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惚れてまうやろ
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「ふう…何とか間に合った…」
演出の変更願を本部に提出した僕は…
照明と音楽のタイムキーピングの変更に追われてタブレットと睨めっこしていたが、ようやくリカのSPの準備が整った。
「ダイスケ君…」
僕を呼ぶ声に振り返るとそこにはミヤさん…ジュンコーチ、ミドリコーチ、そしてシズカさんの姿があった。
「あっ!どうやら間に合ったみたいやで!」
「本当ね…良かったわ…」
アップを始めていたカオリとマイも様子を見に駆け寄ってきた…
ミキは相変わらずポーカーフェイスで黙々とアップを続けている…
ジュンコーチが僕に深々と頭を下げた…
「ありがとう…本当にあなたには何度も助けてもらって…
ミドリコーチ!本当にウチの…ヴェガの選手達はあんな事があったのに出場しても良いんでしょうか…?」
「ジュンコーチ…あなたが今期限りでヴェガスクールのコーチを契約を更新せずに勇退されることは伺いました…」
その言葉を聞いたヴェガの三人の選手は驚いてジュンに駆け寄った…
「コーチ…ホンマですか?」
「どうして教えて下さらなかったの?」
ジュンは黙ったまま目を伏せる。
ミドリコーチは続けた…
「私はセンチメンタルな気持ちで助けようなんて気持ちはこれっぽっちもありません!
ただ…あなたが開花させた才能が…選手達が頑張ってきた日々が大切なだけ…
それにもう私が何を言おうとこの件は解決している筈ですよ…ね!…ダイスケ君!」
みんなが一斉にダイスケを見つめる…
シズカは笑い出す…
「なるほど…ミドリもダイスケ君の事が分かってきたようね…
ダイスケ君が先に部屋を出て行ったのは大会本部に演出プログラムを変更するだけじゃなくて…
警備員の方に
『すいません!僕の勘違いで衣装が見つかりました…
何かを燃やしていたのは指導のコーチが注意していましたからこの件はもう解決済なのでご迷惑をおかけしました!』
と申し出た…と言ったところかしら…」
「いや…あの…その…」
「バシッ!」
「ぐはっ!!」
見事にシズカに言い当てられて焦るダイスケの背中をカオリが思い切り叩いた…
「兄ちゃん!アンタ…ホンマにエエ男やな!!
リカちゃんには悪いけどウチも本気で惚れてしまいそうやわ…!」
カオリの張り手の勢いに前のめりになって倒れて動けなくなったダイスケを見てミヤとマイ…
「ダイスケさん…大丈夫?」
「カオリの張り手は横綱級だからね…」
二人は笑いながらダイスケを気遣った。
「最終滑走のグループは只今より練習時間となりますのでスタンバイをお願い致します…繰り返します…」
僕達の頭上からアナウンスが流れた…
「さあ!全てはこの時のためにあったわ!」
「みんな!頑張りましょう!」
二人のコーチの言葉に全員が頷く…ミキはアップの手を止めてニヤリと笑った…
「そうだ…リカは?」
僕の問いかけにシズカさんは「そろそろ着替えて来るはずよ…そうだ…ダイスケ君…ちょっとリカの様子がおかしいの…」
「リカの…?」
その時、暗くて見えなかった通路の奥から衣装に着替えたリカが現れた…
彼女はシズカさんが心配していた虚ろな表情で目は一点、リンクだけを見つめていた…
演出の変更願を本部に提出した僕は…
照明と音楽のタイムキーピングの変更に追われてタブレットと睨めっこしていたが、ようやくリカのSPの準備が整った。
「ダイスケ君…」
僕を呼ぶ声に振り返るとそこにはミヤさん…ジュンコーチ、ミドリコーチ、そしてシズカさんの姿があった。
「あっ!どうやら間に合ったみたいやで!」
「本当ね…良かったわ…」
アップを始めていたカオリとマイも様子を見に駆け寄ってきた…
ミキは相変わらずポーカーフェイスで黙々とアップを続けている…
ジュンコーチが僕に深々と頭を下げた…
「ありがとう…本当にあなたには何度も助けてもらって…
ミドリコーチ!本当にウチの…ヴェガの選手達はあんな事があったのに出場しても良いんでしょうか…?」
「ジュンコーチ…あなたが今期限りでヴェガスクールのコーチを契約を更新せずに勇退されることは伺いました…」
その言葉を聞いたヴェガの三人の選手は驚いてジュンに駆け寄った…
「コーチ…ホンマですか?」
「どうして教えて下さらなかったの?」
ジュンは黙ったまま目を伏せる。
ミドリコーチは続けた…
「私はセンチメンタルな気持ちで助けようなんて気持ちはこれっぽっちもありません!
ただ…あなたが開花させた才能が…選手達が頑張ってきた日々が大切なだけ…
それにもう私が何を言おうとこの件は解決している筈ですよ…ね!…ダイスケ君!」
みんなが一斉にダイスケを見つめる…
シズカは笑い出す…
「なるほど…ミドリもダイスケ君の事が分かってきたようね…
ダイスケ君が先に部屋を出て行ったのは大会本部に演出プログラムを変更するだけじゃなくて…
警備員の方に
『すいません!僕の勘違いで衣装が見つかりました…
何かを燃やしていたのは指導のコーチが注意していましたからこの件はもう解決済なのでご迷惑をおかけしました!』
と申し出た…と言ったところかしら…」
「いや…あの…その…」
「バシッ!」
「ぐはっ!!」
見事にシズカに言い当てられて焦るダイスケの背中をカオリが思い切り叩いた…
「兄ちゃん!アンタ…ホンマにエエ男やな!!
リカちゃんには悪いけどウチも本気で惚れてしまいそうやわ…!」
カオリの張り手の勢いに前のめりになって倒れて動けなくなったダイスケを見てミヤとマイ…
「ダイスケさん…大丈夫?」
「カオリの張り手は横綱級だからね…」
二人は笑いながらダイスケを気遣った。
「最終滑走のグループは只今より練習時間となりますのでスタンバイをお願い致します…繰り返します…」
僕達の頭上からアナウンスが流れた…
「さあ!全てはこの時のためにあったわ!」
「みんな!頑張りましょう!」
二人のコーチの言葉に全員が頷く…ミキはアップの手を止めてニヤリと笑った…
「そうだ…リカは?」
僕の問いかけにシズカさんは「そろそろ着替えて来るはずよ…そうだ…ダイスケ君…ちょっとリカの様子がおかしいの…」
「リカの…?」
その時、暗くて見えなかった通路の奥から衣装に着替えたリカが現れた…
彼女はシズカさんが心配していた虚ろな表情で目は一点、リンクだけを見つめていた…
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