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素敵なあなた
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「な…なんとか食べられた…ウプッ…」
「ダイスケさん…本当によく食べますね…ウプッ…」
僕とミヤさんは近くの芝生に寝転んで空を見上げている…
「…スランプから抜け出せましたか?」
何気無く聞いた僕の言葉に彼女は嬉しそうに
「ええ…今までの私のスタイルを全ては変えられそうに無いけど…それも含めて見てくれるみんなのために頑張るつもりです…」
「そうですか…良かった…」
ミヤはそっとダイスケの表情を伺った…
自分の事のように思い遣ってくれる彼の微笑んでいる顔を見てミヤにも自然と笑みが溢れた…
そして彼を想う気持ちが彼女の頬を赤く染めていた。
「あの…ミヤさん…」
その時、僕らの側に二人の女の子が近づいてきた…
「ハーディー…それにケリー…」
「何故エキシビジョンで滑らないのですか?それに何故、キャプテンをマイさんに譲られたのですか…私達はあなたの背中を…ひた向きに滑りを追及する姿勢を追いかけてここまで来たのに…私達を置いて行かないでください!」
「そんな…私は今までと変わらないわ…エキシビジョンで滑らないのは午前中にメニューをこなしてしまったからよ…オーバーワークにならないように…ね…
それに私もあなた達もヴェガのスケートサークルの仲間じゃないの…困った事があったらいつでも相談してよ…ねっ!」
ミヤさんはそう言って彼女達の肩と背中をポンと叩いた。彼女達はミヤさんの言葉に涙を浮かべた…
そして側にいる僕を気遣ってか会釈して名残惜しそうにミヤさんの元を離れて帰って行った…
「すみません…恥ずかしいところを見せちゃって…」
「恥ずかしい?とんでもない!ミヤさん…慕われているんですね…なんか彼女達の気持ちも分かるような気がしますよ…憧れっていうか…」
「そんな…私なんかご覧の通り自分の事もままならないダメなキャプテンで…だからカオリの事も客観的に見られて他の部員にも意見出来るマイの方が私よりずっと良いと思って…」
そう言うと彼女は少し悲しげに俯いてしまった…
「キャプテン…かぁ…ウチの男子の新キャプテンはノブなんですよ…ほら、さっき僕を呼びに来てくれた…」
「ああ…彼…優しそうですね…ダイスケさんとはタイプが少し違うようなイメージですけど…」
「僕と彼は幼馴染で兄弟のように育ったんです…僕は割と色んな人と色んな話をするのが好きなんですけど…彼はいつもみんなの後ろでみんなの事を見守っていて…ある時みんなの意見がすごく割れて収集がつかなくなった時…ノブがこうすればいいんじゃないかな?って一言だけみんなに向かって言ったんです…
でもその一言はみんなにとって魔法の言葉で…いつもは黙ってみんなを見つめていて、でも黙って見つめているからこそみんながどんな気持ちか…どんな事を望んでいるのか分かるんだと思います…」
「…素敵ですね…」
ミヤの言葉にダイスケはクスッと笑って「あなたも素敵ですよ!」
「えっ?」
ミヤは驚いてダイスケを直視する…
「さっきの子達を見てて分かります…やっぱりあなたにはみんなを幸せにする力がある…
自分の事にひた向きで一生懸命で…それをあなたは自分勝手だと評価するかもしれませんね。
でもあなたのようにひた向きに一生懸命にスケートをしたい子達にとってあなたは目標や支えになっているんです…その姿を…背中を見せて引っ張っていくキャプテンも素敵ですよ…
人にはその人しか持っていない魅力が必ずあります…あなたはあなたの目標に向かって頑張る事がとても大事な事なんだと僕は思います…」
俯き加減で話していたダイスケはふと彼女の方に向き直って…そして彼女の目から溢れる涙を見て驚いた…
「あっ…ご、ごめんなさい…僕…ちょっと偉そうな事を言っちゃって…」
ミヤは両手で顔を覆ってダイスケの胸に飛び込んだ…
「ごめんなさい…ダイスケさん…後でお詫びをしますから…今だけちょっと胸を貸してもらえませんか…すみません…」
そう言って彼女は小さな声で鳴き始めた…
「ミヤさん…」僕は彼女を柔らかく抱きしめた。
遠くからさっきの二人の子達がミヤとダイスケの様子を見ていた…
「ミヤさん…素敵な彼氏が出来たのね!良かったわ…」
「アルタイルで命がけでミヤさんを助けたというのはきっとあの人だよね…」
「私達二人でミヤさんとあの人の間に悪い虫が付かないようにしないとね…」
「ダイスケさん…本当によく食べますね…ウプッ…」
僕とミヤさんは近くの芝生に寝転んで空を見上げている…
「…スランプから抜け出せましたか?」
何気無く聞いた僕の言葉に彼女は嬉しそうに
「ええ…今までの私のスタイルを全ては変えられそうに無いけど…それも含めて見てくれるみんなのために頑張るつもりです…」
「そうですか…良かった…」
ミヤはそっとダイスケの表情を伺った…
自分の事のように思い遣ってくれる彼の微笑んでいる顔を見てミヤにも自然と笑みが溢れた…
そして彼を想う気持ちが彼女の頬を赤く染めていた。
「あの…ミヤさん…」
その時、僕らの側に二人の女の子が近づいてきた…
「ハーディー…それにケリー…」
「何故エキシビジョンで滑らないのですか?それに何故、キャプテンをマイさんに譲られたのですか…私達はあなたの背中を…ひた向きに滑りを追及する姿勢を追いかけてここまで来たのに…私達を置いて行かないでください!」
「そんな…私は今までと変わらないわ…エキシビジョンで滑らないのは午前中にメニューをこなしてしまったからよ…オーバーワークにならないように…ね…
それに私もあなた達もヴェガのスケートサークルの仲間じゃないの…困った事があったらいつでも相談してよ…ねっ!」
ミヤさんはそう言って彼女達の肩と背中をポンと叩いた。彼女達はミヤさんの言葉に涙を浮かべた…
そして側にいる僕を気遣ってか会釈して名残惜しそうにミヤさんの元を離れて帰って行った…
「すみません…恥ずかしいところを見せちゃって…」
「恥ずかしい?とんでもない!ミヤさん…慕われているんですね…なんか彼女達の気持ちも分かるような気がしますよ…憧れっていうか…」
「そんな…私なんかご覧の通り自分の事もままならないダメなキャプテンで…だからカオリの事も客観的に見られて他の部員にも意見出来るマイの方が私よりずっと良いと思って…」
そう言うと彼女は少し悲しげに俯いてしまった…
「キャプテン…かぁ…ウチの男子の新キャプテンはノブなんですよ…ほら、さっき僕を呼びに来てくれた…」
「ああ…彼…優しそうですね…ダイスケさんとはタイプが少し違うようなイメージですけど…」
「僕と彼は幼馴染で兄弟のように育ったんです…僕は割と色んな人と色んな話をするのが好きなんですけど…彼はいつもみんなの後ろでみんなの事を見守っていて…ある時みんなの意見がすごく割れて収集がつかなくなった時…ノブがこうすればいいんじゃないかな?って一言だけみんなに向かって言ったんです…
でもその一言はみんなにとって魔法の言葉で…いつもは黙ってみんなを見つめていて、でも黙って見つめているからこそみんながどんな気持ちか…どんな事を望んでいるのか分かるんだと思います…」
「…素敵ですね…」
ミヤの言葉にダイスケはクスッと笑って「あなたも素敵ですよ!」
「えっ?」
ミヤは驚いてダイスケを直視する…
「さっきの子達を見てて分かります…やっぱりあなたにはみんなを幸せにする力がある…
自分の事にひた向きで一生懸命で…それをあなたは自分勝手だと評価するかもしれませんね。
でもあなたのようにひた向きに一生懸命にスケートをしたい子達にとってあなたは目標や支えになっているんです…その姿を…背中を見せて引っ張っていくキャプテンも素敵ですよ…
人にはその人しか持っていない魅力が必ずあります…あなたはあなたの目標に向かって頑張る事がとても大事な事なんだと僕は思います…」
俯き加減で話していたダイスケはふと彼女の方に向き直って…そして彼女の目から溢れる涙を見て驚いた…
「あっ…ご、ごめんなさい…僕…ちょっと偉そうな事を言っちゃって…」
ミヤは両手で顔を覆ってダイスケの胸に飛び込んだ…
「ごめんなさい…ダイスケさん…後でお詫びをしますから…今だけちょっと胸を貸してもらえませんか…すみません…」
そう言って彼女は小さな声で鳴き始めた…
「ミヤさん…」僕は彼女を柔らかく抱きしめた。
遠くからさっきの二人の子達がミヤとダイスケの様子を見ていた…
「ミヤさん…素敵な彼氏が出来たのね!良かったわ…」
「アルタイルで命がけでミヤさんを助けたというのはきっとあの人だよね…」
「私達二人でミヤさんとあの人の間に悪い虫が付かないようにしないとね…」
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