フィギュアな彼女

奏 隼人

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銀河を駆け巡る

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「ええーっ!」

窓の外の小鳥の声でリカは目が覚めて、横にいるダイスケを見て驚いた…

「そうだ昨夜はダイスケさんと一緒に…」

リカはしばらくそのまま横になってダイスケの寝顔を見る…

「うふふふ…」彼女は昨日ダイスケに口づけた感触を思い出した。そしてそっとダイスケの頬に口づけてから彼にシーツをかけてベッドを出る…


それからしばらくして、コーヒーの香りとベーコンがフライパンの上ではじける音でダイスケも目が覚める…


「リカ…?」

隣にいるはずのリカがいない…

僕は自然にリカを探してキッチンへと向かった…

「リカ…!!」

僕の声に反応してこちらを向くリカと目が合う…

「あ…お、おはようございます…」

「お、おはよう…」顔を合わせて彼女は真っ赤になり、僕は照れ臭くて頭を掻いた…

やがて彼女は顔を上げて僕をじっと見つめる…僕もリカを見つめて彼女にゆっくり歩み寄った。

どちらともなくお互いを求めて僕達は口唇を重ねた…愛情の深さが口唇を通して僕の中に入ってくる…

兄貴を亡くしたり、ミキの怪我など心が痛くなることがたくさんあったけど、思えば全部…リカの存在が僕を救ってくれたんだ…

これからも彼女にはずっと一緒にいてほしい…僕も口唇を通して想いを彼女に全て伝えた…

その時、ムクのケージの方からガタンガタンと暴れるような音が聞こえた…

「あっ、ムクの食事をあげるの忘れてた…」

「だから怒ってるんですね…うふふふ…」

「あははは…」

このささやかな幸せが…彼女との楽しい毎日がずっと続きますようにと僕は祈った…







ダイスケがギャラクシーチューブを使って起こした動画のムーブメントは確かにサークルを大所帯にして、サークル消滅の一大危機は確実に乗り越えた…

しかし、この動画の影響はこれだけでは済まなかった…

ギャラクシーチューブの動画は文字通り、銀河系のどの惑星から投稿された動画でもリアルタイムですぐに見る事が出来る…

つまり、リカが踊るイーナダンスは可愛いとの評判は瞬く間に銀河を駆け巡る事となった…



「ねぇ…ミヤさん…何見てるの?」

「ん…こないだアルタイルスクールに行った時、こんな娘いたかしらね…?」

「さあ…でもあのトリプルアクセルを失敗した子が一番上手いならダンスはともかくレベルは…ね…」

「それもそうね…さ…私達も練習しましょうか…!」
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