フィギュアな彼女

奏 隼人

文字の大きさ
上 下
6 / 92

素敵な名前

しおりを挟む
「とにかく…こうしちゃいられないわ…彼女は大事な…ニコラの研究の結晶だから…

ダイスケ君、すぐに準備をしてその子と一緒に私の車に乗って…なるべく早くね!!分かった⁉︎」

兄貴もそうだったけど…今、シズカさんは研究者のをしている…

こういう時の彼らは納得いくまで寝食を忘れてでも調べてみたくなる性分であることはよく分かっているつもりである…



シズカさんの運転する車はまだ未知の存在である彼女の健康状態が心配であるのとバイオツリーシステムの研究データを取るためにスクール内の医療機関のある棟に向かっていた…



「さあ…着いたわ…いらっしゃい…」

僕は部屋にいた彼女を連れてシズカさんの後を追った…


そして二時間が過ぎた…

メディカルチェックを終えた彼女は検査着からまた僕のトレーニングウェアに着替えた…



「ふう…ダイスケさん…これでいいですか?」

「お疲れ様…君のカラダに何処か悪い所があるとダメだから…

これからは時々、診てもらわないとね…」

「私…あまりこういうの好きじゃないです…」

「仕方ないよ…僕だってメディカルチェックは毎年受けるよ…」

「じゃあ…ダイスケさんが一緒に居てくれるなら…」




シズカはすぐにメディカルチェックのデータを調べていた…

「スゴイわ…奇跡の融合ね…ほぼ人間と同じだわ…

違うのはAIと脳が結合しているために情報処理速度が半端なく早いこと…

I.Q190に匹敵するわね…しかもまだ伸びしろがあるかも…

そしてもう一つ、ツリーシステムの骨格がポリ・スティール・カーボネート…限りなくしなやかで強い…

常人では考えられない身体の柔らかさとその骨にまとわりついた筋肉の強さと相まってとんでもないパワーを生み出すわ…

ニコラ…私達の娘はとんでもないスーパーウーマンよ…」






昼食を摂るために僕と彼女はスクールの食堂に向かった…

「…僕はハンバーグにしようかな…?キミはどうする?」

「何を食べてもいいんですか?」

「うん…大丈夫。好きな物を食べなよ…」

「じゃあ…これ!」

彼女が選んだのは…ジャンボパフェ?

「これ、すっごく美しい!パーフェクトな造形、糖質も十分とれるし、エネルギーになります!」

「そ、そう…⁉︎」

驚いた事に彼女はジャンボパフェを一人でペロリと平らげた…

「あー美味しかった!!」

目を丸くしている僕に彼女は…

「ダイスケさん…食べないんですか?ダメですよ…エネルギー補給しなきゃ…健康状態が低下します…」

そう言って彼女はフォークでハンバーグを僕の口の前に持ってくる…

「はい、あーんして…」

女性に免疫の無い僕は照れまくった…

「ひ、一人で食べられるよ…」

「だってこうやって貰うと男の人は嬉しいってネットワークにありましたよ…」

「そりゃあ…まあ…」

「あーんして…うふふ。」

僕は彼女に言われるがまま、口を開けて食べさせて貰った…

人生初の「あーんして」の相手は超美少女だった…

その時、シズカさんが食堂に入ってきた…


「おまたせ、彼女は完全に人間よ…健康状態もオッケー!!問題無し!!

