奥さまは魔王女

奏 隼人

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謎の女性

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「ティナ…ナギさん…愛ちゃん…違うんだ…これは僕じゃなくてね…」


そう言いかけた時、急に辺りが暗くなり、黒い雲が空一面に広がった…

「おーい!!婿殿、これは一雨くるかもしれんな。早く片付けて王宮へ…」

優也達の元に駆け寄ってきたゴルドはふと空を見上げて目を見開いた…

「あ、あれは…」

お義父さんの様子がおかしいので視線の先を辿って空を見上げると女性が一人…宙を漂っている…

人間界なら驚くべき事案だが、ここは魔界だから「誰だろう?」程度の事である…

小さなティアラを頭に乗せて、黒いマントに黒いセクシーなドレス、水色の髪に赤い瞳…
可愛い女の子…僕よりもずっと若い人だ…20代?…いや、10代かな?

その若い女性は鋭い瞳で優也を見つめている…
「人間?人間がどうしてここにおるのじゃ…」

…ブゥゥゥゥン!!

その女性は指を鳴らして魔法で炎のついた松明たいまつを出して優也に向かって投げつけた。



優也はそれをなんとか避けた…

「わわっ!!何するんですか!!

もう…危ないなあ!!」

「なんで人間がいるのにみんな普通にしておるのじゃ…?奴らは敵同士ではなかったのか?」

「…敵…?」



ゴルドは見開いた眼で女性を見つめる…

「も、もしかして…し、師匠では?」

「なんじゃお主は…!!もしかして…ゴルドか…?

お主…なんで人間と…」

「それは…ここにいるのは娘婿でございます!!」

「なんと…!!お主は人間を婿に迎えたのか…

愚かな…」

「師匠…人間はもう昔のような下等動物ではありません。私もつい最近まで知りませんでした…
いや、知ろうともしなかったのです…」

「フン!!お主は堕落しつつある魔族の中でもまだ見どころのある奴だと思っていたが…世も末じゃのう…」

「ちょっとあなた…何て言い方ですか…?仮にもお義父さ…ゴルドさんは元ジュエラ国王様ですよ…

貴女のような若いお嬢さんが…」

「…良いんじゃ…婿殿よ…」

「お義父…さん…?」


「なんじゃ…人間の若造が!!わらわに意見するつもか…⁉︎」

「あ、あなた…僕より若いでしょ…?」

「ええい!!黙れ!!」


その若い女性がパチンと指を鳴らすと黒い雲から雷が僕目がけて降り注ぐ…

僕は驚いてとっさに

「わー!!ク、クロノ!!」

雷の速度を落としてなんとか避けることが出来た…


若い女性は驚いて優也を見つめた。

「な…人間が…レガシーじゃと…あやつは一体?…」


…クラッ…

突然、激しい目眩が若い女性を襲った…

「ううっ…久しぶりに…外に出たからの…ちょっとやり過ぎたかもしれ…ん…」

バッシャーン!!宙に浮いていた若い女性は真っ逆さまに落ちて湖面に大きな穴を開けた…

「いけない!!」

僕は湖に飛び込んで彼女の元に向かった…
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