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アレキサンドライト・ウェディング
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チャペルへの扉が今、開いた…
バージンロードの中央あたりで待っている優也の元へ彼女は一歩一歩進んで行く。
その歩みはあの方を想うと時に重く…彼を想い浮かべるととても軽やかにも思えた…
スタイルのシルエットが美しい…Aラインのノースリーブドレスにウェディンググローブ…
ジーニャの褐色の肌と対照的な…だからこそ白い美しいドレスが誰よりも映えるのかもしれない…
ブーケを持った彼女は優也の元に着くと彼のエスコートに心を委ねるように…細い手を優也の腕に回した。
二人で祭壇のマザー・ハーロットの元へゆっくりと歩みを進めて行く…
ジーニャは自分の右側を上目遣いに見上げた…
「……!」
彼女は息を呑んだ…
そこにはずっと想い焦がれたあの方の姿があった…
しかし…すぐに優也の姿に変わった。
ジーニャはホッとして胸を撫で下ろした…
その時…彼女は自分の中に不思議な感情が生まれている事に改めて気付いた。
「わ、私…何故、優也様だった事にホッとしたんだろう?ここまでずっと…あの方を追い求めて…あと少しで手が届きそう…なのに…」
いつの間にか優也の方を向いて俯くジーニャ。
優也はニコッと笑いながら花嫁のヴェールを両手で上げた… 「えっ…?」
…口づけの代わりに優也はジーナの瞳を真っ直ぐ見つめて口を開いた…
…初めてバビロナ王宮で君に会った時、僕が今見つめている凛として冬の寒さにも負けない…夏の乾いた風にも弱さを見せない野生の白い花のような強さを持った瞳に吸い込まれそうになったよ…
僕が人間界やこちらの世界で仲間達に囲まれて楽しい時間を過ごしている間も…君は永い時間の海を彷徨っていたんだね…僕はその事を思い出すと心が震え出していつも涙が出そうになる…
でも…これからは僕達はずっと一緒だ…
君が笑ったら僕達も嬉しい…
悲しい事や辛い事はみんなで分け合える…
そんな世界を創りたい…今日がスタートだ…
僕達の夢に向かって進もう…
君は僕が守るよ…ジーナ…」
「ああ…」
ウェディンググローブを着けた両手で顔を覆うジーニャ…指の隙間から涙がこぼれ落ちていく…
…優也様…あなたは何故、あの方と同じ呼び方で私を…
優也は涙を抑えようとしているジーニャの手に彼女の錫杖についている宝石と同じ…アレキサンドライトの石が散りばめられたブレスレットを彼女の手首に着けてあげた…驚いてブレスレットを眺めるジーニャ…
「これは…なんて綺麗な…」
ジーニャは人間界のアクセサリーショップで見ていたブレスレットを思い出した。
そうか…優也様はあの時の事を…
「君と僕達の絆は確かにあっても見えないもの…だから今日、君と僕達の絆を確認した記念にこれを貰って欲しいんだ…
これからずっと続く永遠の絆を…」
この時…片時も忘れた事のなかった昔のバビロナの事を忘れて優也の誠実な言葉にジーニャはこれからのバビロナを夢見ていた…
「優也様…皆様…ありがとうございます。
これからはあなた達とずっと一緒に生きていきます…私達をどうかよろしくお願い致します…」
永い間…王族ではないがバビロナを守ってきた紛れもない立派な王女はみんなに祝福されて優也と…愛すべき仲間達と一緒に未来へ向かって生きていく絆を示した。
ジーニャやロジャーが流した…そして種族を超えた優しさに心が震えた人々が流した涙がマザー・ハーロットの杯に葡萄酒となって現れた…
「おお…葡萄酒が…さあ…次の婚礼に参ろうか…」
「それっ!」ジーニャが投げたブーケはジーナの手元へとやって来た…
「次はウチとやで…殿!」
バージンロードの中央あたりで待っている優也の元へ彼女は一歩一歩進んで行く。
その歩みはあの方を想うと時に重く…彼を想い浮かべるととても軽やかにも思えた…
スタイルのシルエットが美しい…Aラインのノースリーブドレスにウェディンググローブ…
ジーニャの褐色の肌と対照的な…だからこそ白い美しいドレスが誰よりも映えるのかもしれない…
ブーケを持った彼女は優也の元に着くと彼のエスコートに心を委ねるように…細い手を優也の腕に回した。
二人で祭壇のマザー・ハーロットの元へゆっくりと歩みを進めて行く…
ジーニャは自分の右側を上目遣いに見上げた…
「……!」
彼女は息を呑んだ…
そこにはずっと想い焦がれたあの方の姿があった…
しかし…すぐに優也の姿に変わった。
ジーニャはホッとして胸を撫で下ろした…
その時…彼女は自分の中に不思議な感情が生まれている事に改めて気付いた。
「わ、私…何故、優也様だった事にホッとしたんだろう?ここまでずっと…あの方を追い求めて…あと少しで手が届きそう…なのに…」
いつの間にか優也の方を向いて俯くジーニャ。
優也はニコッと笑いながら花嫁のヴェールを両手で上げた… 「えっ…?」
…口づけの代わりに優也はジーナの瞳を真っ直ぐ見つめて口を開いた…
…初めてバビロナ王宮で君に会った時、僕が今見つめている凛として冬の寒さにも負けない…夏の乾いた風にも弱さを見せない野生の白い花のような強さを持った瞳に吸い込まれそうになったよ…
僕が人間界やこちらの世界で仲間達に囲まれて楽しい時間を過ごしている間も…君は永い時間の海を彷徨っていたんだね…僕はその事を思い出すと心が震え出していつも涙が出そうになる…
でも…これからは僕達はずっと一緒だ…
君が笑ったら僕達も嬉しい…
悲しい事や辛い事はみんなで分け合える…
そんな世界を創りたい…今日がスタートだ…
僕達の夢に向かって進もう…
君は僕が守るよ…ジーナ…」
「ああ…」
ウェディンググローブを着けた両手で顔を覆うジーニャ…指の隙間から涙がこぼれ落ちていく…
…優也様…あなたは何故、あの方と同じ呼び方で私を…
優也は涙を抑えようとしているジーニャの手に彼女の錫杖についている宝石と同じ…アレキサンドライトの石が散りばめられたブレスレットを彼女の手首に着けてあげた…驚いてブレスレットを眺めるジーニャ…
「これは…なんて綺麗な…」
ジーニャは人間界のアクセサリーショップで見ていたブレスレットを思い出した。
そうか…優也様はあの時の事を…
「君と僕達の絆は確かにあっても見えないもの…だから今日、君と僕達の絆を確認した記念にこれを貰って欲しいんだ…
これからずっと続く永遠の絆を…」
この時…片時も忘れた事のなかった昔のバビロナの事を忘れて優也の誠実な言葉にジーニャはこれからのバビロナを夢見ていた…
「優也様…皆様…ありがとうございます。
これからはあなた達とずっと一緒に生きていきます…私達をどうかよろしくお願い致します…」
永い間…王族ではないがバビロナを守ってきた紛れもない立派な王女はみんなに祝福されて優也と…愛すべき仲間達と一緒に未来へ向かって生きていく絆を示した。
ジーニャやロジャーが流した…そして種族を超えた優しさに心が震えた人々が流した涙がマザー・ハーロットの杯に葡萄酒となって現れた…
「おお…葡萄酒が…さあ…次の婚礼に参ろうか…」
「それっ!」ジーニャが投げたブーケはジーナの手元へとやって来た…
「次はウチとやで…殿!」
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