さて…誰が面倒を見るかだけど…

私が連れて帰ろうかと思うんだけどダイスケ君はどう…?ニコラと私の娘みたいなものだし…」


「…私はダイスケさんと一緒がいいです。」

彼女が僕とシズカさんの会話に割って入った。


「…ご、ごめんなさい…ワガママ言って…でも私を作ってくれたのはダイスケさんです…

その頃は音声でしか分からなかったけど、私を組み立てて大切に飾ってくれた事…嬉しかった…私の大事なご主人様です。」

「そう…」

シズカさんは笑いながらため息をついて

「ふぅ…だって!じゃあダイスケ君…ヨロシクね!」

「えっ!ヨロシクって…」

「だって…本人が貴方と一緒がいいって言うんですもの…」

「良いんですか…?」

彼女はまたあの完璧パーフェクトな笑顔を僕に見せた…

「…じゃあ…一緒に帰ろうか!」

「はい!」

「ダイスケ君!大切な事忘れてるわよ…」

「大切な事?」

「な・ま・え…」

「あっ…」

「とびっきり可愛いのを付けてあげてね…」

僕は彼女のパッケージに書いてあった名前を思い出した

『RealIntlligence Kinetic A ndroid』

頭文字を取って『RIKA』…リカ!!

「シズカさん!リカ…ちゃん!でどうかな?」

「…私よりも、もう彼女の中では決まったみたいよ…」

「リカ…私の名前はリカ…ありがとう…ダイスケさん…ありがとう…ママ…」

「マ、ママ…?」

「だって私のパパはニコラ…ママはシズカでしょ?」

「リカ…あなた…うっ…うううう…」

シズカさんは目頭を押さえてリカを抱きしめた…

「ありがとう…リカ…さあ!ダイスケ君、行くわよ…!」

「ど、何処に?」

「決まってるじゃない!リカの可愛いお洋服を沢山買うのよ!それともあなたがリカの下着を買ってあげるのかしら?」

僕はその言葉に驚く…

「あっ!!いや!!あの…その…是非、お供致します!荷物持ちは任せてください!」

シズカさんとリカは僕の慌てた表情を見て楽しそうに笑った…




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

ラストダンスはあなたと…

daisysacky
ライト文芸
不慮の事故にあい、傷を負った青年(野獣)と、聡明で優しい女子大生が出会う。 そこは不思議なホテルで、2人に様々な出来事が起こる… 美女と野獣をモチーフにしています。 幻想的で、そして悲しい物語を、現代版にアレンジします。 よろしければ、お付き合いくださいね。

せやさかい

武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
父の失踪から七年、失踪宣告がなされて、田中さくらは母とともに母の旧姓になって母の実家のある堺の街にやってきた。母は戻ってきただが、さくらは「やってきた」だ。年に一度来るか来ないかのお祖父ちゃんの家は、今日から自分の家だ。 そして、まもなく中学一年生。 自慢のポニーテールを地味なヒッツメにし、口癖の「せやさかい」も封印して新しい生活が始まてしまった。

あの頃のまま、君と眠りたい

光月海愛(こうつきみあ)
ライト文芸
美海(みう) 16才。 好きなモノ、 ゲーム全般。 ちょっと昔のアニメ、ゲームキャラ。 チョコレート、ブルーベリー味のガム。 嫌いなモノ、 温めた牛乳、勉強、虫、兄の頭脳、 そして、夜。 こんなに科学も医学も進歩した世の中なのに、私は今夜も睡魔と縁がない。 ーー颯斗(はやと)くん、 君が現れなかったら、私はずっと、夜が大嫌いだったかもしれない。 ※この作品はエブリスタで完結したものを修正して載せていきます。 現在、エブリスタにもアルファポリス公開。

なろう系打ち合わせ会議3(安楽椅子ニートアウトサイド)

お赤飯
ライト文芸
瀬能さんとなろう系小説担当者の会議。今回のテーマは「グルメ系エンタメ」 ※全編会話劇です。※本来の主人公が登場します。 (他小説投稿サイト投稿済)

光のもとで1

葉野りるは
青春
一年間の療養期間を経て、新たに高校へ通いだした翠葉。 小さいころから学校を休みがちだった翠葉は人と話すことが苦手。 自分の身体にコンプレックスを抱え、人に迷惑をかけることを恐れ、人の中に踏み込んでいくことができない。 そんな翠葉が、一歩一歩ゆっくりと歩きだす。 初めて心から信頼できる友達に出逢い、初めての恋をする―― (全15章の長編小説(挿絵あり)。恋愛風味は第三章から出てきます) 10万文字を1冊として、文庫本40冊ほどの長さです。

処理中です...