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呪文の威力
しおりを挟むプラティナもナギもアイも…次々と指をパチンと鳴らす…
あっと言う間にみんな…黒い唾の大きな帽子に黒いロープ…そしてほうきを手にした定番の魔法使いのスタイルに早変わりした。
ヴァルプルギスは握り締めた魔法のほうきを見つめて呟いた…
「…しかし、このロープや魔法のほうきをもう一度作れるとは…
ジュエラでは百年以上昔に絶滅した植物がここには野生しておるんじゃからのう…未だに信じられんわ!
森の精霊達が協力して作ってくれよったこの魔法使いの装い…絶対に無駄にはせん!
さあ!…魔法飛行隊の初陣じゃな…
ダイナ!エクス!パルテ…ついて参れ!」
「…あのさあ…私達は部下じゃないんだけど…」
「ウフフッ…でもこの服…
魔法女学校時代を思い出します…」
「しっ!…ティナさん…ナギさん…
聞こえてしまうわよ…」
三人の側にダイナ、エクス、パルテが実体化して現れる…
「お、お主達…」
「おひい様になんてことを…」
「我々が叱られるではないか!」
「ええい!何をゴチャゴチャと…行くぞ…」
「ちょ…ちょっと待ってよ…」
ヴァルプルギスが飛び立った後、全員が魔法のほうきにまたがって彼女の後に続いた…
「おお、ミス、リル…よく来てくれたな…」
「じぃじ…どうしたの?」
「ぼくたちになんかよう?」
「そうなんじゃ!実は悪いヘビがいっぱい現れてのう…退治してる所なんじゃ…お前達、手伝ってくれんかのう…!」
「なぁんだ!そんなことならおやすいごようよ!
いくよ…リル!」
「うん!おねえちゃん!」
「はぁぁぁぁぁぁぁ!」
二人は呼吸を合わせて両手を前に突き出し赤と青の魔法陣を作り出す…
「皆の者!離れるのじゃ!」
マサムネの指示にレーヴァがロジャーの手を取った!
「急いで!こっちです!」
「かたじけない!」
「ガンマータ…はっ!」
二人がそれぞれ放った魔法陣が重なり一つとなってバジリスクに向かっていく…
ズゥゥゥゥゥゥゥン…!
辺りが閃光に包まれた…
そして舞い上がった土煙が薄れてきて視界が明らかになった時、みんなは目を疑った…
二人が放った…極大消滅呪文は全てのバジリスクどころか丘を地下まで削り取り、延長線上にある小高い山の中腹に大きな穴を開けてしまった…
ゴルドとマサムネはその威力に口をアングリと開けた…
「ゴ、ゴルドよ…」
「…何じゃ?」
「何と言うか…無茶苦茶じゃな…」
「ああ…」
この時はバビロナの豊かな自然が創り出す因子のお陰でミスとリルの魔法力がグンと上がっていることに誰も気づいていなかった…
「あんたがまちがえたんじゃないの?」
「あっれ~?おかしいなぁ…」
不思議そうな顔をしているミスとリルにゴルドは尋ねた…
「お前達…どうしたんだ?」
「むかし…くろいふくのおねえちゃんにおしえてもらったようにちからをおさえたんだよ…ぼく…」
「リルはまだちょうせいできないんだよ…じぃじ…ゆるしてあげてね…」
「ああ…これでいいんだよ…アッハッハ!
二人共…本当にありがとう!」
「ほんと?やった~!」
「よかったわね、リル!」
そう言ったゴルドと横にいたマサムネは顔を見合わせて呟いた…
「あれで加減したのか…」
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