7 / 10
カワいい彼氏
しおりを挟む
「逃げ場、ないな」
黒塚が、憐れむように言った。
いや、少し楽しそうだ。
「あぁ、俺は、もう灯から離れらんねーよ」
「そうだな。離れたら、お前を殺しそうだし」
いや、それならまだいいかもしれない。
逆だ。
逆に灯は、俺の目の前で死ぬだろう。
自分が命を落とす、その瞬間を俺に刻みつけるだろう。
それが、灯だ。
「ま、俺はいいけど。アイツが練習に来てくれるし」
そう。
試合も近いこともあり、灯は毎日練習に参加していた。
そして、俺は何故かマネージャーとして勝手に入部させられていた。
「篠田は、真面目だし、面倒見もいいから頼りになるしな」
何故だろう。
素直に喜べないのは、コイツが嫌みを込めた言い方だからか。
それとも、面白がっているのが、丸わかりだからか。
「とりあえず、沼原は任せた!」
頷くことしか出来ない。
そして、その様子をまた、凝視する灯なね恐怖しか感じない。
「黒塚と何、話してたの?」
帰り道。
やっぱり、これだ。
毎日毎日、誰と何を話してたの?とか、クラスでは、他の子と仲良くしてない?とか携帯見せてとか。
俺へのチェックが厳しくなっていく。
どうにかしなければ。
灯のこれは、不安からなのか、そう言う性質なのか、判断が難しい。
多分、どちらもだと思うけど。
「何、て。灯の話だよ」
「僕の話、してたの?」
少し、驚いた顔をする。
「あぁ。お前が毎日練習してるから、良かった、て」
ふーん、と興味なさそうにする。
黒塚の評価は、どうでも良いみたいだ。
「そう言えば、灯は何でバスケ部に入ったんだ?」
灯は運動神経はいいが、バスケを昔からしていた訳じゃない。灯曰く、どっちかというと文系らしい。
小さい頃から書道とかやっていて、むしろそっちが彼の趣味であり、好きなことだ。
「だってさ、優羽がカッコいい!て、褒めてくれたから」
「え?」
灯の顔が赤らんでいる。
珍しく、照れているようだ。
「それだけ?」
「そ、それだけだよ!悪い?」
釣られて照れる。
外から見たら、変な光景だと思う。
人通りの多い道で男子高校生の二人が顔を赤らめているのだ。
そう、思うと、恥ずかしい。
俺は、居たたまれなくて灯の手を引っ張る。
何だか、可愛いと思ってしまったのだ。
誰もいない公園に来ると、俺は周りに誰もいないことを何度も確認した。
それから、
灯の唇に俺の唇を重ねた。
本当に、急にしたくなったのだ。自分でも信じられないくらいに。
驚いた灯。
何だか、その顔も可愛く見えた。
「優羽からのキス。初めてだ。嬉しい!そんな可愛いことされると、ますます離したくなくなっちゃった!」
あれ?
ギュッと抱きしめられる。
そして、力が強い。
抵抗することが、出来ない。
何だか、茂みに連れて行かれている。
そして、下半身に妙な感覚を感じる。
これは・・・。
「責任、取ってね。俺の可愛い彼氏さん」
前言撤回。
可愛くなんてない。
やっぱり、俺には手に負えない生き物のようです。
黒塚が、憐れむように言った。
いや、少し楽しそうだ。
「あぁ、俺は、もう灯から離れらんねーよ」
「そうだな。離れたら、お前を殺しそうだし」
いや、それならまだいいかもしれない。
逆だ。
逆に灯は、俺の目の前で死ぬだろう。
自分が命を落とす、その瞬間を俺に刻みつけるだろう。
それが、灯だ。
「ま、俺はいいけど。アイツが練習に来てくれるし」
そう。
試合も近いこともあり、灯は毎日練習に参加していた。
そして、俺は何故かマネージャーとして勝手に入部させられていた。
「篠田は、真面目だし、面倒見もいいから頼りになるしな」
何故だろう。
素直に喜べないのは、コイツが嫌みを込めた言い方だからか。
それとも、面白がっているのが、丸わかりだからか。
「とりあえず、沼原は任せた!」
頷くことしか出来ない。
そして、その様子をまた、凝視する灯なね恐怖しか感じない。
「黒塚と何、話してたの?」
帰り道。
やっぱり、これだ。
毎日毎日、誰と何を話してたの?とか、クラスでは、他の子と仲良くしてない?とか携帯見せてとか。
俺へのチェックが厳しくなっていく。
どうにかしなければ。
灯のこれは、不安からなのか、そう言う性質なのか、判断が難しい。
多分、どちらもだと思うけど。
「何、て。灯の話だよ」
「僕の話、してたの?」
少し、驚いた顔をする。
「あぁ。お前が毎日練習してるから、良かった、て」
ふーん、と興味なさそうにする。
黒塚の評価は、どうでも良いみたいだ。
「そう言えば、灯は何でバスケ部に入ったんだ?」
灯は運動神経はいいが、バスケを昔からしていた訳じゃない。灯曰く、どっちかというと文系らしい。
小さい頃から書道とかやっていて、むしろそっちが彼の趣味であり、好きなことだ。
「だってさ、優羽がカッコいい!て、褒めてくれたから」
「え?」
灯の顔が赤らんでいる。
珍しく、照れているようだ。
「それだけ?」
「そ、それだけだよ!悪い?」
釣られて照れる。
外から見たら、変な光景だと思う。
人通りの多い道で男子高校生の二人が顔を赤らめているのだ。
そう、思うと、恥ずかしい。
俺は、居たたまれなくて灯の手を引っ張る。
何だか、可愛いと思ってしまったのだ。
誰もいない公園に来ると、俺は周りに誰もいないことを何度も確認した。
それから、
灯の唇に俺の唇を重ねた。
本当に、急にしたくなったのだ。自分でも信じられないくらいに。
驚いた灯。
何だか、その顔も可愛く見えた。
「優羽からのキス。初めてだ。嬉しい!そんな可愛いことされると、ますます離したくなくなっちゃった!」
あれ?
