65 / 103
主君と従者
しおりを挟む優也は右手と左手の玉を押し潰すようにして混ぜ合わせた…
そして魔法陣の中に吸い込まれそうになって踠いているコッカトリス・ゾンビに向かって投げつけた…
「オメガ・バースト…はあっ!!!」
「ギギギ…ギャア…!」
優也の放った光と闇の混ざり合った玉にコッカトリス・ゾンビは吸い込まれた…そしてその玉ごと魔法陣の中に消えて行った…
「ふう…終わった…」
「やったな…優也!!」
ヴァルは僕と笑顔を交わす…
「君のおかげだよ…ヴァル!!」
優也は元の姿に戻った…二人のジーナもじゅうたんの上に現れてみんなで顔を見合わせて微笑み合う…
ロジャーやレーヴァが闘っていたバジリスクもコッカトリス・ゾンビが消えたのと同時に蒸発するように消えてしまった。
「おおっ…」
「か、勝ったのか…?」
優也達が乗ったじゅうたんとヴァルプルギス率いる魔法飛行隊はゴルドやマサムネが指揮を執るソーディア軍のところに帰って来た…
そしてゴルドとマサムネは縁の下の力持ちの兵士達を労った。
「皆の者…よくやった!皆の踏ん張りが魔法使い達の勝利を生んだのだ!」
ロジャーとレーヴァは固い握手を交わす…
「ロジャー殿…やりましたね…
大切な姫も国も…私達の手で守ったのです…」
「ありがとう…レーヴァ殿…
あなたのような主君想いの方と一緒に闘えて嬉しい…この闘いの事は生涯忘れませんぞ…」
「そんな…ロジャー殿…
私なんか……
実は昔…私は主である姫様を……」
その時…二人の会話に割って入るようにナギはレーヴァの側に歩み寄ってロジャー将軍に頭を下げた…
「はじめまして…ロジャーさん…
私がソーディアの国王…ナギでございます。
今回あなた方と共に闘った誇り高き我がソーディア軍の兵士達の中でも…
特にレーヴァ隊長の存在はソーディアの…
いえ…私自身の誇りなのです。
レーヴァ隊長…いえ…レーヴァ将軍…
これからもソーディアをよろしくお願いしますね。」
「わ、私を将軍などと…勿体無うございます…
こんな一兵卒に…
私は姫様…
いえ…主であるソーディアのナギ国王にこの身を捧げます!!」
レーヴァは熱いものが込み上げてくる目頭を必死に押さえていた…
「何故…ソーディア軍が世界最強と言われるのか
分かったような気がします…」
ロジャーは胸に手を当てて素晴らしい主従関係に敬意を表した。
「将軍!ウチらも頼りにしてるでぇ…」
ジーナはロジャーの顔を覗き込んだ。
「ひ、姫様…」
ジーニャもロジャーに歩み寄り…そしてナギと同じように頭を下げた。
「将軍…これまですみませんでした。
私はもう昔のように誰の命も失いたく無い…
その為に人払いをし、私一人でバビロナを外敵から守る為の努力をしてきました。
時にはプライドを捨てて…
何故…皆に頼らなかったのか…
こんなに頼りになる人達が周りに居てくれるのに…
これからもバビロナをよろしくお願いします…」
「ひ、姫様…参りましたなあ…」
ロジャー将軍は一瞬、困った顔をして…そしてジーニャに向き直って頭を下げた。
「私で良ければこれからもバビロナの為に尽くさせて頂きます…」
「いいえ…あなたで無ければ無理なのです…
よろしくお願いします…」
ジーニャも将軍に頭を下げる…
その様子を見ていたナギとレーヴァ…
優也達はみんなで微笑み合った…
「よおし!!みんなで祝杯を上げようではないか!!
シルヴァ…ラリーに連絡して色々用意するように
頼んでくれないか?」
「まあ!あなた…またラリーさんがこんな時だけ?って言われて怒られますわよ…」
お義母さんの言葉にその場が笑いに包まれた…
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
オーバーゲート
JUN
ファンタジー
迷宮と呼ばれるものを通じて地球に魔力が流れ込み、生活が一変してから半世紀。人工魔素実験の暴走事故で大きな犠牲が出、その首謀者の子供である鳴海は、人に恨まれながら生きていた――とされているが、真実は違う。迷宮を囲い込んだ門の内側で、汚名をそそぎ、両親を取り戻すため、鳴海は今日も探索に打ち込む。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ご期待に沿えず、誠に申し訳ございません
野村にれ
恋愛
人としての限界に達していたヨルレアンは、
婚約者であるエルドール第二王子殿下に理不尽とも思える注意を受け、
話の流れから婚約を解消という話にまでなった。
責任感の強いヨルレアンは自分の立場のために頑張っていたが、
絶対に婚約を解消しようと拳を上げる。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
玲子さんは自重しない~これもある種の異世界転生~
やみのよからす
ファンタジー
病院で病死したはずの月島玲子二十五歳大学研究職。目を覚ますと、そこに広がるは広大な森林原野、後ろに控えるは赤いドラゴン(ニヤニヤ)、そんな自分は十歳の体に(材料が足りませんでした?!)。
時は、自分が死んでからなんと三千万年。舞台は太陽系から離れて二百二十五光年の一惑星。新しく作られた超科学なミラクルボディーに生前の記憶を再生され、地球で言うところの中世後半くらいの王国で生きていくことになりました。
べつに、言ってはいけないこと、やってはいけないことは決まっていません。ドラゴンからは、好きに生きて良いよとお墨付き。実現するのは、はたは理想の社会かデストピアか?。
月島玲子、自重はしません!。…とは思いつつ、小市民な私では、そんな世界でも暮らしていく内に周囲にいろいろ絆されていくわけで。スーパー玲子の明日はどっちだ?
カクヨムにて一週間ほど先行投稿しています。
書き溜めは100話越えてます…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる