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ラピスラズリの勲章
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…ちゃ…ね…ちゃん…
「姉ちゃん!」
…ガバッ!
勢いよく起き上がったジーニャ…
ベッドの横で優也達…全員が彼女を心配そうに見ていた。
「だ、大丈夫…?ジーニャさん…葡萄酒を飲んで倒れてしまったから…
「私…お水を持ってくるわ…」空のピッチャーを持って部屋を出るアイ…
ジーニャは優也の首に両手を回した…
そしていきなり…
「ジーニ…!!ムグムグムグ…」
優也は息苦しそうにもがく…
「あぁぁぁぁぁ!!
わ、私の…ダーリンに…うーん…」
ジーニャの熱い口づけを目の当たりにしてプラティナの意識は一瞬にして薄れていく…
「ティ、ティナ…しっかりして…」
プラティナを抱き起こすナギ…
「優也…相変わらずお主…モテモテじゃのう…」
呆れ顔のヴァルプルギス…
「ね、姉ちゃん…どうしたん?いきなり…」
「ジーナ…ゴメンね…あなたの大事な人に…
プラティナ様が起きられたら後で謝るわ…
でもね、私…千年ぶりなの…彼と出会うの…
だから…許して!!…ウフフフフッ…」
「姉ちゃん…!」
ジーニャの明るい表情にジーナも大喜びした…
数日後…
バビロナでは正式に戴冠式が行われ、ロジャー率いるバビロナ軍兵士のファンファーレが街中に響き渡った…
「生まれ変わったバビロナ王朝…万歳!」
「新しい我々の王女様…千夜一夜王女様…万歳!」
王朝の神殿のバルコニーからジーニャ王女が街の民に顔を見せた…
「ジーニャさん…すっかり元気になって良かったね…ティナ!」
「ええ…ウフフッ…」
お祝いに駆けつけた僕達はこの晴れの日を心の底から喜んだ。
バビロナの国民はマザーハーロットが千年の間に蓄えていた強大な大自然の力によって、人間の命を望む者…精霊となった姿を望む者…以前の姿を望む者…新たな命としての誕生を望む者…
全ては己の望む形でこの世界へと蘇る事が出来たようであった…
「我々は前国王シャブリヤールの意志を継いでこの国を精霊と魔法使いの棲む豊かな国にしようと思います…
その考えに賛同してくださるジュエラ…ソーディア、ミラールの国々と同盟を組んで我々はこの国を…いや、この世界をあらゆる種族が協力し合う素晴らしい場所にしていきたいと思っています…
ついては…三国から騎士の称号を贈られておられる優也殿…
是非…我が国からも同じく騎士の称号を贈らせて頂きたく思います…」
優也は以前のようにもう固辞はしなかった…
「ははは…もう三国も四国も一緒だって…」
「ちょっと…殿…そんな投げやりはアカンで…!」
「そ、そうだね…ジーナ…ごめんよ…!」
優也はジーニャから瑠璃色のラピスラズリの入った勲章を授与された…
ジーニャがその手で勲章を彼の左胸に飾る…
キラリと輝くその宝石を見た優也は驚いた…
「あれ…?この宝石…どこか懐かしいような…」
戴冠式でジーニャの護衛をしていた将軍は優也に向かって優しい口調で言った…
「これは…我が心の主君であらせられる前国王のシャブリヤール様の宝石でございます…
王女様が是非、優也様へと…」
「そんな大事な物…僕なんかが貰って良いのかな…?でも…大切にします…」
勲章を着けて貰って緊張気味の優也を見てジーニャはクスッと笑った…
バビロナの青い空を見上げたジーニャのその目と同じように心も晴々と透き通っていた…
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