΩだということに輪をかけ、アイツの罪レベルの可愛さに胸がドキドキしていた俺は、アイツに声をかけられたことが本当は嬉しかったのかもしれない…
俺は声をかけられても振り返りもせず、ただツンケンとその場をやり過ごそうとしていたのに、アイツはそのまま、俺の背中に声をかけ続けてくれたんだ。
「僕…山下…山下 裕翔!聞いてるか分からないけど、もし覚えててくれたら嬉しいなっ!」
山下…裕翔…か…
裕翔…ねぇ…?
俺は自己紹介をされたとしても振り向かない…
誰かに俺の気持ちをわかって欲しいとも思わない…
ほら見ろ、ちょっと目線を周りに向けてみれば、アイツなにやってんの?みたいな目でお前のことを見てきやがる。
そうだ、俺は一人でいい…
すまんな…自己紹介されたとしても、俺はお前へと振り向くことはないんだ…
お前も変なヤツみたいに見られるぞ?
そんな俺の気持ちとは裏腹に、これからうざったいほど、裕翔の攻撃を受け続けることになるなんて、思ってもいなかったんだよ…
◇ ◇
──初日だけは車で送ってもらったものの、次の日以降、俺は車では送ってもらわず、電車に揺られて学校へと向かっていた。
遠いなぁ…でもこれは、俺が自分で決めて選んだ道なんだ…
一年…一年だけ静かに過ごせればいい…それだけだ。
学校の最寄り駅に着き、他の生徒もほとんど歩いていない通学路を一人、歩き抜けていく。
そして学校に着き、教室のドアをくぐり抜けたけれど、そこには誰もいなく、まるで抜け殻のような教室に俺は足を踏み入れた。
誰かが先に来ていて、声をかけられても面倒だし…うん、これはこれでいいもんだな。
俺は自分の席に座り、誰もいない教室でまた一人…空を見上げ、雲の流れを見つめていた。
ほんとに雲が羨ましいよ…
そんな事を思っていたその時だった…
教室に誰かが入ってくる物音が俺の耳を刺激した。
そう、微量に零れるフェロモンを帯びた可愛いやつ…山下だったんだ。
俺は気付かないフリをしながら空を見続けていたけれど、そんな俺に対して山下は、昨日と全く変わらなかった。
「山際くん、おはよう!」
嬉しいはずなのに…こんな態度の俺に、声をかけてくれるだけでも嬉しくて堪らないはずなのに…俺はどこか、その行為がうざったいと思ってしまっていた。
お前の優しさが…怖かったから…
おはようと声をかけられたのに、俺はその思いに答えることも無く、そのまま空を見続けていたんだ…
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