フィギュアな彼女

奏 隼人

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笑顔の花

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リカの一日の練習メニューは朝練をして朝食…午前中カリキュラムをこなして昼食後、午後から夕方までリンクで練習という感じになった…

当然、僕も時間的には同じメニューをこなしているからスケート技術も少しは上達したのではないだろうか…?

まあ…僕にはリカのように代表選手になろうとする目標は夢のまた夢だけどね。




欠伸あくびをしながら朝日を浴びた並木道をリカと手を繋いで歩く…わずか10分くらいの時間だが実は僕のお気に入りの時間だ…

僕の横にいる彼女…本当に美少女で優しい…
フィギュアから人間になって今はフィギュアの選手…フィギュアだけに…?…ってあれ?

隣のリカが笑い出した…まさか僕の心を読む能力まで?

「どうしたの?リカ?」

「うふふふ…ゴメンなさい…今朝もムクがご飯を催促して暴れてたのを思い出して…」

「ああ…食いしん坊さんだからね…」

どうやらスーパーウーマンのリカでもテレパシーの能力は持っていないようでホッとした…

僕達がスクールの正門を潜ろうとしたその時、シズカさんの車が見えた…

シズカさんも僕達に気づいて車を止めてウインドウを開けてくれた。

「おはようございます!」

「おはよう!早いわね…これから練習?」

「はい!シズカさんは…泊まりだったんですか?」

「ええ…疲れてるし、化粧も崩れてるからあまり顔を見ないでね…うふふ…冗談よ!ちょっと研究で急いでいるモノがあってね!しばらくはリンクにも顔を出せないかも…ダイスケ君…リカのことよろしくね!」

「はい!」

「ママ!大丈夫よ!私達は仲良くやってるから…」

「そう…良かった…少し休んでくるわ…じゃあね…」

そう言ってシズカさんの乗った車は少し離れた寮のほうへ向かって行った…

「僕達も行こうか…」

「はい!」


嬉しそうなリカの笑顔にまたドキッとした。

僕は彼女の笑顔にいつまで経っても免疫が出来ない…

ドキドキが繋いだ手から彼女にバレないだろうか?心配しながらリンクに向かった…






リンクに併設されたトレーニングルームで、リカはMAYAコーチにヨガレッスンを受けている…

僕はリンクに降りて一人で滑っていると、
スケート教室の生徒…プティクラスの幼児達がリンクの周りに集まってきた…

「だれかいるよ…」

「あっ!いつものおにいちゃんだ!おはよう!」

「おはよう!みんな早いね!」

「ねーねーおにいちゃん!いつものおどってよ!」

「うん。分かった!」

ダイスケはブレスフォンから室内のBGMを「トトトの歌」に変えた…

星によっても地方によってもいろんな呼び方がある曲だが、みんなが口ずさめる曲…

ある地方では「猫ふんじゃった」なんて可愛い名前がついている曲である…

「タタタンタンタン…タタタンタンタン…」

ダイスケはネコの足運びを真似てブレードを巧みに操る…

「わあ…」

そのステップを見た子供達に笑顔の花が咲く…




「リカさん…少し休みましょう…」

「はい!!」


少しの休憩時間にMAYAとリカはリンクで楽しそうにブレードでダンスをするダイスケを
眺めていた…

「彼…楽しそうね…」

「だからなんです…」

「えっ…?」

「何でも楽しそうに頑張る…だから周りの人はあの人に惹かれて集まって…いつの間にか自分も楽しんじゃっているんです…」

「ふうん…だからあなたは…」

「わ、私はダイスケさんに作って貰ったから…」

「えっ?作った?」

「いえ…その…な、何でもありません…ウフフ…」

「タタタンタンタンタン タンタン…タン…」

曲が終わってダイスケは子供達に囲まれた…


「ふう…次に踊る時までにはまた練習しておくよ…」

「うん!ありがとう!おにいちゃん!」

「またおどってね!!」

レッスンを終えたリカがダイスケの元へやって来た…そこへミドリコーチも現れた…


「ダイスケ君…見事だわ。あなたの考え通りよ…

もう一度ヴェガスクールが合同練習を申し込んで来たわ…

但し、来るのはエリジブルコースのエリートだけ…

前のような様子見ではなく、今度は彼女達…

本気よ…」
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