奥さまは魔王女

奏 隼人

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二人の導き

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「パパ…どうしたの?」

ミスが僕の足下で僕の顔を見上げた。

「実はね、パパ…ママの所に行きたいんだけど、行けないんだ…」

「ふーん…ねぇ!!あたし…たぶんわかるよ!!」

「えっ…本当?」

「うん。」

ミスは大きく頷くとドアに向かってあの時のティナのように何か唱え始めた…

でもしばらくしてミスは悲しそうな表情を浮かべて…

「ごめん…パパ…むりだった…」

「そ、そう…」


僕がガッカリした表情を浮かべると「あっ!ちょっとまってパパ…リル!ちょっときてよ!」

「なに…おねえちゃん…⁉︎」

「パパがね、ママのところにいきたいっていってるんだけどあれがじゃまなのよ。あんたなんとかしてよ。」

「うん。わかった…」

さっきと同じようにミスが何かを唱え出した…

「いまよ…リル!」

リルは目をつぶって…

「えい!…やったよ…おねえちゃん」

「やったね…リル!…パパ…もうママのところへいけるようになったよ!!」

「本当かい?ありがとう…ミス、リル…」

「えへへ…」

二人は顔を見合わせて喜んだ…



…ガチャッ…


僕がドアをゆっくり開くとティナが魔法で向こうの世界に行った時のように光が満ち溢れている…僕はミスとリルと手を繋いで光の中に飛び込んだ…


僕達は光の中から外に出た…

木々が覆い茂り明るい木漏れ日が差す…そこはおそらくは森の中のようだった…

遠くで鳥の鳴き声や獣と思われる鳴き声が聞こえてくる…  

これが魔界…僕は知らない世界に子供を二人連れて飛び込んだ無謀さをひしひしと実感した…

「一体ここは何処なんだろう?」

「パパ…こないだうちにきた、あのおじちゃんにきけばいいんじゃない?」

「あっ、そうか…そうだね…」

しっかり者のお姉ちゃん…ミスの言葉に僕は思わず頷いたが…一体どうやって?

「あたしはこっちをしらべるからリルはこっちをしらべて…」

するとリルが「おねえちゃん!いたよ…こっち!」とミスを呼んだ。

「ほんとだ!ねえねえ…おじちゃん!パパがね、おじちゃんとおはなししたいんだって…」

「おお…婿殿…来られましたか!」頭の中にラリーさんの声が響く…

「すみません…初めてで迷ってしまったみたいで…」 

「大丈夫です。お子達に私を呼んでもらうようにお願いして貰えますか?」

「はい。ミス…リル…」

「はーい!こっちだよー!」

こうして何とかラリーさんと会う事が出来たのだったが大変なのはこれからだった事をこの時の僕達は知る由も無かった…

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