奥さまは魔王女

奏 隼人

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目覚め始めた力

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「ナギ、ナギは居らぬか…?」

「はい…お父様…ここに…」

柱の影からナギさんがヒョコッと現れた。

その表情から以前より少し元気になっている感じを受けた…


「優也さん…」

ナギさんが僕の方に歩みよろうとしたその時…

「ナ、ナギ!!

その…ダーリンはね、女性がハグしないと寂しい病だから…その…近寄っちゃダメよ!!」


…ティナの言葉にその場が凍りついた。


「…ハ、ハグしないと…寂しい病…⁉︎」


「…コ、コホン。まあ、婿殿の病気の事は置いておいてだな、ナギ、アレを見せてあげなさい…」


「はい…お父様…」

ナギさんは両手を肩幅に広げた…右手と左手の間に緑色の光の渦が起こる…だんだんとその渦は大きくなり、遂には両手を上げたナギさんの頭上で光の渦は光の玉となった…

「な、なんて大きな魔法力…以前はナギからこれほどの力は感じなかったわ…」

ティナはナギの力に驚いた…

「驚かれたかな?ワシも初めてこのナギの覚醒を見た時はビックリしてしまってな…すでにナギの魔法力はこの老いぼれを超えておるよ…」

「姉ちゃん…凄いやんか!!ワイも父ちゃんから聞いてはいたけど…これ程とは…」

ナギは口を開いた…「…実はこの力は優也さんから戴いたものなのです…」

「ぼ、僕から?」

「ええ…」



ティナはハッと何かに気付いた様子で…「そうか!!やっぱりあの時…」


そのティナの言葉にソーディア王は深く頷いた…

「そうじゃ…あの時…ナギは赤いワルキューレの花粉の毒が全身に回ってしまうところじゃった…ところが毒の回りが急速に緩やかになったのじゃ…婿殿よ…何故だか解るかの?」

「いえ…僕には見当もつかないですね…」


「ワシも…こんなことは初めてじゃったから昔の文献などを我が国の学者に調べさせたのじゃ…そうしたらやっとその理屈にたどり着いたわ…

婿殿、心して聞くがよいぞ…実はな、ナギがあの時、助かったのはお主の魔法力のおかげなのじゃ…」

ソーディア王とナギ以外にその場にいる全ての者がその言葉に驚きを隠せなかった…




「ぼ、僕が魔法を?…」
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