ギュッと抱きしめられる。
そして、力が強い。
抵抗することが、出来ない。
何だか、茂みに連れて行かれている。
そして、下半身に妙な感覚を感じる。
これは・・・。
「責任、取ってね。俺の可愛い彼氏さん」
前言撤回。
可愛くなんてない。
やっぱり、俺には手に負えない生き物のようです。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
黄色い水仙を君に贈る
えんがわ
BL
──────────
「ねぇ、別れよっか……俺たち……。」
「ああ、そうだな」
「っ……ばいばい……」
俺は……ただっ……
「うわああああああああ!」
君に愛して欲しかっただけなのに……
傷だらけの僕は空をみる
猫谷 一禾
BL
傷を負った少年は日々をただ淡々と暮らしていく。
生を終えるまで、時を過ぎるのを暗い瞳で過ごす。
諦めた雰囲気の少年に声をかける男は軽い雰囲気の騎士団副団長。
身体と心に傷を負った少年が愛を知り、愛に満たされた幸せを掴むまでの物語。
ハッピーエンドです。
若干の胸くそが出てきます。
ちょっと痛い表現出てくるかもです。
罪人の僕にはあなたの愛を受ける資格なんてありません。
にゃーつ
BL
真っ白な病室。
まるで絵画のように美しい君はこんな色のない世界に身を置いて、何年も孤独に生きてきたんだね。
4月から研修医として国内でも有数の大病院である国本総合病院に配属された柏木諒は担当となった患者のもとへと足を運ぶ。
国の要人や著名人も多く通院するこの病院には特別室と呼ばれる部屋がいくつかあり、特別なキーカードを持っていないとそのフロアには入ることすらできない。そんな特別室の一室に入院しているのが諒の担当することになった国本奏多だった。
看護師にでも誰にでも笑顔で穏やかで優しい。そんな奏多はスタッフからの評判もよく、諒は楽な患者でラッキーだと初めは思う。担当医師から彼には気を遣ってあげてほしいと言われていたが、この青年のどこに気を遣う要素があるのかと疑問しかない。
だが、接していくうちに違和感が生まれだんだんと大きくなる。彼が異常なのだと知るのに長い時間はかからなかった。
研修医×病弱な大病院の息子
真冬の痛悔
白鳩 唯斗
BL
闇を抱えた王道学園の生徒会長、東雲真冬は、完璧王子と呼ばれ、真面目に日々を送っていた。
ある日、王道転校生が訪れ、真冬の生活は狂っていく。
主人公嫌われでも無ければ、生徒会に裏切られる様な話でもありません。
むしろその逆と言いますか·····逆王道?的な感じです。
今夜のご飯も一緒に食べよう~ある日突然やってきたヒゲの熊男はまさかのスパダリでした~
松本尚生
BL
瞬は失恋して職と住み処を失い、小さなワンルームから弁当屋のバイトに通っている。
ある日瞬が帰ると、「誠~~~!」と背後からヒゲの熊男が襲いかかる。「誠って誰!?」上がりこんだ熊は大量の食材を持っていた。瞬は困り果てながら調理する。瞬が「『誠さん』って恋人?」と尋ねると、彼はふふっと笑って瞬を抱きしめ――。
恋なんてコリゴリの瞬と、正体不明のスパダリ熊男=伸幸のお部屋グルメの顛末。
伸幸の持ちこむ謎の食材と、それらをテキパキとさばいていく瞬のかけ合いもお楽しみください。
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる