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作戦開始!!

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その時…林の奥から優也とプラティナを呼ぶ声が聞こえた。

「パパ~!ママ~!がんばれぇ~!」


声のする方に目をやるとそこには懸命に二人にエールを送るミスとリルが見えた…



「リ、リル!…ここにもリル…あっちにも…う~ん…」


「ち、ちょっと…ティナ…しっかり…!」



プラティナはリルが二人いるのに驚いて倒れてしまった…慌てて彼女を支えるナギ…


花嫁衣装からいつものゴスロリドレスに戻ったヴァルプルギスは目を丸くした…



「あ、あの娘…優也と一つに…」




「殿…殿…!」



頭の中にジーナの声が響く…



「ウチ、殿と一つになれたんやな…今、最高に幸せやわ…


今までウチ、自分は人間やない…こんな身体になってもう一度この世に戻ってきて今更どないせえーちゅーねん!って思ってたんや!

そやけど…やっと分かったわ。バビロナを追われて、殿と出会って自分を大切にしてくれる人の大切さ、人を愛する事の大切さを知ったんや…

殿はウチが精霊やから人間やからって関係ない。

何を見て何を聞いて心でどうするか考えて行動する事…それを見ていてくれはる…

だからウチはもう迷わへん!殿と一緒に生きる!

生まれ育ったバビロナをアイツらに好き勝手にされてたまるか!絶対に守ってみせる…」

「ジーナ…」

彼女の決意の言葉に僕も頷いた…

しかし…


リルに似てはいるが多分この姿は子供の頃の僕だ…
ジーナと一緒になった事でかなりの力を得たようだが少々若返り過ぎたようである…




「クカカカカッ!!ギャアァァァァ!!」


目が眩んで地面に落ちてしまったコッカトリスは回復して威嚇するように大きな声を上げながら再び上空を旋回し始めた…



ヴァルプルギスは気を失っているティナに向かって叫んだ…

「こりゃ!ジュエラ王女よ!いつまで寝ておるのじゃ!早う起きんかい!」

「うう~ん!」

「うう~んじゃ無いぞよ…全く…そろそろ作戦開始じゃ…ジーナの姉上の協力は見込めんが、わらわ達で隙をついて封印してしまうのじゃ…」




一方、バジリスクの掃討に全力を尽くしていたロジャーとレーヴァ達…

一旦はヴァルプルギスの白魔法でバジリスク・ゾンビは全滅したかに思われたがジーニャの闇魔法は想像以上に強力で倒しても倒しても現れてくる…


「はぁ…はぁ…一体どれだけやっつければ…」

「ゴルドよ…これではキリが無いぞ…」

「そうですな…一体一体倒すのではなく全てを消し去ってしまわないと…!そうじゃ!全てを消し去ればよいのじゃ!…シルヴァ!シルヴァよ!」


「なぁに?あなた…」

「ちょっとミスとリルをワシの元に連れてきてくれ!今すぐじゃ…」






「そうだ…ジーニャ…流石はボクちゃんの妻…
お前の妹をたぶらかしている輩達はもうすぐコッカトリスが石像に変えてしまう…

お前は面倒くさいソーディア兵達を全滅させるのじゃ…」


「イミテ様…!」


「…ん?どうした…?」


「私が皆に退くように説得します…だから…
もう良いではありませんか?

バビロナは貴方が治めて私はあなたの妻となり、
繁栄していくのならあなたの事をずっと支えていきます…だから…」


「イヤだね!!」


「えっ?」



「僕はジュエラの王になる予定だった…それを
アイツらがぶち壊したんだ。

ヤツラを石像に変えてジュエラに復讐をする…

バビロナをこの手に入れるのはその後でも出来るでしょ?僕に意見するなんてちょっとムカッと来たよ…

なんならお前も石像になるかい?」



「くっ……」





「姉ちゃん!」


ジーナの声がジーニャの頭の中に響き渡る…


そして空中庭園の屋上に空飛ぶじゅうたんに乗った少年の優也が現れた…


手には青い宝石の入った短剣を握り締めて…
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