フィギュアな彼女

奏 隼人

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大っきなフィギュア

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ピピピピピピ…


目覚ましのアラームが鳴り響く…




「ふぁーあ…もうこんな時間か…そろそろ出かけないと…」

僕はこんがりと焼けたトーストを頬張りながら腕輪電話ブレスフォンの画面を眺めた…




…新着が一件あります…





そのメッセージを開いてみると部屋の窓から見える交差点の信号を渡った所にあるコンビニエンスストアに頼んでおいたフィギュアが入荷したらしい…



ギャラクシーネットで買い物をしても…独り暮らしの僕は留守の間、荷物が送られてもまた持って帰られるのがオチだ…

だからこちらから取りに行くことにしている。
夕飯の買い物もついでに出来るからね…


ああ…僕?…僕の名前はダイスケ。

地球人のご先祖の名前になぞらえて親が付けてくれた名前だそうだ。最近ではそういう名付けが流行っているらしい…


はるか昔、僕達の先祖は遥か地球からこの星…アルタイルと少し離れた星…ヴェガの人々とさらに近くの星、デネブにも移住してきた。

今ではこの三つの星はそれぞれ違った文化を持ちつつ、先住民や移民者が競い合いながらもみんなでそこそこ仲良くやっている…のではないのだろうか?

まあ…一介の学生の僕がそんな偉そうな事を言える立場でもないけどね…

さあて…と…!!



玄関のドアを開けて廊下に出て階段を降りる…
大通りを駆け抜けていく車の排気熱を帯びた風が僕の顔を目がけてやってきた。

「ゴホッ…ケホケホ…」


この星のスクールは6歳からお年寄りになるまで何歳になるまででも通う事が出来る…

つまり、生涯学習…をモットーにしている。

そして自分が仕事がしたくなった時に卒業したり、結婚したくなったらスクールで学びながらする人もいるようだが… 僕には残念ながらそんな相手もいない。
  
とりあえず17歳の僕にはまだまだ勉強しないといけない事が沢山ある…

スクールはネット学習で全てのカリキュラムが習得出来るのだが、必須のサークル活動だけは学校まで出向かないといけない…
人格形成にはやはりコミュニティーは必須だからだ。

先月まで入っていたボルダリングのサークル活動は特にやりたかった事でもないのですぐに辞めちゃったしなぁ…




そんな事をボンヤリ考えていると目の前の信号が変わる…

道路を渡ってコンビニに入った僕はカウンター越しに店員さんからフィギュアを受け取ろうとすると…

「ありがとうございます。商品はこちらになります…」

「…ええっ!!!」

フィギュアの箱の大きさは思っていたよりもかなり大きくて高さが僕の背丈位あった…

「あの…後で返しに来るんで、 台車…貸してもらえますか?」



…部屋に帰った僕は暫くフィギュアの箱と睨めっこしていた…

「ふぅ…まさかこんな大きいとは思わなかったなぁ…」

その時、僕のブレスフォンが震えた…

通話…誰からだろう?

…表示を見ると…兄貴からだった。


僕はブレスフォンを伸ばして通話した…

「もしもし…どうしたの?」

「よう!ダイスケ!!
研究してた物が遂に完成したんだよ…

今から見に来ないか?」
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