49 / 92
エキシビジョン
しおりを挟む
「お話…一体何でしょうか?」
ミドリコーチは不思議そうにジュンコーチの顔を見た。
ジュンコーチはリンクへ入る扉に手をかけて
「まぁ…悪い事では無いと思うのですが…」
彼女が扉を開けるとリンクの観客席は超満員でヴェガのスケートサークルのメンバーが勢揃いしている…
「ようこそ!ヴェガスクールへ…」
全員が声を揃えて歓迎してくれた。
リカもそれを見て目を丸くしていると観客席にいる何人かがリカを見つけて…
「キャーッ!リカちゃーん!」
「すごい!本物だよ!」
「可愛い~!」
観客席からこちらの足元が震える位のスゴイ声援をもらって僕達はただただ唖然とその場に立ち尽くしていた…
ミドリコーチが僕の肩にポンと手を置いて、
「なるほどね…ダイスケ君…あなたの動画はヴェガの人々も魅了していたみたいよ…」
「えっ…」
そうか…リカのイーナダンスの動画はヴェガにも流れていた…こちらでも人気になっていたのか…
「リカ!」
僕がリカに声をかけると彼女はゆっくりとこちらを向いた。
「みんな…君が来るのを待ってたみたいだよ…応えてあげたら?」
「……はい!!」
リカは驚いた表情から僕の大好きなあの笑顔を見せて観客席に向かって手を振る…
すると観客席からさらに大きな歓声が僕達を包んだ…
ミドリコーチはリカに「少し滑ってみない?多分みんなあなたのスケートを見たい筈だわ…」
リカはコーチの言葉に小さく頷いた「はい!」
「じゃあロッカールームに案内するわ…」
ジュンコーチとカオリ、マイ、それからミキと一緒に歩き出したリカを僕は呼び止めた。
「リカ…頑張ってね!」
「はい!ダイスケさん…見ててくださいね!」
「ああ…勿論さ…」リカの背中を僕は側にいたシズカさんといつまでも眺めて見送った…
「おーおーお熱いことやなあ…なぁ!リカちゃん?アンタ…あの子と付き合うとるんやろ?
ええなあ…彼氏が一緒に居てくれて…でも
スケートはそんなに甘いもんやないで…全てを投げ売って掴み取らなトップにはなられへんで!」
お節介が性分のカオリの言葉にマイが「ちょっと!カオリ…あんまりプライベートに立ち入るのは…それぞれの考え方があるんだし…」
「そうよ…」ジュンコーチがカオリの肩に手をかけてゆっくりとした口調で話す…
「競技を一生懸命にやることと人を好きになることは無関係だわ…でも人を好きになる気持ちをプラスに活かすのもマイナスになってしまうのも全ては自分次第…」
ジュンコーチは少し目を伏せて何かを考えているように見えた…
やがてふと僕達の視線に気づいて「あっ…と、とにかくスケートは技術も大事だけど表現力…クールに平常心でってだけじゃ乗り越えられない壁があるわ…
恋愛から豊かな感受性を得る事も方法の一つだと私は思うわ…」
コーチはまた何かを思い出しているように語った。
「ふーん…そんなもんかなあ…じゃあ、アタシらもカッコいい彼氏探そうか!マイマイ!」
「はいはい!とりあえずは星間学生杯が終わってからね!今は目の前の目標に集中、集中!」
「私が翔んだ時の楽しそうな表情と笑顔がダイスケさんは大好きだって言ってくれるんです…だから私はダイスケさんに喜んでもらうために一生懸命に翔びます!
