フィギュアな彼女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
87 / 92

信頼

しおりを挟む
会場の歓声に押されるようにキスクラではミドリと一緒にリカがモニターを見つめていた…



モニターに映し出された得点は…152.00…!
合計得点は239.56であった…



ミドリは目を丸くして「リカさん…見て…学生杯で歴代最高得点よ…

今までの誰よりも…こんな…ううう…」


ミドリの目から熱いものが流れていく…リカは少し困ったような表情を見せたが自分の事にこれ程までに喜んでくれるコーチの背中を抱きしめた…


モニターに得点が映し出されて再び会場に歓喜の渦が巻き起こる…


「な……!スゴイわ… 

アルタイルのスケートは異次元のレベルまで到達している…とても私達では…」

ジュンの心はその歓声に打ちのめされていた。

この大会が終わった後で自分はサークルの部員達に何て声をかけたら良いのだろう?


『自分のスケートはもう時代遅れでした…ゴメンなさい…!』そう言えば良いのだろうか?



その時、近くでモニターを見つめていたミヤの体から穏やかな水面のようなアクアブルーのオーラが発せられているのをジュンは感じた…

「ミヤ!」

彼女に向かって名前を呼ぶとミヤはジュンに向かってニッコリと笑った…



その瞳は自分を極限まで追い込んでプレッシャーによってゾーン状態に変わるあのミヤのそれではなく、いつもの…

強いて言うならジュンが初めてミヤと出会った頃…


ジュニアクラスで仲間と一緒に技を磨いてそれが成功した時の嬉しそうな表情…その時の瞳にソックリだった。

「そうだわ…アルタイルのスケートがどうであろうとも私が彼女達を指導したからここにいるのでは無い…

私達が彼女達の才能と努力にここに連れて来てもらったんだわ…信じよう…ミヤを…

彼女達、ヴェガのスケートを!」



ジュンは今、まさにリンクに出ようとしているミヤの元に駆け寄り彼女を抱きしめた…



「ミヤ…信じてるわ…私もあなたと一緒に滑らせてね…」




ミヤはジュンの心からの信頼に少し目を潤ませて彼女を抱きしめ返した。



「コーチ…今までの私を全て出し切ります…
本当にありがとうございました…」



そう言うとミヤは一切の迷いや未練を振り切るようにきびすを返してリンクの中に入って行った…

何度かリンクの感触を確かめた後、中央のスタート地点に向かう…




「さあ…これが今年の星間学生杯…最終滑走になります…

会場の興奮冷めやらぬ中、トリを飾るのは昨年の覇者…ミヤ選手!現在SPで二位につけていますが…

連覇なるか…?」



すると会場の照明が明るく真っ白となり
リンクも白く輝き始めた…



キスクラから戻ったリカとミドリはミヤの演技を見にダイスケ達の元へと戻った。


みんながミヤの演技を見つめる…

「これは…」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

スマホゲーム王

ルンルン太郎
ライト文芸
主人公葉山裕二はスマホゲームで1番になる為には販売員の給料では足りず、課金したくてウェブ小説を書き始めた。彼は果たして目的の課金生活をエンジョイできるのだろうか。無謀な夢は叶うのだろうか。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

処理中です...