奥さまは魔王女

奏 隼人

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あなたしか出来ない

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ジュエラ王宮のみんなを巻き込んだ闘いは一先ず終わりを迎えた…

「ダーリン…!!」

僕の元へと駆け寄ってきたティナを微笑みながら見つめる…


「ティナ…それにしても…今日は特に綺麗だね…」

「あら…ダーリンだって…私、なかなかドキドキが止まらなくって…変だわ…しばらくあなたとゆっくり出来なかったからかしら…」


「おーい!皆の者ー!大変じゃ!」ラリーさんが僕達の所に駆け寄って来た…


「ヴァルプルギス殿が吹き飛ばした伝説の魔法使いのエクスとパルテがソーディアを襲ったそうで…国を挙げての防衛でなんとか撃退は出来たらしいのだが…ソーディア王が深いダメージを負われてしまったらしいのです…」

「何!マサムネが…こうしてはおれん!ラリー、ワシと一緒にソーディアへ行くぞ…

マサムネが居ない今、防衛ラインの継続と国の立て直しが必要じゃ…ティナよ…お前は婿殿と一緒に急いで向かってくれ!」

「お父様…私達はどこへ…?」

「決まっておる!!奴等はソーディアを一旦諦めた…次に向かうのはミラールじゃ!」

「なるほど…分かりました…」

ティナは僕の手を握って呟く…

「…ねえ…ダーリン…私、この世界が嫌で…私の事を誰かに救って欲しくて人間界に逃げ込んだの…

そんな私をあなたはその優しい眼差しで見つめてくれた…

だから私、あなたの事がすぐに好きになっちゃった…

でも、人間のあなたを魔法使いの私達の事に巻き込んでしまったらいけないって…私はあなたから離れようと考えたこともあったわ…

それでも…あなたは私を深い深い愛情で包んでくれた…私、その時から今も…そしてこれからもずっとあなたから離れられなくなっちゃった…」

ティナの目に浮かんでいた涙が頬を伝って流れ出した…

「あなたは私だけでなく、その純粋な心でお父様やお母様、ナギやアイさん…みんなの…人間や色々なものに頑なだった心を包み込んで来たわ…

だからお願い…もうあなたしか出来ないの…

私と私の大好きなこの世界を守って…」


止めどなく流れる涙を拭うことなく僕を見つめるティナの前に僕はひざまずいた…

そして彼女の手を取り…いつの日か誓ったあの言葉を改めて大切な妻に贈る…


「ティナ…君とこの世界は絶対に僕が守る…
いつまでも大切にすると誓うよ…」

「ダーリン…私も…」

ティナは僕の胸で思いきり泣いた…

僕はティナを強く抱きしめた…



そんな二人を見ながらゴルドは小さく呟いた…

「シルヴァよ…ワシもお前をこれからも大切にするからのう…あの幸せな二人に負けんくらいにな…」

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