そしてダイスケさんの嬉しそうな表情を見て
笑顔になってまた喜んでもらいたい…それが私がスケートをする理由なんです!」
そう語ったリカの正直で何のてらいもない笑顔に二人のコーチもカオリとマイも顔を見合わせて笑みを浮かべた…
しかしミキはポーカーフェイスを崩さずロッカールームの方へ向かって先に歩き出した。
「じゃあ私はこのスクールの知り合いの所へ
顔を出してくるわね。その後、部屋に荷物を置きに行くからダイスケ君はリカをお願いね!」
シズカさんは僕にそう告げるとリンクを後にした…
「おーい!ダイちゃーん!」
すぐさまノブが僕の元に走って来た。
「ダイちゃん!彼女が…」
そう言ったノブの視線の先を僕は辿った…そこには小柄で可愛い女性がこちらを向いて会釈した。
「あれ…?ミヤさん…」
ミドリコーチは不思議そうにジュンコーチの顔を見た。
ジュンコーチはリンクへ入る扉に手をかけて
「まぁ…悪い事では無いと思うのですが…」
彼女が扉を開けるとリンクの観客席は超満員でヴェガのスケートサークルのメンバーが勢揃いしている…
「ようこそ!ヴェガスクールへ…」
全員が声を揃えて歓迎してくれた。
リカもそれを見て目を丸くしていると観客席にいる何人かがリカを見つけて…
「キャーッ!リカちゃーん!」
「すごい!本物だよ!」
「可愛い~!」
観客席からこちらの足元が震える位のスゴイ声援をもらって僕達はただただ唖然とその場に立ち尽くしていた…
ミドリコーチが僕の肩にポンと手を置いて、
「なるほどね…ダイスケ君…あなたの動画はヴェガの人々も魅了していたみたいよ…」
「えっ…」
そうか…リカのイーナダンスの動画はヴェガにも流れていた…こちらでも人気になっていたのか…
「リカ!」
僕がリカに声をかけると彼女はゆっくりとこちらを向いた。
「みんな…君が来るのを待ってたみたいだよ…応えてあげたら?」
「……はい!!」
リカは驚いた表情から僕の大好きなあの笑顔を見せて観客席に向かって手を振る…
すると観客席からさらに大きな歓声が僕達を包んだ…
ミドリコーチはリカに「少し滑ってみない?多分みんなあなたのスケートを見たい筈だわ…」
リカはコーチの言葉に小さく頷いた「はい!」
「じゃあロッカールームに案内するわ…」
ジュンコーチとカオリ、マイ、それからミキと一緒に歩き出したリカを僕は呼び止めた。
「リカ…頑張ってね!」
「はい!ダイスケさん…見ててくださいね!」
「ああ…勿論さ…」リカの背中を僕は側にいたシズカさんといつまでも眺めて見送った…
「おーおーお熱いことやなあ…なぁ!リカちゃん?アンタ…あの子と付き合うとるんやろ?
ええなあ…彼氏が一緒に居てくれて…でも
スケートはそんなに甘いもんやないで…全てを投げ売って掴み取らなトップにはなられへんで!」
お節介が性分のカオリの言葉にマイが「ちょっと!カオリ…あんまりプライベートに立ち入るのは…それぞれの考え方があるんだし…」
「そうよ…」ジュンコーチがカオリの肩に手をかけてゆっくりとした口調で話す…
「競技を一生懸命にやることと人を好きになることは無関係だわ…でも人を好きになる気持ちをプラスに活かすのもマイナスになってしまうのも全ては自分次第…」
ジュンコーチは少し目を伏せて何かを考えているように見えた…
やがてふと僕達の視線に気づいて「あっ…と、とにかくスケートは技術も大事だけど表現力…クールに平常心でってだけじゃ乗り越えられない壁があるわ…
恋愛から豊かな感受性を得る事も方法の一つだと私は思うわ…」
コーチはまた何かを思い出しているように語った。
「ふーん…そんなもんかなあ…じゃあ、アタシらもカッコいい彼氏探そうか!マイマイ!」
「はいはい!とりあえずは星間学生杯が終わってからね!今は目の前の目標に集中、集中!」
「私が翔んだ時の楽しそうな表情と笑顔がダイスケさんは大好きだって言ってくれるんです…だから私はダイスケさんに喜んでもらうために一生懸命に翔びます!
そしてダイスケさんの嬉しそうな表情を見て
笑顔になってまた喜んでもらいたい…それが私がスケートをする理由なんです!」
そう語ったリカの正直で何のてらいもない笑顔に二人のコーチもカオリとマイも顔を見合わせて笑みを浮かべた…
しかしミキはポーカーフェイスを崩さずロッカールームの方へ向かって先に歩き出した。
「じゃあ私はこのスクールの知り合いの所へ
顔を出してくるわね。その後、部屋に荷物を置きに行くからダイスケ君はリカをお願いね!」
シズカさんは僕にそう告げるとリンクを後にした…
「おーい!ダイちゃーん!」
すぐさまノブが僕の元に走って来た。
「ダイちゃん!彼女が…」
そう言ったノブの視線の先を僕は辿った…そこには小柄で可愛い女性がこちらを向いて会釈した。
「あれ…?ミヤさん…」
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


優等生の裏の顔クラスの優等生がヤンデレオタク女子だった件
石原唯人
ライト文芸
「秘密にしてくれるならいい思い、させてあげるよ?」
隣の席の優等生・出宮紗英が“オタク女子”だと偶然知ってしまった岡田康平は、彼女に口封じをされる形で推し活に付き合うことになる。
紗英と過ごす秘密の放課後。初めは推し活に付き合うだけだったのに、気づけば二人は一緒に帰るようになり、休日も一緒に出掛けるようになっていた。
「ねえ、もっと凄いことしようよ」
そうして積み重ねた時間が徐々に紗英の裏側を知るきっかけとなり、不純な秘密を守るための関係が、いつしか淡く甘い恋へと発展する。
表と裏。二つのカオを持つ彼女との刺激的な秘密のラブコメディ。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち
ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。
クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。
それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。
そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決!
その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる