奥さまは魔王女

奏 隼人

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報われない恋

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「じゃあ…行ってきます…ナギさん…またね!!」


次の朝…僕はティナとナギさん…子供達に見送られて仕事に出かけた。
 

手を振りながら出かける優也の背中をずっと見ているナギを見てプラティナは少し不安を感じた…



その日…王宮に仕事に出かけるティナと一緒にナギさんは魔界に帰って行ったらしい…



魔界に…ソーディア王宮に帰ったナギはまた窓辺で頬杖をつく…

優也に会って二人でドライブした楽しい思い出と、プラティナと彼のラブラブぶりに余計に想いが募ってしまい、ため息の数は減るどころか増える結果となってしまった。

終には体調を崩してナギは寝込んでしまった。

ソーディア国王と弟のムラサメはナギの恋煩いと体調を大変心配した…




それから数日後…

「姉ちゃん…こっちやこっち…」

「待ってよ…ムラサメ…」

寝込んでばかりもダメだとムラサメに無理矢理連れ出され、ナギは優也との思い出のエメラルダの森へと足を踏み入れた…

それでも大好きな花摘みをしていると、少しずつ彼女の気持ちは晴れて来た…

「ウフフッ…あら…⁉︎」

気が付くと近くに人影が見えた…
さらによく見るとその人物のすぐ近くにオオカミの姿も見える…

「おのれ…ケモノめ…!!!」

ムラサメはオオカミを見た瞬間に刀を構える…

しかしナギはムラサメを制した…
「ムラサメ…ちょっと待って…」


オオカミの側にいたのは優也と子供達であった…優也が持ってきたビーフジャーキーをオオカミ達は食べていた…

「こないだはゴメンね。沢山持ってきたからいっぱい食べなよ!」

ミスとリルは…「かわいいなあ!」「つぎはあたしになでなでさせてよ!」とオオカミの子供の頭を撫でていた…




その姿を見てナギは嬉しそうに微笑んだのだが…

しかし…彼女はその瞳の奥に報われない恋の悲しさを感じていた。

そんなナギの様子を見たムラサメは確信した…


「そうか…姉ちゃんの好きなんはあの男なんや!!」
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