奥さまは魔王女

奏 隼人

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おひい様

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優也の腕の中でヴァルプルギスはそっと自分の掌を見つめる…

掌の一部が砂のようにサラサラと風に乗って流れていく…

「フッ…ゆっくりもして居られぬか…」





王宮の晩餐室のバルコニーにジュエラ兵士達が集まっている…

その一番前にティナとお義父さん…二人の姿が見えた。そこにいる全ての人の視線はバルコニーよりもはるか外に向けられていた。

「おひい様ぁ!!」

みんなの視線の先の人物…女性のようだ…魔女がこちらへ向かって叫んだ。

全員が僕とヴァルの方に振り返り、僕達に道を開けた…そのままバルコニーに向かって歩いて行く…

「おひい様…ご無事でしたか…」

以前のヴァルのように宙に浮いたその魔女は
僕の勝手な印象だが、どこかティナの面影を感じた…


「…優也…お前の嫁の乳は本当にデカイのう…」

ヴァルはティナの胸を眺めていた…


「なっ!!…ヴァル…こんな時に!!」


「おひい様…私でございます!!
ダイナが迎えに参りましたぞ!!」


魔女は声を荒らげてヴァルに呼びかける…



「やっぱりアレか…?

優也も乳がデカいのが好みなのか?

わらわはどうじゃ…そんなに変わらんじゃろ?

どれ…ちょっと魔法で大きく…」


「おひい様ぁ!!」


「うるさいのう…聞こえておるわ…ああ…ダイナよ!!わらわは世界征服はヤメたのじゃ!!」


「なんと…なんと申されましたか…?」


「わらわはこの優也に惚れてしまったのじゃ!!

優也が世界征服は止めろと言うからのう…という訳で解散じゃ!!

他の二人にも伝えておいてくれ!!」


「うぬぬぬぬ…言わせておけば!!
お主が我等を蘇らせたのではないか!!
我等で世界を変えようという誓いはどうなってしまったのだ…?」


「しつこいのう…だからヤメになったと申したではないか…折角、わらわが穏便に済まそうとしておるのに…」


…い、いやいや、ヴァルさん…どう考えてもそんな言い方では穏便にはすみませんて…

ちょっとは空気を読もうね…



「いくらお主でも我等三人を敵に回して勝てる筈があるまい…」

ダイナと名乗る魔女は両手で超特大の炎の玉を作り出した…



「自分の行いを後悔するが良い…さらばだ!」

ダイナは炎の玉を僕達に向かって投げつけた…

「よっ…と!!」

ヴァルは僕の腕から飛び降りると指先にちいさな水の玉を作り出してそれを炎の玉に投げつけた。

…ジュッ…

二つのエネルギーは相殺されて消え去った…

「誰が後悔するじゃと…?」

ヴァルはニヤリと笑った…
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