奥さまは魔王女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
51 / 105

思い通りになんてならない

しおりを挟む
そして次の日…約束の夜となった…

アイは従者を連れて神社の鏡の間にやって来た…

しかし…そこに見張りの兵士の姿はなく、兜や鎧を脱ぎ捨てて逃げたような痕だけが残っていた…

「まさか…」

鏡の間に入ったアイは鏡の位置が変わっている事に気づいた…

「やられたわね…彼等が未来眼を欺けるとしたら…とてつもない強力なエネルギーの結界…

そう…ソーディアに助けを求めて…」



「愛ちゃん…」「アイさん…」

そこに優也とティナ…

ゴルドやマサムネ達…みんながこの騒動の行方を見守ろうとその場に瞬間移動してきた…


「何を…しに来たのかしら…だってもう貴方達には私に用はないでしょ?それとも優也くんが私の子供を作ってくれる気になったのかしら…」

アイはニヤリと笑った…


「違う!君がこんな事をするのには必ず訳がある筈だ…君はそんな人間じゃない!」


「あら…私は元々人間じゃないわよ…

人間界で巫女の修業をしてただけだから…

それに貴方とお付き合いしたのも分かっていたからなのよ…自分の運命を…」

「運命…?」

「そう…もう私の父…ミラール国王は重い病気でそう長くない…母親も同じように高齢…次は私が王となって国を動かす…その為には力が必要なの。

今は三国共に同盟関係にありこの世界も平和だわ。

しかし予定調和なんていつまで続くのか分からない。その時は誰が助けてくれるの?私が未来眼で予知したものの対策を考えて粛々とそれを行うだけ…

私はね、愛とか信頼とかはどうでもいいの。力が欲しいだけ。これから国と自分自身を守る力が…」

「じゃあ、これからも君は未来眼で運命を見つめ続けて思い通りに操ると言う訳か…」

「思い通りになんてならないわ…実際、貴方達に計画を台無しにされたじゃない…

でもね…私は諦めてないわ…」

彼女はそう言って僕の元に駆け寄ると背伸びをして、僕の首に手を回して口唇を重ねてきた…

「なっ…」

ティナはアイの行動に驚いた。

「ちょっと!!あなた…ダーリンに何て事するのよ!!」

「あら…私達付き合ってたのよ…もっと激しいことだってしたことあるわ…貴女よりも先にね…ウフフッ…」




「…高校生の時、確かに僕は君が大好きだった…

しかし、君から付き合おうと言ったのに、君はいつも遠くを見つめてた…一緒にいても遠くにいるようだった…

でも未来には必ず僕達は一緒になれると信じて…あのとき、僕は未来のお嫁さんが君だと信じてタイムカプセルを埋めたんだ。

それは間違っていたかも知れない…けど、あの時、君を愛していたことには変わりが無いよ…

君が未来眼で見る世界は誰かの行動によって変わってしまうんだろう?」

「そうね…貴方達が変えてしまったようにね…でも私は軌道修正をするわ!

さあ…私の所へいらっしゃい。そして私を抱いて…
その後はジュエラに帰ってティナさんと仲良くやればいいじゃない…」

「…それで君は幸せなのか?」

「…えっ?」

「僕とティナは誰かに言われて結婚したわけではない…お互いに惹かれ合い、お互いを必要としたから結婚した…大切な子供達も生まれた…

これは僕達が知り得なかった未来を自分達で作りあげたからこそ幸せで大切な現在いまがあるんだ!!

覗いただけの未来に手を加えた未来なんて…そんなの本当の未来じゃないよ!!」

「う…うるさい。私をを否定するなんてそんなの許さない!!」

そう言うとアイは両手から紫色の渦を巻き起こして、やがて渦は光の玉となり…その光の玉は巨大なキツネと姿を変えた…

「ただのキツネじゃないわよ…」キツネは超スピードで暴れながら周りの木々や神社の建造物を壊して僕等に向かって来た…

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~

緑谷めい
恋愛
 後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。

【完結】お飾りの妻からの挑戦状

おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。 「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」 しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ…… ◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています ◇全18話で完結予定

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

家庭菜園物語

コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。 その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。 異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...