フィギュアな彼女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
17 / 92

新しい家族

しおりを挟む
スケートの練習を終えて部屋に帰ろうとした僕達に嬉しいお誘いがあった…シズカさんが夕食を一緒にと誘って下さったのだ。

僕達が部屋に着くと間も無く食材を抱えたシズカさんが尋ねて来られた。彼女の料理を兄貴と一緒に何度かご馳走になったがその腕前はプロ級…兄貴は胃袋をガッチリと掴まれていたに違いない…全く羨ましい限りである。

そういう僕も最近、料理の上手な彼女が出来たばかりだが…




「へえ…二人でスケートサークルに入ったの…で、リカはコーチのお眼鏡にかなった訳ね…」

「はい…でもサークルの予算が年々少なくなっているみたいで…」

「なるほど…分からない話ではないわね…私達、研究者も予算ありきの研究だからね…でもリカがやる事は応援したいわね…私の大事な娘だからね…

それはそうとあなた達…お付き合いすることになったそうじゃない…?」



ブーッ!!

僕は飲んでたお茶を吹き出した…

リカもうつむいて真っ赤になっている…



「ど、何処からそれを…」

「うふふ…実は私とミドリはスクールの同期生なのよ…今でも一番の友達なの!

彼女…あなたとリカは良いカップルだと褒めていたわよ…でも…将来、結婚するとしたら、ダイスケ君は私の弟みたいなものだし…リカは娘だし…ちょっと複雑だわね。

でも…嬉しいわ。だって二人とも大好きだから…」

「け、結婚…」僕とリカは顔を見合わせてまた真っ赤になって俯いた…


僕は「こ、このポテトサラダ美味しいなあ…と誤魔化そうとするとリカも「わ、私もおかわりします…」とキッチンのほうへ向かった…

リカ…僕はバニラアイスをおかわりする人を初めて見たよ…


「ところでシズカさん…一つお願いがあるんですけど…」

「何かしら?私で出来ることなら…」


僕がシズカさんに耳打ちすると「ああ、それなら丁度良い子がいるわ…今度連れてきてあげる…」

「ありがとうございます!」

「リカは知ってるの?」

「あはは…サプライズで…」

「分かったわ…了解!!」

リカは僕とシズカさんの会話に首を傾げながら笑っていた…




それから数日後…シズカさんはペットを入れるキャリーケースをもって僕達の部屋を訪ねてくださった…

「ママ…何ですか?これ?」

リカは珍しそうにシズカさんのキャリーケースを見つめる…

シズカさんはキャリーケースを床に置いて「とても可愛い子よ…それっ!」とキャリーケースの扉を開けた…

「きゃっ!」リカはビックリして声を上げた。

中から勢い良くアルタイルフェレットの一種…イーナが飛び出した!

グレーと白の可愛い毛並みをしたその子はリカや僕の足元をグルグルとすごい速さで駆け抜けた…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

保健室の秘密...

とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。 吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。 吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。 僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。 そんな吉田さんには、ある噂があった。 「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」 それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。

人違いで同級生の女子にカンチョーしちゃった男の子の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

想ひ出のアヂサヰ亭

七海美桜
ライト文芸
令和の大学生、平塚恭志は突然明治時代の少年の蕗谷恭介となってしまう。彼の双子の妹柊乃と母のそよを、何よりも自分の身を護る為この知らぬ明治時代の地で暮らす事になる。 歴史を変えないように、動き始める恭介。生活のため、アルバイトをしていた洋食屋の経験を生かして店を開こうと、先祖代々語られていた『宝の場所』を捜索すると、そこには―― 近所の陸軍駐屯地にいる、華族の薬研尊とその取り巻き達や常連たちとの、『アヂサヰ亭』での日々。恭介になった恭志は、現代に戻れるのか。その日を願いながら、恭介は柊乃と共に明治時代と大正時代に生きて『アヂサヰ亭』で料理を作る。 どこか懐かしく、愛おしい日々。思い出の、あの料理を―― この物語はフィクションです。時代考証など、調べられる範囲できちんと調べています。ですが、「当時生きてないと分からない事情」を「こうだ」と指摘するのはご遠慮ください。また主人公目線なので、主人公が分からない事は分からない。そう理解の上読んで下さるようお願いします。 表紙イラスト:カリカリ様 背景:黒獅様(pixiv) タイトルフレーム:きっち様(pixiv) 参考文献 日本陸軍の基礎知識(昭和生活編):藤田昌雄 写真で見る日本陸軍兵舎の生活:藤田昌雄 日本陸軍基礎知識 昭和の戦場編:藤田昌雄 値段の明治・大正・昭和風俗史(上・下):週刊朝日 三百六十五日毎日のお惣菜:桜井ちか子 洋食のおけいこ:メェリー・エム・ウヰルソン、大町禎子 明治大正史 世相篇:柳田 国男 鬼滅の刃をもっと楽しむための大正時代便覧:大正はいから同人会 食道楽:村井弦斎、村井米子

星渦のエンコーダー

山森むむむ
ライト文芸
繭(コクーン)というコックピットのような機械に入ることにより、体に埋め込まれたチップで精神を電脳世界に移行させることができる時代。世界は平和の中、現実ベースの身体能力とアバターの固有能力、そして電脳世界のありえない物理法則を利用して戦うレースゲーム、「ネオトラバース」が人気となっている。プロデビューし連戦連勝の戦績を誇る少年・東雲柳は、周囲からは順風満帆の人生を送っているかのように見えた。その心の断片を知る幼馴染の桐崎クリスタル(クリス)は彼を想う恋心に振り回される日々。しかしある日、試合中の柳が突然、激痛とフラッシュバックに襲われ倒れる。搬送先の病院で受けた治療のセッションは、彼を意のままに操ろうとする陰謀に繋がっていた。柳が競技から離れてしまうことを危惧して、クリスは自身もネオトラバース選手の道を志願する。 二人は名門・未来ノ島学園付属高専ネオトラバース部に入部するが、その青春は部活動だけでは終わらなかった。サスペンスとバーチャルリアリティスポーツバトル、学校生活の裏で繰り広げられる戦い、そしてクリスの一途な恋心。柳の抱える過去と大きな傷跡。数々の事件と彼らの心の動きが交錯する中、未来ノ島の日々は一体どう変わるのか?

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

たとえ性別が変わっても

てと
BL
ある日。親友の性別が変わって──。 ※TS要素を含むBL作品です。

処理中です...