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惹かれていくココロ
しおりを挟む今から失礼な事を言います…私を軽蔑して頂いても構いません…
あなた方はイミテ様を軽蔑しておられるようですが
私は必ずしもそうは思いません…
他国への侵略なんてそんなものです。
弱者は強者に従うしか無いのです…
寧ろ…私は優也様…あなたの方が不思議です。
あなたは魔界の綺麗な奥さんを娶って人間界で幸せに暮らしていて可愛い子供までいて、あなたの世界の言葉で言うならリア充という立場…
だから…私やジーナが見窄らしく昔の幻影に囚われてるのが哀れで可哀想で…
それで情けをかけてくださるのですか…?
私達はジーナの言う様に人間では無い…
でも他の侵略国家の者なら私の身体を奪うでしょう…若い王女の…身体を…
正直…あなたの目的は何なのですか?
私より妹の方が好みなのですか?
優也は目を閉じて考えている…
ジーニャは思いつく限りの悪口雑言を優也に浴びせたつもりだった…
これで良いんだ…私達にもう関わらない方が…
優也様が侵略者扱いされたと怒ってもし、同盟を解消すると言われても仕方ないけど…
私が一番怖いのはこの人を愛してしまう事…
人間でない私が…バビロナから離れられない私が…
他の国の王女の旦那様を愛してしまうなどとは言語道断…
私の心にはあの方がおられたらそれで充分。
私の心は優也様に向かっているかも知れない…でも今なら引き返せる…あの方への不貞にあたる想いなどは捨てなくては…
「すみません…自分でも分かりません!」
「ええっ?」
自分に向かって突然頭を下げた優也にジーニャは面食らった。
「ジーニャさん…あなたの言ってる事で一つだけ本当だなと思う事はあります…
それは素敵な家族に恵まれて幸せに暮らしているという事…それは間違いないのですが…
僕はバビロナの侵略者ではありませんし、あなたやジーナを自由にする権利もありません…
あなたをジーナと呼んだり、バビロナの事に首を突っ込みたくなるのは何故か自分でも分からないのです…」
「お、怒っていらっしゃらないのですか…?」
「僕が?何故?…それよりも女性を押し退けたりしてジーニャさん…気を悪くされたのかと…
本当にすみませんでした…」
ジーニャはますます優也が分からなくなった…
優也様…この方、本当にあの方に似ておられる…
勇猛で荒々しく、外界の荒波も乗り越えて領土を手にしようと欲を出す者が男たる者だと思っていた…
私があの方に惹かれたのは他人の気持ちを思い遣って寄り添える方だから…
世の中にそんな男性…二人もいないと思っていたのに…
無理に離れようとしたジーニャの心はますます彼の事を求めるようになっていった…
その夜…優也達が帰路に着いてから…ジーニャは他国と同盟を組み、侵略される可能性は薄くなったからとロジャーを通じて他の精霊達にも元の姿で街で暮らすように話した…
優也達がまた来るまでの日を溜息混じりに指折り数えるジーニャ…
「姉ちゃん…殿の事…やっぱり…」
そんな姉を見てジーナは目を伏せた。
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