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悠遠のあなたを想って…
しおりを挟む今度こそ僕達は正装してマザー・ハーロット様の前に集まった。
「では一組づつ挙式を挙げたいと思うが…準備は良いか…?」
「…はい!」
新郎の僕…花嫁姿の五人が返事をして一斉に彼女に頭を下げた。
「よろしくお願い致します…」
「うむ…杯が満ちていくのがわらわも楽しみじゃ…」
優也は辺りを見渡す…
溢れんばかりの白い光に包まれたチャペルの中はステンドグラスの虹色の光の美しさ…
パイプオルガンの音色に包まれてこれから行われる儀式の神聖さなど…まるで美しい花が聖堂の其処彼処に咲き乱れているようだった…
参列者席にはお義父さん、お義母さん…ミスにリル…マサムネさん…
ロジャー将軍や王朝の神殿でジーニャを支えて働いている一部の街の方々のお顔が並んでおられる…
そして他の街の者も空中庭園を心配そうに見守っていた…
「ねえ…おねえちゃん…パパとママってもうけっこんしきをすませたんじゃなかったっけ…」
「バカね…あのせいれいのじょうおうさまが、もういっかいけっこんしきをやれっていってるのよ…
あんなこわそうなひとにやれっていわれたらしかたないじゃない…」
リルはマザー・ハーロットの顔を見つめた…
すると…リルの視線を感じた彼女はリルに向かって骸骨の顔で笑顔を作り、ニコッと笑いかけた…
驚いて椅子から滑り落ちそうになるリル…
「ヒイッ!…ほ、ほんとうだね…」
「でしょ…それにね…
じょせいっていうものは、なんどでもけっこんしきを…いちばんきれいなじぶんをみせたいものなのよ…」
「ふうん…」
二人の会話にじいじとばあばは顔を見合わせて微笑んだ。
「では…優也様…最初は私と…
よ、よろしくお願い致します…」
顔を真っ赤にして優也を見つめるジーニャ。
「こちらこそ…よろしく!」
彼女はニコッと笑う優也の表情にあの方の面影を重ね合わせた…そして静かに目を閉じる…
もうすぐ…あなたに会えます…
そうしたら今度はあなたと…
「姉ちゃん!頑張ってな!」
可愛いドレスに着替えたジーナも彼女を応援している…
他の花嫁は参列者に加わり、ジーニャは一旦チャペルの部屋から出た。
トクン…トクン…
バージンロードに続く扉の前で彼女の胸の鼓動は高鳴る…
目を閉じた彼女の目蓋の裏に映ったのは優也とあの方…二人の顔だった。
驚くジーニャ…
嫌だわ…私…こんな時に…
私が愛してるのは…愛を誓ったのはあの方だけなのに…
扉の向こうで待っている男性は別の男性…
なのに…私の心は弾んでいる…?
何故…?自分でも分からない…でも…
今、私が心から愛さなくてはいけないのは…
チャペルへの扉は静かに開いた…
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