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力を奮い立たせる言葉
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白い尾を引いて流星は更に加速していく…その星は終盤につれて逆に力強く輝きを増していった…
そしてステップシークエンスから最後のコンビネーションジャンプに向かう…
「な、なんて人なの…全く疲れを感じさせない…それどころか生命のエネルギーに満ち溢れている…」
力強いストレートからバックストレートにスイッチして渾身の力を込めて彼女は踏み切った…
ミキから教えてもらった全てをこの瞬間に全て出すようにリカは舞う…
一回…
二回…
三回…
四回…
一瞬の出来事…しかしあまりの美しさに観客は目に映し出されたその映像を脳内に何度もリフレインさせる…
ミキのジャンプをトレースするのみではなくて彼女からのバトンを受け取ったかのような四回転ルッツ、三回転トウループのコンビネーションジャンプを決めた…
ネイルブレードの白い発光が再び虹色に変わってもう一度観客の目に織姫の舞を刻みつけてその心を鷲掴みにする…
「ああ……」
その美しさに涙する者さえいた…
ノーミスの演技でフィニッシュのポーズを決めた瞬間、会場中がリカの演技と演出に惜しみない拍手を送った…
「リ、リカ選手…二度の四回転ジャンプを決めた…そしてフィニッシュ…女子スケート界にとてつもない新星が現れました…!」
リカの瞳の輝きが収まり、観客席に手を振る…
視力に於いても常人を遥かに超えているリカの目はスタンド席に座るシズカの存在をすぐに見つけた…
そしてその膝にチョコンと乗っている愛すべき存在を…
「ムク…!」
ムクを見つけたリカの笑顔は更に輝いてそれを見た観客からは溜息が漏れる…
「はぁ…リカちゃん…可愛い…!」
「ああ…私、リカちゃんのサインも欲しくなってきちゃったなぁ…」
「あなたもリカさんみたいなあんな素敵なスケーターを目指して欲しいわ…!」
「はい!お母様…」
老若男女…親子連れ…様々な笑顔の花が咲き乱れる中、会場で一人…絶望感に包まれるミヤの姿があった。
「どうしよう…このまま滑っても彼女を超えることは出来ない…
例え…同じ滑りをしたところで明日には彼女はあの新しいジャンプを跳ぶわ…
私では到底敵わない…」
そんな彼女の肩にポンと手を置いた人物がいた…コーチのジュンだった。
「ミヤ…私もこんな歓声を聞かされて…あの娘の完璧な滑り…そしてあのダイスケ君のコーディネートとのコンビネーションの演技を見せられて正直、あなたと同じ気持ちよ…
でも…あなたはあなたのいつものスケートをなさい!どんなに遠回りだと思ってもどんなに不安でもあなたのやっていることをあなた自身が信じるのよ…私はあなたを信じるわ…!」
ジュンのその言葉がミヤの透き通るようなブルーの瞳の中に荒々しい波を起こす…
「分かりました…私、自分の存在を証明する為に滑ります…
これからの私の道を自分で切り開いて見せます…」
そしてステップシークエンスから最後のコンビネーションジャンプに向かう…
「な、なんて人なの…全く疲れを感じさせない…それどころか生命のエネルギーに満ち溢れている…」
力強いストレートからバックストレートにスイッチして渾身の力を込めて彼女は踏み切った…
ミキから教えてもらった全てをこの瞬間に全て出すようにリカは舞う…
一回…
二回…
三回…
四回…
一瞬の出来事…しかしあまりの美しさに観客は目に映し出されたその映像を脳内に何度もリフレインさせる…
ミキのジャンプをトレースするのみではなくて彼女からのバトンを受け取ったかのような四回転ルッツ、三回転トウループのコンビネーションジャンプを決めた…
ネイルブレードの白い発光が再び虹色に変わってもう一度観客の目に織姫の舞を刻みつけてその心を鷲掴みにする…
「ああ……」
その美しさに涙する者さえいた…
ノーミスの演技でフィニッシュのポーズを決めた瞬間、会場中がリカの演技と演出に惜しみない拍手を送った…
「リ、リカ選手…二度の四回転ジャンプを決めた…そしてフィニッシュ…女子スケート界にとてつもない新星が現れました…!」
リカの瞳の輝きが収まり、観客席に手を振る…
視力に於いても常人を遥かに超えているリカの目はスタンド席に座るシズカの存在をすぐに見つけた…
そしてその膝にチョコンと乗っている愛すべき存在を…
「ムク…!」
ムクを見つけたリカの笑顔は更に輝いてそれを見た観客からは溜息が漏れる…
「はぁ…リカちゃん…可愛い…!」
「ああ…私、リカちゃんのサインも欲しくなってきちゃったなぁ…」
「あなたもリカさんみたいなあんな素敵なスケーターを目指して欲しいわ…!」
「はい!お母様…」
老若男女…親子連れ…様々な笑顔の花が咲き乱れる中、会場で一人…絶望感に包まれるミヤの姿があった。
「どうしよう…このまま滑っても彼女を超えることは出来ない…
例え…同じ滑りをしたところで明日には彼女はあの新しいジャンプを跳ぶわ…
私では到底敵わない…」
そんな彼女の肩にポンと手を置いた人物がいた…コーチのジュンだった。
「ミヤ…私もこんな歓声を聞かされて…あの娘の完璧な滑り…そしてあのダイスケ君のコーディネートとのコンビネーションの演技を見せられて正直、あなたと同じ気持ちよ…
でも…あなたはあなたのいつものスケートをなさい!どんなに遠回りだと思ってもどんなに不安でもあなたのやっていることをあなた自身が信じるのよ…私はあなたを信じるわ…!」
ジュンのその言葉がミヤの透き通るようなブルーの瞳の中に荒々しい波を起こす…
「分かりました…私、自分の存在を証明する為に滑ります…
これからの私の道を自分で切り開いて見せます…」
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