39 / 105
合わせ鏡の恐怖
しおりを挟むかすみ草のような星空の中に大輪の光の花が咲く…
ピューッッッッ…
ドォォォォォォォン!!
異世界で見る花火も人間界と変わらず風情を感じるなぁ…
和服のようなミラール王国の…とりわけ僕には馴染み深い民族衣装を着た人達の中にいると余計である。
「じいじー!こっちだよー!」
「はっはっは…そう急がんでも順番に買ってやるわい!」
「ばあばー!こっちのほうがはなびがよくみえるよー!」
「はいはい…待ってね…今、行きますからね…」
お義父さんとお義母さんにミスとリルをお任せして、僕はティナと二人でお祭りの屋台を見て回ることにした。
以前、僕の実家の母が仕立ててくれた浴衣をティナが着ている…
「えへへ…どうかな?似合ってますか…?」
「さっきから道行く人が振り返るくらい美人だよ…でも一国の国王がこんな所に来てもいいのかな?」
「ん…人間界なら大問題だろうけど…ここでは他の国の人は分かっててもあまり干渉しないね…」
「なるほど…それが暗黙のルールなんだね。だからお義父さんとお義母さんも色々出かけられるんだ!!」
「でも本当は護衛を付けなきゃいけないんだけど…」
「…けど…?」
「お父様とミスとリルは…多分、国では一番強いし…私は…あなたと二人きりが良いから…ね!!」
「なるほど…あはは…納得です!!」
それにしても浴衣姿のティナ…うなじが艶っぽい…
「ティナ…」
「はい…」
「綺麗だよ…」
「ありがとう…ダーリン…」
僕は一国の国王ではなく、今は浴衣姿の可愛い妻に口づけた…
ミスとリル…それにゴルドとシルヴァは長い階段を上って花火がよく見える高台の神社まで来ていた…
「おお!中々の見晴らしじゃ!これ!お前達!あまり遠くまで行くんじゃないぞ!」
「はーい!」「はーい!」
その時…暗闇に光を帯びた綺麗な蝶が舞っているのをリルが見つけた…
「おねえちゃん!あれ!…」「あっ!」「まてー!」「まてー!」
蝶を追いかけた二人は神社の社に入って行ったのを見て…自分達で社の扉を開けた。
蝶に夢中でミスは自分のポシェットからウサギのマスコットを扉の前に落としたことに気付かなかった…
ミスとリルは蝶が鏡の前で止まっているのを見つけた…蝶にだんだん近づく二人…
二人が蝶の前に来た時、ふいと蝶の姿が消えてしまった…「あっ!どこ?どこにいったの?」「おねえちゃん!あれ!」
二人の前にある鏡が青白く光っていた…
「あれれ…」
ミスは後ろを振り返った…すると後ろにも同じ鏡が…二つの鏡がまるで共鳴するかの如く光を放っている…
二人は光に誘われるまま鏡を覗きこんだ…
すると幾重にも重なった自分達の姿がそこに写っていた…
突然、手前の自分達の姿が消えたかと思うと順番に奥に向かって写っている自分達の姿が消えていく…
鏡の中の二人の姿が完全に消えたと同時に二人の姿が社の中から忽然と姿を消してしまった…
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
【完結】お飾りの妻からの挑戦状
おのまとぺ
恋愛
公爵家から王家へと嫁いできたデイジー・シャトワーズ。待ちに待った旦那様との顔合わせ、王太子セオドア・ハミルトンが放った言葉に立ち会った使用人たちの顔は強張った。
「君はお飾りの妻だ。装飾品として慎ましく生きろ」
しかし、当のデイジーは不躾な挨拶を笑顔で受け止める。二人のドタバタ生活は心配する周囲を巻き込んで、やがて誰も予想しなかった展開へ……
◇表紙はノーコピーライトガール様より拝借しています
◇全18話で完結予定

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

家庭菜園物語
コンビニ
ファンタジー
お人好しで動物好きな最上 悠(さいじょう ゆう)は肉親であった祖父が亡くなり、最後の家族であり姉のような存在でもある黒猫の杏(あんず)も静かに息を引き取ろうとする中で、助けたいなら異世界に来てくれないかと、少し残念な神様に提案される。
その転移先で秋田犬の大福を助けたことで、能力を失いそのままスローライフをおくることとなってしまう。
異世界で新しい家族や友人を作り、本人としてはほのぼのと家庭菜園を営んでいるが、小さな畑が世界には大きな影響を与えることになっていく。

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる